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トランプ大統領によるベネズエラ移民の強制送還はなぜアメリカの「破滅を招く」のか

Donald Trump ignoring court order is "doomsday scenario"—Legal analyst

2025年3月18日(火)16時05分
ソフィー・クラーク

米国内で暮らす人は市民や合法居住者、不法滞在者の別を問わず全て、合衆国憲法によって法の適正手続きが保障されている。つまり裁判なしに人々を拘束して投獄するようなことは認められない。

トランプとイーロン・マスクをはじめとする彼の仲間たちはさらに、トランプ政権の決定に反対する判断を下した判事たちの解任を求めている。これは三権分立の原則に反する行為だ。

トランプ政権は16日夜、1798年に制定された「敵性外国人法」を根拠に掲げ、主にベネズエラ系の移民およそ250人を強制送還した。第二次世界大戦中に日系アメリカ人を強制収容する際に使われた法律だ。

しかし後に米連邦最高裁は、「一度アメリカの門をくぐった者は、たとえ違法入国であっても法の適正手続きの原則に則った公正な審査を経た上でのみ国外退去させることができる」という判断を下している。

また米最高裁は2006年、ハムダン対ラムズフェルド事件の判決において、敵の戦闘員やテロの容疑者であっても自身の拘束に対して異議を申し上げる権利があり、ジュネーブ条約に違反する形での拘束は許されないとの判断を示した。

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