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南シナ海

南シナ海の中国の暴挙はアメリカが止めよ

AMERICA MUST STAND UP

2024年11月19日(火)12時10分
ブラマ・チェラニ(インド政策研究センター教授)

アメリカがフィリピンに対する防衛義務を怠ったのはこの時が初めてではない。1995年、南沙諸島のミスチーフ礁を中国が占拠するのを阻止するようフィリピンが求めたが、当時のクリントン大統領は、米軍の駐留延長をフィリピン上院に拒否されて1992年に同国から米軍が撤退していたことを受けてこれを拒否。ミスチーフ礁は現在、中国の重要な軍事拠点となっている。

罰を受けない中国はどんどん大胆になっている。習は埋め立てを進め、南シナ海に7つの人工島を含む1300ヘクタールの土地を造成。中国がフィリピンの排他的経済水域(EEZ)内における支配を強め、フィリピンの安全保障を損なっているにもかかわらず、アメリカは「鉄壁な」防衛義務を行使していると強調し続けている。


バイデン政権は2023年10月、第三者が南シナ海でフィリピン軍や沿岸警備隊、航空機、公船に攻撃した場合は、米比相互防衛条約の対象になると明言した。しかし中国は処罰されないままだ。

アメリカの言葉と行動にギャップがあるのはなぜなのか。何よりアメリカが恐れているのは、同国の資源や関心がウクライナや中東での戦争に集中するなかで中国がエスカレートすることだ。それに、自国に関係のない南シナ海の領有権争いに関与したくないのだ。尖閣諸島の日本の主権についても、アメリカは見解を示していない。

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