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トランプが決めたことに文句は言えない「文化大革命時代の中国とそっくり」毛沢東との共通項

Trump’s Goal Is Chaos

2024年12月5日(木)10時40分
ハワード・フレンチ(コラムニスト)

中国を大混乱に導いたあの時代のもう1つの特徴も見て取れる。われらが気高き指導者の言うことは全て(もしもそれがアメリカ社会の諸制度の破壊につながるとしても)正しいと、共和党議員の大半が信じて疑わないことだ。

こうした妄信が60年前の中国を大混乱に陥れ、想像を絶する悲劇と損害を招いた。いや、そんなアナロジーは別にしても、トランプが要職に指名した人物の多くが、その役職にほんの少しでも適した資質を持っていると認めることは到底できない。


狙いは「敵対的買収」?

国防長官候補のピート・ヘグセスは高いレベルの防衛政策に関する経験を欠き、巨大組織を運営したこともない。本人は否定しているが複数の性的暴行疑惑に直面しており、キリスト教原理主義者とのつながりも指摘されている。

アメリカにとって最重要な同盟であるNATOに出向く大使にはマシュー・ウィティカーが指名されたが、彼には外交や国際政治の知識が一切ない。国家情報長官候補のタルシー・ガバードは陸軍予備役の中佐でイラクにいた時期もあるが、高レベルの諜報活動や管理・運営について特筆すべき経験はない。

保健福祉長官に指名されたロバート・ケネディJr.はワクチンに反対するなど、医学の常識を否定する発言を繰り返してきた。トランプが廃止を宣言している教育省の長官に指名されたリンダ・マクマホンにはプロの教師としての経験がなく、教育学の学位を取得したという虚偽の主張をした過去がある。

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