トランプ支持者の「優しさ」に触れて...ワシントンで見た、反対派との議論で「溝が埋まる」瞬間【トランプ集会ルポ】

A RECONCILIATION

2025年1月29日(水)15時03分
岡田光世(ニューヨーク在住作家)

勝利集会の長蛇の列に並ぶトランプ支持者

勝利集会の長蛇の列に並ぶトランプ支持者 MITSUYO OKADA

私は翌19日、大統領就任式を前に、ワシントン市内の屋内競技場で行われる大規模なトランプの勝利集会を取材する予定だった。2万人収容の施設に先着順に入場する。午後3時開始だが、午前9時に到着した時には、長蛇の列ができていた。

「トランプの歴史的な復帰を祝う瞬間に立ち会いたい」と、全米だけでなく世界各地から支持者が駆け付けている。極端に民主党寄りのこの街を、「MAGA(アメリカを再び偉大に)」の赤い野球帽やマフラーを身に着けた支持者らが闊歩し、「トランプ! トランプ! トランプ!」のかけ声が響き渡る。共和党を意味する「真っ赤」に、街は染まった。


氷点下の寒さの中、雨が降り出し、やがて雪に変わる。支持者たちは「USA! USA! USA!」と連呼し、米国歌を歌い、熱気で寒さを忘れているかのようだ。

トランプ支持者の優しさ

ようやく4時頃、荷物検査までたどり着いたところでトラブルが起きた。ポケットの中の物を全てテーブルに置き、検査を受けた。が、目を離した隙に、財布とスマホ2台がなくなっていた。間違えて持っていかれたか、盗まれたんだろう、と係の人は言う。

呆然としながら会場に入る。規制で一眼レフは持ち込めないと思い、写真をスマホで撮る予定だった。会場の人の波を見ながら、もう戻ってくることはないと絶望する。

と、席に着いた私の元に女性が現れる。毛糸の帽子を逆さに、供え物のように両手に抱えて。中に私の財布とスマホ2台が入っていた。

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