最新記事
荒川河畔の原住民⑮

わが友人、ホームレス、テントに暮らす荒川の釣り名人。奇跡が起きることを祈っている

2024年12月11日(水)21時00分
文・写真:趙海成
荒川河川敷のホームレス

桂さん(仮名)は筆者が最初知り合ったホームレスであり、最も親しい友人でもある。ホームレスらしからぬところもある

<荒川河川敷のホームレスを取材する在日中国人ジャーナリストの趙海成氏が初めて出会ったホームレスは、「伝説」のように生きる桂さん(仮名)。食事を共にし、親交が深かったが、事態は急変する>

※ルポ第14話:突然姿を消した荒川ホームレスの男性 何が起こったのか、残された「兄弟」は... より続く

2024年6月のある日、私のホームレスの友人である桂さん(仮名)は、アルミ缶を売り終えた帰り道で、突然気を失い、意識を失った。

病院での救急措置を経て、命は救われたが、意識は回復せず、今も病院のベッドに横たわっている。

荒川河川敷のホームレス

筆者(左)と桂さん

ついこの間までパーティーの約束をして元気だったのに...

その1週間前には、外で羊肉のしゃぶしゃぶパーティーを開こうと約束したばかりだった。そのために私は、友人からもらった専用の炭火大火鍋を、前もって彼のところに届けたのだが......。

今はただ彼の身に起きたことを残念だと思いながら、「人生難測、世事無常」(「人生は予測不可能であり、世間は無常である」という意味の中国語)と嘆くしかない。

桂さんは私が最初に出会った荒川河川敷のホームレスだ。

彼と知り合って間もなく、私はフリージャーナリスト兼カメラマンであること、そして日本のホームレスの生活に興味があり、彼らに関する物語を書き、国内外の多くの読者に紹介したいということを伝えた。

桂さんの信頼を得るために、私は彼に日本で出版された著書『私たちはこうしてゼロから挑戦した』(アルファベータブックス)を贈った。その後、彼はわざわざ私に感想を話してくれた。

編集部よりお知らせ
ニューズウィーク日本版「SDGsアワード2025」
あわせて読みたい
ニュース速報

ビジネス

アングル:値上げ続きの高級ブランド、トランプ関税で

ワールド

訂正:トランプ氏、「適切な海域」に原潜2隻配備を命

ビジネス

トランプ氏、雇用統計「不正操作」と主張 労働省統計

ビジネス

労働市場巡る懸念が利下げ支持の理由、FRB高官2人
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:トランプ関税15%の衝撃
特集:トランプ関税15%の衝撃
2025年8月 5日号(7/29発売)

例外的に低い日本への税率は同盟国への配慮か、ディールの罠か

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「週4回が理想です」...老化防止に効くマスターベーション、医師が語る熟年世代のセルフケア
  • 2
    日本人の児童買春ツアーに外務省が異例の警告
  • 3
    12歳の娘の「初潮パーティー」を阻止した父親の投稿がSNSで話題に、母親は嫌がる娘を「無視」して強行
  • 4
    カムチャツカも東日本もスマトラ島沖も──史上最大級…
  • 5
    【クイズ】2010~20年にかけて、キリスト教徒が「多…
  • 6
    ウォーキングだけでは「寝たきり」は防げない──自宅…
  • 7
    これはセクハラか、メンタルヘルス問題か?...米ヒー…
  • 8
    枕元に響く「不気味な咀嚼音...」飛び起きた女性が目…
  • 9
    一帯に轟く爆発音...空を横切り、ロシア重要施設に突…
  • 10
    オーランド・ブルームの「血液浄化」報告が物議...マ…
  • 1
    「週4回が理想です」...老化防止に効くマスターベーション、医師が語る熟年世代のセルフケア
  • 2
    ウォーキングだけでは「寝たきり」は防げない──自宅で簡単にできる3つのリハビリ法
  • 3
    囚人はなぜ筋肉質なのか?...「シックスパック」は夜つくられる
  • 4
    いきなり目の前にヒグマが現れたら、何をすべき? 経…
  • 5
    日本人の児童買春ツアーに外務省が異例の警告
  • 6
    12歳の娘の「初潮パーティー」を阻止した父親の投稿…
  • 7
    いま玄関に「最悪の来訪者」が...ドアベルカメラから…
  • 8
    中国が強行する「人類史上最大」ダム建設...生態系や…
  • 9
    枕元に響く「不気味な咀嚼音...」飛び起きた女性が目…
  • 10
    【クイズ】1位は韓国...世界で2番目に「出生率が低い…
  • 1
    「週4回が理想です」...老化防止に効くマスターベーション、医師が語る熟年世代のセルフケア
  • 2
    その首輪に書かれていた「8文字」に、誰もが言葉を失った
  • 3
    ウォーキングだけでは「寝たきり」は防げない──自宅で簡単にできる3つのリハビリ法
  • 4
    頭はどこへ...? 子グマを襲った「あまりの不運」が…
  • 5
    幸せホルモン「セロトニン」があなたを変える──4つの…
  • 6
    囚人はなぜ筋肉質なのか?...「シックスパック」は夜…
  • 7
    「細身パンツ」はもう古い...メンズファッションは…
  • 8
    ディズニー・クルーズラインで「子供が海に転落」...…
  • 9
    「ベンチプレス信者は損している」...プッシュアップ…
  • 10
    ロシアの労働人口減少問題は、「お手上げ状態」と人…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中