内向きショルツから積極メルツへ...ドイツで一体何が変わる?
Merz Brings Germany Back

メルツ(中央)は積極外交路線に舵を切った(5月5日、連立政権の幹部らと) MICHAEL KAPPELERーDPAーREUTERS
<半年がかりでやっと生まれたドイツのメルツ政権。今までの内向き外交の大刷新が初仕事になりそうだ>
ドイツ国民には、いら立たしいほど長い6カ月間だった。
ショルツ前政権が崩壊したのは昨年11月。2月に総選挙が行われ、キリスト教民主・社会同盟(CDU・CSU)を率いるフリードリヒ・メルツが首相候補となった。しかしメルツが首相に選出されるまでに、ドイツ議会では異例の2度の投票を要した。
メルツが目指すのは、ショルツ前政権が公約しながら実行に移すことはほとんどなかった安全保障と防衛における「ツァイテンウェンデ(時代の転換点)」だ。
メルツは外交・安全保障政策の調整機能を首相府に集中させた。そのためにまず行ったのが、外相ポストを連立の最大のパートナーに割り当てるという慣例の廃止だ。これがあったことで外交政策に他党の意向が入り込み、機能不全が生じていた。
外交政策を仕切る首相府の重要ポストには、信頼できる側近を起用した。新設の国家安全保障会議のトップには、対米協調派のヤコブ・シュロット。外交政策の舵取り役には、ベテラン外交官のギュンター・ザウターを任命。重要ポストの1つと捉える駐EU大使には、経験豊富なミハエル・クラウスを留任させた。
歴代政権が積み残してきた制度改革にも着手した。首相府内に新設される国家安全保障会議は、省庁の壁を越えて外交・防衛・経済政策を統合するドイツ初の機関となる。