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荒川河畔の「原住民」(19)

「ホームレスになることが夢だった」日本人男性が、本当にホームレスになった

2025年1月24日(金)06時30分
文・写真:趙海成

80年代の日本社会は少年犯罪が横行し、不良グループが幅を利かせていた。征一郎さんもこの時代の渦に巻き込まれた。彼がその時の話をしてくれた。

「最初は赤羽地区の暴走族のメンバーになったけど、みんな暗くてクールすぎて、明るくて陽気な僕には合わなかった。だからその暴走族を離れ、自分の名前を冠した100人近くのチームを作りました。

ケンカ好きで、強気で攻撃的な姿勢を持つ『タカ派』チームと比べて、僕のチームは仲間たちがみんな明るくて自由が好きで、わいわい楽しく遊んでいる若者向けサロン(社交や娯楽の場)のような雰囲気でした」

商業高校に進学後、退学処分になった

中学卒業後は、商業高校に進学した。その頃の征一郎さんは若気の至りで、いたずらっ子で、遊びに夢中で、学校をサボることは日常茶飯事だった。学校が彼に何度警告しても全く意味がなかった。

通常、学校側はこのような不良少年に対して、保護者に連絡し、自分の子供をよくしつけるよう伝えるのだが、征一郎さんの家庭には事情があった。両親は彼が中学生になる前に離婚し、母親が家を出た後、父親が病気で亡くなったのだ。

彼は家族からのしつけを受けることなく、家庭の温かみに欠けた一人ぼっちの少年だった。

学校側は征一郎さんのような問題を抱えた生徒に手を焼き、出席率が基準を満たしていないこと、過去の試験に不合格であることを理由に退学を勧めるしかなかった。

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