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中東情勢

殺されたナスララの使命は「イスラエル壊滅」だった──代々のアラブ指導者の見果てぬ夢だ

THE MIDDLE EAST’S DEADLY DREAM PALACES

2024年10月15日(火)19時37分
シュロモ・ベンアミ(歴史家、イスラエル元外相)
イスラエル兵の死を悼む人々

「完全勝利」を目指すイスラエルもまた見果てぬ夢を見ている(写真は、イスラエル兵の死を悼む人々) REUTERS/Gonzalo Fuentes

イスラエルによるイスラム教シーア派組織ヒズボラの最高指導者、ハッサン・ナスララ師暗殺は、中東における歴史的事件だ。イランの代理勢力であるヒズボラへの攻撃にイランが見せた反応からも分かるとおり、衝撃は中東全域、さらには世界に広がる可能性が高い。

ナスララの使命は、イスラエルを破壊することだった。それは、ユダヤ人殲滅についてヒトラーと話したパレスチナのイスラム教指導者ハジ・アミン・アル・フセイニ師から、イスラエル攻撃を「殲滅戦争」と表現したアラブ連盟のアザム初代事務総長に至るまで、無数のアラブ指導者たちから引き継いだバトンだった。


エジプトのナセル大統領(当時、以下同)は汎アラブ主義の象徴であり、「イスラエルを破壊する」と誓った。イラクのフセイン大統領とパレスチナの政治組織ファタハを設立したヤセル・アラファトは、ユダヤ人国家打倒という独自の夢を育んだ。そうした夢には常に、自分こそアラブ救世主の後継者であるとばかりの、少々の傲慢さが付きまとった。

フセイニ、ナセル、フセイン、アラファトの4人全員が汎アラブという壮大な夢の実現に失敗した。だがアラブの知識人たちの多くは彼らの妄想を守り続けた。知識人たちは近代化や世俗主義、社会や経済の発展よりも、空虚な汎アラブナショナリズムを優先させた。彼らにとってはイスラエルの存在こそが、自らの失敗を証明していた。

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