最新記事
O157

マクドナルド、食中毒問題で原因究明や信頼回復へ対応急ぐ

2024年10月24日(木)11時20分
米コロラド州のマクドナルド(2017年)

10月23日、米マクドナルドのハンバーガー「クォーターパウンダー」を食べた人が腸管出血性大腸菌O157による食中毒になった問題で、同社は原因究明や信頼回復に向けた対応を急いでいる。コロラド州ウェストミンスターで2017年撮影(2024年 ロイター/Rick Wilking)

米マクドナルドのハンバーガー「クォーターパウンダー」を食べた人が腸管出血性大腸菌O157による食中毒になった問題で、同社は原因究明や信頼回復に向けた対応を急いでいる。食中毒の症状が出たのはこれまでに49人で、うち1人が死亡。米疾病対策センター(CDC)によると、10人が入院した。

CDCの広報担当者は「今後食中毒の件数が増えると予想される。マクドナルドはかなり迅速に手を打っており、できるだけ多くの発生を防ぐことを期待している」と述べた。

過去に米大手ファストフードチェーンで起きたO157の食中毒では、消費者が何カ月も当該チェーンの利用を避ける事態を招いている。

こうした中で、マクドナルドは全米1万4000店のうち約2割でクォーターパウンダーをメニューから外した。米国部門のジョー・アーリンガー社長は、人々の信頼を取り戻すことが必要だと強調した。

クォーターパウンダーがメニューから外されたのは、コロラド、カンザス、ユタ、ワイオミングの各州と、アイダホやアイオワ、ミズーリ、モンタナ、ネブラスカ、ネバダ、ニューメキシコ、オクラホマといった州の一部。

CDCとマクドナルドは、細切りにした生のタマネギと牛肉のパティが食中毒の原因ではないかとみて詳しく調べている。

マクドナルド広報担当者が牛肉による食中毒の可能性がまだ否定できないと表明した23日、同社株は前日比5.1%安の298.57ドルで取引を終えた。取引時間中には一時290.88ドルまで売り込まれた。

アナリストは、今回の件でマクドナルドのブランド力が打撃を受ける恐れがあると警告している。

CFRAリサーチのアナリスト、アルン・サンダラム氏は「最悪のシナリオならば、食中毒件数がさらに拡大するか、複数の食材ないしサプライヤーに影響が及び、問題が長期化してブランドが傷つきかねない」と指摘した。

マクドナルドのアーリンガー氏は「直近24時間の出来事を踏まえると、われわれが優先すべきは米消費者の信頼を再び確固としたものにすることだ」と強調した。

アナリストによると、この問題がマクドナルドの2024年第4・四半期売上高を圧迫する可能性はあるものの、現時点では過去のO157による食中毒よりも強い逆風になるかどうかはまだ判断できないとしている。



[ロイター]


トムソンロイター・ジャパン

Copyright (C) 2024トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます

ニューズウィーク日本版 トランプ関税15%の衝撃
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2025年8月5日号(7月29日発売)は「トランプ関税15%の衝撃」特集。例外的に低い税率は同盟国・日本への配慮か、ディールの罠

※バックナンバーが読み放題となる定期購読はこちら


編集部よりお知らせ
ニューズウィーク日本版「SDGsアワード2025」
あわせて読みたい
ニュース速報

ビジネス

テスラに2.43億ドルの賠償命令、死傷事故で連邦陪

ビジネス

バークシャー、第2四半期は減益 クラフト株で37.

ビジネス

クグラーFRB理事が退任、8日付 トランプ氏歓迎

ビジネス

アングル:米企業のCEO交代加速、業績不振や問題行
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:トランプ関税15%の衝撃
特集:トランプ関税15%の衝撃
2025年8月 5日号(7/29発売)

例外的に低い日本への税率は同盟国への配慮か、ディールの罠か

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「週4回が理想です」...老化防止に効くマスターベーション、医師が語る熟年世代のセルフケア
  • 2
    オーランド・ブルームの「血液浄化」報告が物議...マイクロプラスチックを血中から取り除くことは可能なのか?
  • 3
    12歳の娘の「初潮パーティー」を阻止した父親の投稿がSNSで話題に、母親は嫌がる娘を「無視」して強行
  • 4
    日本人の児童買春ツアーに外務省が異例の警告
  • 5
    カムチャツカも東日本もスマトラ島沖も──史上最大級…
  • 6
    メーガンとキャサリン、それぞれに向けていたエリザ…
  • 7
    いま玄関に「最悪の来訪者」が...ドアベルカメラから…
  • 8
    ウォーキングだけでは「寝たきり」は防げない──自宅…
  • 9
    ハムストリングスは「体重」を求めていた...神が「脚…
  • 10
    枕元に響く「不気味な咀嚼音...」飛び起きた女性が目…
  • 1
    「週4回が理想です」...老化防止に効くマスターベーション、医師が語る熟年世代のセルフケア
  • 2
    ウォーキングだけでは「寝たきり」は防げない──自宅で簡単にできる3つのリハビリ法
  • 3
    日本人の児童買春ツアーに外務省が異例の警告
  • 4
    12歳の娘の「初潮パーティー」を阻止した父親の投稿…
  • 5
    囚人はなぜ筋肉質なのか?...「シックスパック」は夜…
  • 6
    いま玄関に「最悪の来訪者」が...ドアベルカメラから…
  • 7
    いきなり目の前にヒグマが現れたら、何をすべき? 経…
  • 8
    枕元に響く「不気味な咀嚼音...」飛び起きた女性が目…
  • 9
    【クイズ】1位は韓国...世界で2番目に「出生率が低い…
  • 10
    一帯に轟く爆発音...空を横切り、ロシア重要施設に突…
  • 1
    「週4回が理想です」...老化防止に効くマスターベーション、医師が語る熟年世代のセルフケア
  • 2
    その首輪に書かれていた「8文字」に、誰もが言葉を失った
  • 3
    ウォーキングだけでは「寝たきり」は防げない──自宅で簡単にできる3つのリハビリ法
  • 4
    頭はどこへ...? 子グマを襲った「あまりの不運」が…
  • 5
    幸せホルモン「セロトニン」があなたを変える──4つの…
  • 6
    囚人はなぜ筋肉質なのか?...「シックスパック」は夜…
  • 7
    「細身パンツ」はもう古い...メンズファッションは…
  • 8
    「ベンチプレス信者は損している」...プッシュアップ…
  • 9
    ロシアの労働人口減少問題は、「お手上げ状態」と人…
  • 10
    いきなり目の前にヒグマが現れたら、何をすべき? 経…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中