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日本社会

妻が専業主婦でも共働きでも、夫の家事分担は2割でしかない

2025年1月8日(水)12時00分
舞田敏彦(教育社会学者)

上記のデータは母親に尋ねた結果で、父親に問うたら違う結果になるのでは、という疑問もあるだろう。妻の就業状態に依拠して父親をグループ分けし、自分の家事分担割合を答えてもらった結果を平均することもできる。妻と夫の回答を左右に並べると、<図2>のようになる。

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夫は家事の何%を担っているか。妻と夫本人の回答を平均した結果はかなり差があり、妻が主婦の家庭だと前者が7.4%、後者が14.1%。妻が正社員の家庭だと順に18.9%、37.0%。どのグループでも、夫は妻の評価の2倍家事をしていると考えている。それでも、妻と夫の回答の中間をとると正社員共稼ぎ世帯の家事分担は「妻7:夫3」で、妻に偏っている印象は否めない。

家事をどう見るかについて、夫婦の認識に差があることも問題だろう。掃除・洗濯・料理のような分かりやすいものだけでなく、目に見えにくい「名もなき家事」もある。<図2>のグラフには、この部分への認識の違いが出ているものと思われる。細かな「名もなき家事」をリスト化し、どちらが担っているかで色分けするアプリも開発されているが、こうした「見える化」は妙案だ。

ここで見たのは東京都のデータだが、地方ではもっと偏りが大きいかもしれない。家庭内でのジェンダー平等を進めない限り、未婚化・少子化に歯止めはかかりそうにない。

<資料:東京都『とうきょうこどもアンケート』(2024年)の個票データ>

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