最新記事
宇宙

イーロン・マスク「太陽系を植民地化したい」...現代のセシル・ローズが大宇宙の覇者になる

A NEW CECIL RHODES

2025年2月27日(木)19時35分
カロリーヌ・デ・フラウター(フォーリン・ポリシー誌コラムニスト)

newsweekjp20250227021450-827645a8dfec6268edcbe7789d0354a736bfe3b2.jpg

政府の全面的支援を受けてローズがアフリカの富を貪ったように、マスクは太陽系の植民地化を進める? JUSTIN SULLIVAN/GETTY IMAGES

フランスの哲学者ジャン・イズレは1906年、アメリカの軍人で海軍戦略理論家であるアルフレッド・マハンの著書の序文で、当時の世界情勢を次のように説明している。

「領土は限られているが、そこに住む人はどんどん増えている。供給は限られているが、需要は無限だ。......人間の集団が領土をめぐり、日の当たる場所をめぐり、戦うことになるだろう」

新たな略奪的資本主義の時代

イズレやローズが生きた時代は、自由資本主義(リベラル・キャピタリズム)が略奪的資本主義に変貌しつつある時代だった。そして現代も、同じようなシフトが起きている。


自由資本主義では、競争が重要な役割を果たす。人間や企業がつくるモノは、互いに交換されたり売買されたりする。全ての人に十分なスペースがあって、少なくとも理論的には、誰もがそのシステムの恩恵にあずかれる。また、そのシステムにおけるルールは万人に適用される。

略奪的資本主義はその次に起こり得る段階で、万人が豊かさの恩恵にあずかれるという感覚が激しい欠乏感に取って代わられ、交換は征服に変わる。このシフトは、17〜18世紀と19世紀末の2回起きた。

そして今、3回目が起きようとしているようだと、フランス社会科学高等研究院(EHSS)のアルノー・オラン教授は指摘する。

あわせて読みたい
ニュース速報

ビジネス

NYSE運営のICE、傘下のテキサスの取引所に重複

ワールド

米上院財政委、水力・原子力・地熱発電の税額控除を延

ワールド

飢饉リスク、世界13カ所で深刻化 ガザなど介入必要

ワールド

空爆激化でイラン国民が首都から避難、生活必需品の買
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:コメ高騰の真犯人
特集:コメ高騰の真犯人
2025年6月24日号(6/17発売)

なぜ米価は突然上がり、これからどうなるのか? コメ高騰の原因と「犯人」を探る

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    気温40℃、空港の「暑さ」も原因に?...元パイロットが指摘する、墜落したインド航空機の問題点
  • 2
    「タンパク質」より「食物繊維」がなぜ重要なのか?...「がん」「栄養」との関係性を管理栄養士が語る
  • 3
    ブラッド・ピット新髪型を「かわいい」「史上最高にかっこいい」とネット絶賛 どんなヘアスタイルに?
  • 4
    若者に大不評の「あの絵文字」...30代以上にはお馴染…
  • 5
    「サイドミラー1つ作れない」レアアース危機・第3波で…
  • 6
    50歳を過ぎた女は「全員おばあさん」?...これこそが…
  • 7
    サイコパスの顔ほど「魅力的に見える」?...騙されず…
  • 8
    林原めぐみのブログが「排外主義」と言われてしまう…
  • 9
    コメ高騰の犯人はJAや買い占めではなく...日本に根…
  • 10
    「そっと触れただけなのに...」客席乗務員から「辱め…
  • 1
    庭にクマ出没、固唾を呑んで見守る家主、そして次の瞬間...「信じられない行動」にネット驚愕
  • 2
    大阪万博は特に外国人の評判が最悪...「デジタル化未満」の残念ジャパンの見本市だ
  • 3
    気温40℃、空港の「暑さ」も原因に?...元パイロットが指摘する、墜落したインド航空機の問題点
  • 4
    「セレブのショーはもう終わり」...環境活動家グレタ…
  • 5
    ブラッド・ピット新髪型を「かわいい」「史上最高に…
  • 6
    「サイドミラー1つ作れない」レアアース危機・第3波で…
  • 7
    ファスティングをすると、なぜ空腹を感じなくなるの…
  • 8
    右肩の痛みが告げた「ステージ4」からの生還...「生…
  • 9
    アメリカは革命前夜の臨界状態、余剰になった高学歴…
  • 10
    今こそ「古典的な」ディズニープリンセスに戻るべき…
  • 1
    日本の「プラごみ」で揚げる豆腐が、重大な健康被害と環境汚染を引き起こしている
  • 2
    【定年後の仕事】65歳以上の平均年収ランキング、ワースト2位は清掃員、ではワースト1位は?
  • 3
    一瞬にして村全体が消えた...スイスのビルヒ氷河崩壊の瞬間を捉えた「恐怖の映像」に広がる波紋
  • 4
    庭にクマ出没、固唾を呑んで見守る家主、そして次の…
  • 5
    大爆発で一瞬にして建物が粉々に...ウクライナ軍「Mi…
  • 6
    「ママ...!」2カ月ぶりの再会に駆け寄る13歳ラブラ…
  • 7
    あなたも当てはまる? 顔に表れるサイコパス・ナルシ…
  • 8
    ドローン百機を一度に発射できる中国の世界初「ドロ…
  • 9
    【クイズ】EVの電池にも使われる「コバルト」...世界…
  • 10
    日本はもう「ゼロパンダ」でいいんじゃない? 和歌山…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中