最新記事
中国海軍

中国海軍が台湾と与那国島の間を頻繁に航行する新たな作戦意図

Worrisome New Trends

2024年10月1日(火)13時39分
馬振坤(マー・チョンクン、国防大学〔台湾〕教授・中国防衛問題プロジェクトディレクター)、K・トリスタン・タン(同プロジェクト研究助手)

第2に、中国の動きは台湾海軍に物理的にもコストの面でも多大な負担を強いる。

与那国島と海峡を挟んだ蘇澳港は海軍の重要拠点で、台湾最大の基隆級(キッド級)ミサイル駆逐艦や最古の済陽級(ノックス級)フリゲート艦が配備されている。


つまり中国の艦船が海峡を航行する場合、主に対応に当たるのはこれらの艦船だ。中国の動きが活発になれば、出動回数は増える。

基隆級駆逐艦を派遣すればそのたびに莫大な費用がかかり、老朽化したフリゲート艦の維持は困難で費用もかさむ。この地域への中国の消耗戦略は、台湾にとって周辺の他地域に比べてかなりダメージが大きい。

第3に海上自衛隊の南西諸島における拠点は那覇で、海峡には福建省三都澳にある中国の海軍基地よりも遠い。与那国島と台湾の海峡を航行する中国の艦船に今後も継続的に対応するとなれば、中国よりも艦船の派遣に苦労し、後方支援のコストも膨らむだろう。

南西諸島と台湾の東側海域における中国の動きは注視していく必要がある。同時に日本の海上自衛隊と台湾の海軍は海峡でのプレゼンスを高め、中国の動きに効果的に対処して艦船に圧力をかけるために、より広範な協力体制を築くべきだ。

From thediplomat.com

ニューズウィーク日本版 台湾有事 そのとき世界は、日本は
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2025年8月26日号(8月19日発売)は「台湾有事 そのとき世界は、日本は」特集。中国の圧力とアメリカの「変心」に強まる台湾の危機感。東アジア最大のリスクを考える

※バックナンバーが読み放題となる定期購読はこちら


あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

ブタペスト、米・ロ・ウ3者会談の開催地か ホワイト

ワールド

首都ワシントン州兵派遣、共和党6州が1100人 ト

ワールド

米政権、インテル株取得検討を確認 出資は「経営安定

ワールド

プーチン氏が「取引望まない可能性も」とトランプ氏、
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:台湾有事 そのとき世界は、日本は
特集:台湾有事 そのとき世界は、日本は
2025年8月26日号(8/19発売)

中国の圧力とアメリカの「変心」に危機感。東アジア最大のリスクを考える

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「レプトスピラ症」が大規模流行中...ヒトやペットに感染、最悪の場合死亡も
  • 2
    「あなた誰?」保育園から帰ってきた3歳の娘が「別人」だった...母親によるビフォーアフター画像にSNS驚愕
  • 3
    【クイズ】2028年に完成予定...「世界で最も高いビル」を建設中の国は?
  • 4
    頭部から「黒い触手のような角」が生えたウサギ、コ…
  • 5
    「自律神経を強化し、脂肪燃焼を促進する」子供も大…
  • 6
    広大な駐車場が一面、墓場に...ヨーロッパの山火事、…
  • 7
    時速600キロ、中国の超高速リニアが直面する課題「ト…
  • 8
    【クイズ】沖縄にも生息、人を襲うことも...「最恐の…
  • 9
    「死ぬほど怖い」「気づかず飛び込んでたら...」家の…
  • 10
    「吐きそうになった...」高速列車で前席のカップルが…
  • 1
    「自律神経を強化し、脂肪燃焼を促進する」子供も大人も大好きな5つの食べ物
  • 2
    将来ADHDを発症する「幼少期の兆候」が明らかに?...「就学前後」に気を付けるべきポイント
  • 3
    「レプトスピラ症」が大規模流行中...ヒトやペットに感染、最悪の場合死亡も
  • 4
    頭部から「黒い触手のような角」が生えたウサギ、コ…
  • 5
    「あなた誰?」保育園から帰ってきた3歳の娘が「別人…
  • 6
    「笑い声が止まらん...」証明写真でエイリアン化して…
  • 7
    「長女の苦しみ」は大人になってからも...心理学者が…
  • 8
    【クイズ】次のうち、「海軍の規模」で世界トップ5に…
  • 9
    「何これ...」歯医者のX線写真で「鼻」に写り込んだ…
  • 10
    債務者救済かモラルハザードか 韓国50兆ウォン債務…
  • 1
    「週4回が理想です」...老化防止に効くマスターベーション、医師が語る熟年世代のセルフケア
  • 2
    こんな症状が出たら「メンタル赤信号」...心療内科医が伝授、「働くための」心とカラダの守り方とは?
  • 3
    「自律神経を強化し、脂肪燃焼を促進する」子供も大人も大好きな5つの食べ物
  • 4
    デカすぎ...母親の骨盤を砕いて生まれてきた「超巨大…
  • 5
    デンマークの動物園、飼えなくなったペットの寄付を…
  • 6
    ウォーキングだけでは「寝たきり」は防げない──自宅…
  • 7
    山道で鉢合わせ、超至近距離に3頭...ハイイログマの…
  • 8
    将来ADHDを発症する「幼少期の兆候」が明らかに?...…
  • 9
    「レプトスピラ症」が大規模流行中...ヒトやペットに…
  • 10
    イラン人は原爆資料館で大泣きする...日本人が忘れた…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中