最新記事
アメリカ

【注目トピック】「間接的に殺す」トランプの復讐は決して途中で止まらない

2025年1月27日(月)14時38分
ヘスス・メサ
ジョー・バイデン

大統領執務室での退任演説で「家族が危険に晒されている」と語ったバイデン(1月15日) Mandel NGAN/Pool/ABACAPRESS.COM

<かつての自分の政策やフェイクニュースのせいで、国内外の勢力に命を狙われているのを知りながら警護を外す。トランプの陰湿な復讐はいつまで続くのか?その最終ターゲットはあの人か?>

新型コロナパンデミックの際にドナルド・トランプ前大統領に助言した感染症専門家アンソニー・ファウチが、政府の保護を失った最新の元補佐官であることを、関係筋が1月24日に確認した。

突然の警護打ち切りは、ジョン・ボルトン元国家安全保障顧問、マイク・ポンペオ元国務長官、ブライアン・フック元大統領補佐官など、知名度の高い元政府高官に見られるパターンを反映している。これらの決断は、トランプ政権で果たした役割ゆえに彼らが生命の危険にさらされているにも関わらず実行された。


 

ボルトンやポンペイオらはいずれも、第一期トランプ政権がイランに対して行った「宣戦布告」ともいえるカセム・ソレイマニ司令官暗殺の立案に深く関わった当事者で、いまもイランに命を狙われ続けているというのが安全保障関係者の一致した見方だ。トランプはそれを、その後自分に異論を唱えたからといって、丸腰で放り出したのだ。

この動きについて尋ねられたトランプ大統領は、「彼らは皆、大金を稼いだ。彼らは自分たちで警備を雇えばいい」。

ボルトン、フック、ポンペオの3人は以前、イランからの脅威のため、バイデン政権が警備の詳細を延長した。ファウチの保護も同様だ。ファウチはパンデミック中に実施した公衆衛生戦略に反発する人々により、国内から多くの脅迫を受けていた。マスク義務化で個人の自由を侵害し、「効果がない」か「有害」でさえある予防ワクチン接種を奨励したというわけだ。

最後に、誰よりも危険といえるのはジョン・バイデン前大統領とその家族だろう。バイデンは退任演説であえてそのことに触れ、自らの家族が危険にさらされていると全米に訴えた。明確な根拠は示さなかったが、バンデンは2020年の大統領選でトランプから「選挙を盗んだ」最大の政敵だからだ。

トランプはバイデン一家に対する直接的な脅迫は否定しているが、次男ハンター・バイデンに対しては、汚職や非倫理的なビジネス取引について非難し、繰り返し攻撃してきた。

ニューズウィーク日本版 教養としてのBL入門
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2025年12月23日号(12月16日発売)は「教養としてのBL入門」特集。実写ドラマのヒットで高まるBL(ボーイズラブ)人気の歴史と背景をひもとく/日米「男同士の愛」比較/権力と戦う中華BL/まずは入門10作品

※バックナンバーが読み放題となる定期購読はこちら


あわせて読みたい
ニュース速報

ビジネス

EUのガソリン車販売禁止撤回、業界の反応分かれる

ワールド

米、EUサービス企業への対抗措置警告 X制裁金受け

ワールド

北・東欧8カ国首脳、EUの防衛強化訴え ロシアは「

ビジネス

米ワーナー、パラマウントの買収案拒否の公算 17日
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:教養としてのBL入門
特集:教養としてのBL入門
2025年12月23日号(12/16発売)

実写ドラマのヒットで高まるBL(ボーイズラブ)人気。長きにわたるその歴史と深い背景をひもとく

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切り札として「あるもの」に課税
  • 3
    【実話】学校の管理教育を批判し、生徒のため校則を変えた校長は「教員免許なし」県庁職員
  • 4
    ミトコンドリア刷新で細胞が若返る可能性...老化関連…
  • 5
    「住民が消えた...」LA国際空港に隠された「幽霊都市…
  • 6
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入と…
  • 7
    【人手不足の真相】データが示す「女性・高齢者の労…
  • 8
    FRBパウエル議長が格差拡大に警鐘..米国で鮮明になる…
  • 9
    空中でバラバラに...ロシア軍の大型輸送機「An-22」…
  • 10
    【衛星画像】南西諸島の日米新軍事拠点 中国の進出…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切り札として「あるもの」に課税
  • 3
    【衛星画像】南西諸島の日米新軍事拠点 中国の進出を睨み建設急ピッチ
  • 4
    デンマーク国防情報局、初めて米国を「安全保障上の…
  • 5
    【銘柄】資生堂が巨額赤字に転落...その要因と今後の…
  • 6
    ミトコンドリア刷新で細胞が若返る可能性...老化関連…
  • 7
    【実話】学校の管理教育を批判し、生徒のため校則を…
  • 8
    【クイズ】「100名の最も偉大な英国人」に唯一選ばれ…
  • 9
    香港大火災の本当の原因と、世界が目撃した「アジア…
  • 10
    中国軍機の「レーダー照射」は敵対的と、元イタリア…
  • 1
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 2
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 3
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸送機「C-130」謎の墜落を捉えた「衝撃映像」が拡散
  • 4
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした…
  • 5
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
  • 6
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切…
  • 7
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 8
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 9
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 10
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中