最新記事
EU

欧州最強?「ドイツ・トリオ」はEUの導き手となりうるか

EUROPE’S NEW POWER TRIO

2025年3月17日(月)17時55分
サイモン・トゥボー(政治学者)
メルツ、フォンデアライエン、ウェーバー

(写真左から)メルツ、フォンデアライエン、ウェーバー MAJA HITIJ/GETTY IMAGES

<極右の台頭などが懸念されていたドイツ総選挙だが、EUにとっては安心の結果となった。メルツ、フォンデアライエン、ウェーバーの3人にかかる期待と解決すべき課題とは?>

EUにとって心強い選挙結果だった。2月23日に行われたドイツ総選挙では、中道右派のキリスト教民主・社会同盟(CDU・CSU)が第1党になり、同党を率いるCDUのメルツ党首の次期首相就任が確実だ。

メルツは中道左派の社会民主党(SPD)と連立協議を開始し、3月8日には正式交渉に入ることで基本合意したと発表。2005年以降、4度目の大連立政権が誕生すれば、3党連立で波乱続きの前政権より一貫性と安定感があるはずだ。何より、欧州委員会のフォンデアライエン委員長と、欧州議会の最大会派、欧州人民党(EPP)のウェーバー代表の足並みがそろう。


CDU所属のベテラン政治家であるフォンデアライエンは、昨年12月に欧州委員長として2期目の新体制に入り、権力は盤石だ。ドイツ政界で師と仰いだメルケル元首相の政敵だったメルツとは緊張関係にありそうだが、取りあえず敵対してはいない。

メルツは、CDUと姉妹関係にあるCSU所属のウェーバーとはより近しい。ウェーバーはEU機関でフォンデアライエンに次ぐ権力者。この2人の関係は良好だ。

CDU・CSUの絆で結び付いたトリオは、欧州に不可欠な競争力強化を促す経済改革に踏み切ることになりそうだ。

あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

26年米中間選挙前に共和党大会の開催も、トランプ氏

ワールド

英仏独、対イラン国連制裁復活へ手続き開始 核問題巡

ワールド

ロシアのキーウ攻撃、トランプ氏の和平努力を損なう=

ビジネス

米GDP、第2四半期改定値3.3%増に上方修正 個
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:健康長寿の筋トレ入門
特集:健康長寿の筋トレ入門
2025年9月 2日号(8/26発売)

「何歳から始めても遅すぎることはない」――長寿時代の今こそ筋力の大切さを見直す時

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    25年以内に「がん」を上回る死因に...「スーパーバグ」とは何か? 対策のカギは「航空機のトイレ」に
  • 2
    信じられない...「洗濯物を干しておいて」夫に頼んだ女性が目にした光景が「酷すぎる」とSNS震撼、大論争に
  • 3
    東北で大腸がんが多いのはなぜか――秋田県で死亡率が下がった「意外な理由」
  • 4
    トレーニング継続率は7倍に...運動を「サボりたい」…
  • 5
    米ロ首脳会談の後、プーチンが「尻尾を振る相手」...…
  • 6
    「ガソリンスタンドに行列」...ウクライナの反撃が「…
  • 7
    「あなた誰?」保育園から帰ってきた3歳の娘が「別人…
  • 8
    【クイズ】世界で1番「風力発電」能力が高い国はどこ…
  • 9
    【クイズ】1位はアメリカ...稼働中の「原子力発電所…
  • 10
    20代で「統合失調症」と診断された女性...「自分は精…
  • 1
    「まさかの真犯人」にネット爆笑...大家から再三「果物泥棒」と疑われた女性が無実を証明した「証拠映像」が話題に
  • 2
    信じられない...「洗濯物を干しておいて」夫に頼んだ女性が目にした光景が「酷すぎる」とSNS震撼、大論争に
  • 3
    プール後の20代女性の素肌に「無数の発疹」...ネット民が「塩素かぶれ」じゃないと見抜いたワケ
  • 4
    皮膚の内側に虫がいるの? 投稿された「奇妙な斑点」…
  • 5
    なぜ筋トレは「自重トレーニング」一択なのか?...筋…
  • 6
    飛行機内で隣の客が「最悪」のマナー違反、「体を密…
  • 7
    脳をハイジャックする「10の超加工食品」とは?...罪…
  • 8
    「あなた誰?」保育園から帰ってきた3歳の娘が「別人…
  • 9
    「死ぬほど怖い」「気づかず飛び込んでたら...」家の…
  • 10
    「このクマ、絶対爆笑してる」水槽の前に立つ女の子…
  • 1
    「週4回が理想です」...老化防止に効くマスターベーション、医師が語る熟年世代のセルフケア
  • 2
    こんな症状が出たら「メンタル赤信号」...心療内科医が伝授、「働くための」心とカラダの守り方とは?
  • 3
    「自律神経を強化し、脂肪燃焼を促進する」子供も大人も大好きな5つの食べ物
  • 4
    デカすぎ...母親の骨盤を砕いて生まれてきた「超巨大…
  • 5
    デンマークの動物園、飼えなくなったペットの寄付を…
  • 6
    「まさかの真犯人」にネット爆笑...大家から再三「果…
  • 7
    信じられない...「洗濯物を干しておいて」夫に頼んだ…
  • 8
    山道で鉢合わせ、超至近距離に3頭...ハイイログマの…
  • 9
    ウォーキングだけでは「寝たきり」は防げない──自宅…
  • 10
    「レプトスピラ症」が大規模流行中...ヒトやペットに…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中