トランプに捨てられ現実を直視...ロシアの脅威を前に「嘆かわしいほど怠慢だった」と反省する欧州は「手遅れ」なのか

DEFENDING EUROPE

2025年4月4日(金)19時58分
エリー・クック(安全保障・防衛担当)、マシュー・トステビン(シニアエディター)

防衛意識の薄い一般市民

第2次大戦が勃発した当時、イギリスのGDPに政府支出が占める割合は20%だったから、戦費を賄うために60%まで引き上げることができた。だが現在はGDPの44%が政府支出で、防衛費を大幅に追加する余裕はない。フランスに至っては、GDPの57%が政府支出だ。

対してロシアは今よりも防衛費を増やす余裕がありそうだ。GDPに占める政府支出の割合は36%前後。アメリカが経済制裁を緩和すれば、この数字はさらに下がるだろう。

ロシアは今でも防衛費で欧州勢を上回っていることを示すデータもある。英シンクタンク・国際戦略研究所によれば、ロシアの物価がはるかに低いことを考慮に入れた購買力平価(PPP)では、24年のイギリスとEUの防衛費の総額4570億ドルに対して、ロシアのそれは4620億ドルに上るという。


フォンデアライエン欧州委員長は3月初め、「欧州再軍備計画」を発表。EUの防衛力強化のために最大1500億ユーロの融資の枠組みを設けることなどを提案した。

この計画には、財政赤字をGDPの3%以内に抑えるEUの財政規律の適用を一時的に免除する「免責条項」の発動も含まれている。それによりEU加盟国は財政赤字の拡大を気にせずに防衛費を増額できると、フォンデアライエンは言う。

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