最新記事
荒川河畔の原住民⑮

わが友人、ホームレス、テントに暮らす荒川の釣り名人。奇跡が起きることを祈っている

2024年12月11日(水)21時00分
文・写真:趙海成

読者の皆さんは、彼が何を頼りに、そしてどのように生きているかに興味を持っているだろう。ここで、私が知る桂さんの「生きる術」をいくつか紹介しよう。

まずは肝心な生活費の出所だ。桂さんの仕事はシンプルで、アルミ缶を集めて廃品買取所に売ることだ。彼はこれを「缶の仕事」と呼ぶ。

アルミ缶がまだ売れる限り、彼の収入源がなくなることは心配しなくてもいいだろう。

桂さん、この仕事の最大の特徴について、こう話していた。「頭を使わず、人に頼まず、誰にも管理されず、やりたいときにやり、働いた分だけ稼ぐことができ、やらなければ稼ぐことができない」

桂さんは基本的に2日に1回、アルミ缶の収集に行く。通常は午前3時に出発し、6時まで缶を集める。それを家に持ち帰って、朝ご飯を食べる。その後、収集したアルミ缶をすべてぺしゃんこにして(体積を小さくして輸送しやすくする)、自転車で廃品買取所に持っていく。

20キロぐらいの缶を売って、4000〜5000円をもらえる。このお金は2日分の生活費としては十分で、それ以上は稼がないという。

荒川河川敷のホームレス荒川河川敷のホームレス

桂さんの家を出て15メートル歩くと釣りにちょうどいい場所がある(上)/桂さんがエビ捕りのための地網を設置しているコンクリートブロック(左下)/桂さんが新鮮なエビの水煮を持ってきて味見させてくれた(右下)

まるで青い別荘...器用な桂さんが作るテント小屋

次に、桂さんの「住宅」について話す。彼は少なくとも大きさの異なるテントの小屋を4つ張っていた。2つは住居用、1つは客間、もう1つは倉庫として使っている。

川の対岸から桂さんのテント群を眺めると、まるで青く連なった別荘のようである。これは彼の手先の器用さのおかげだろう。

あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

ウクライナ南部ザポリージャで14人負傷、ロシアの攻

ビジネス

アマゾン、第1四半期はクラウド部門売上高さえず 株

ビジネス

アップル、関税で4─6月に9億ドルコスト増 影響抑

ワールド

トランプ政権、零細事業者への関税適用免除を否定 大
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:英語で学ぶ 国際ニュース超入門
特集:英語で学ぶ 国際ニュース超入門
2025年5月 6日/2025年5月13日号(4/30発売)

「ゼロから分かる」各国・地域情勢の超解説と時事英語

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    日本の未婚男性の「不幸感」は他国と比べて特異的に高く、女性では反対に既婚の方が高い
  • 2
    マリフアナを合法化した末路とは? 「バラ色の未来が来るはずだったのに...」
  • 3
    タイタニック生存者が残した「不気味な手紙」...何が書かれていた?
  • 4
    ウクライナ戦争は終わらない──ロシアを動かす「100年…
  • 5
    インド北部の「虐殺」が全面「核戦争」に発展するか…
  • 6
    MRI検査で体内に「有害金属」が残留する可能性【最新…
  • 7
    悲しみは時間薬だし、幸せは自分次第だから切り替え…
  • 8
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」では…
  • 9
    クルミで「大腸がんリスク」が大幅に下がる可能性...…
  • 10
    日々、「幸せを実感する」生活は、実はこんなに簡単…
  • 1
    日本史上初めての中国人の大量移住が始まる
  • 2
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」ではない
  • 3
    MRI検査で体内に「有害金属」が残留する可能性【最新研究】
  • 4
    中国で「ネズミ人間」が増殖中...その驚きの正体とは…
  • 5
    ロシア国内エラブガの軍事工場にウクライナが「ドロ…
  • 6
    日本の未婚男性の「不幸感」は他国と比べて特異的に…
  • 7
    パニック発作の原因の多くは「ガス」だった...「ビタ…
  • 8
    マリフアナを合法化した末路とは? 「バラ色の未来…
  • 9
    使うほど脱炭素に貢献?...日建ハウジングシステムが…
  • 10
    私の「舌」を見た医師は、すぐ「癌」を疑った...「口…
  • 1
    【話題の写真】高速列車で前席のカップルが「最悪の行為」に及ぶ...インド人男性の撮影した「衝撃写真」にネット震撼【画像】
  • 2
    日本史上初めての中国人の大量移住が始まる
  • 3
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」ではない
  • 4
    健康寿命を伸ばすカギは「人体最大の器官」にあった.…
  • 5
    【心が疲れたとき】メンタルが一瞬で “最…
  • 6
    間食はなぜ「ナッツ一択」なのか?...がん・心疾患・抜…
  • 7
    北朝鮮兵の親たち、息子の「ロシア送り」を阻止する…
  • 8
    【クイズ】世界で最も「半導体の工場」が多い国どこ…
  • 9
    クレオパトラの墓をついに発見? 発掘調査を率いた…
  • 10
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中