最新記事
考古学

AI技術が加速させた「ナスカ地上絵」の調査...303点の新発見

Hundreds of Mysterious Ancient Nazca Land Artworks Found with Aid of AI

2024年9月25日(水)12時10分
アリストス・ジョージャウ
AIが明かすナスカ地上絵の新発見、古代の制作目的が浮かび上がる Masato Sakai

AIが明かすナスカ地上絵の新発見、古代の制作目的が浮かび上がる Masato Sakai

<ナスカ地上絵の謎を解き明かす研究が、AI技術の導入により急速に進展している。今回、新たに発見された約300点の地上絵は、古代ナスカ文化のさらなる理解に貢献すると期待されている>

ペルーのナスカ地上絵を調査している研究チームが、人工知能(AI)の助けを借りて、新たに何百点もの地上絵を発見した。

【画像】AI技術が加速させた「ナスカ地上絵」の調査...303点の新発見

スペイン征服前に描かれた神秘的な地上絵は、石や砂利を動かして大地に刻まれている。そうした図形はペルー南部の乾燥した高原にあるナスカ砂漠一帯で見つかっている。

最も古いもので2000年以上も前にさかのぼる地上絵は、古代の制作者の文化や信仰を探る手がかりでもある。1994年には国連教育科学文化機関(ユネスコ)の世界遺産に登録された。

1940年代に始まった現地調査は現在も続く。これまでに、動物や人間の姿を1世紀以上にわたって描いた約430点の地上絵が見つかっている。

今回、米科学アカデミー紀要(PNAS)に論文を発表した研究チームは、AIを使ってナスカ全域の高解像度画像を分析した。山形大学人文社会科学部の坂井正人教授率いるこの研究は、地上絵発見のペース加速につながっている。

同チームはわずか半年で303点を新たに特定。これで確認済みの地上絵の数はほぼ倍増した。

トレーニングデータの量は限られているものの、AIアプローチの開発は、小型の「面タイプ」地上絵の発見に成果を発揮している。面タイプの地上絵は、「線タイプ」の巨大な地上絵に比べて判別が非常に難しい。

「本論文は、たとえ国連教育科学文化機関(ユネスコ)世界遺産の地ナスカのように有名な場所であっても、AIがいかに考古学的発見を加速させるかを物語る」。論文ではそう記している。

あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

クルスク州に少数のウクライナ兵なお潜伏、奪還表明後

ビジネス

ノルウェーのエクイノール、米風力事業中止で数十億ド

ワールド

北朝鮮、ロシア国境の架橋着工を評価 経済関係強化へ

ビジネス

トランプ氏、米経済縮小は「バイデン氏のせい」 関税
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:英語で学ぶ 国際ニュース超入門
特集:英語で学ぶ 国際ニュース超入門
2025年5月 6日/2025年5月13日号(4/30発売)

「ゼロから分かる」各国・地域情勢の超解説と時事英語

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    タイタニック生存者が残した「不気味な手紙」...何が書かれていた?
  • 2
    マリフアナを合法化した末路とは? 「バラ色の未来が来るはずだったのに...」
  • 3
    日本の未婚男性の「不幸感」は他国と比べて特異的に高く、女性では反対に既婚の方が高い
  • 4
    ポンペイ遺跡で見つかった「浴場」には、テルマエ・…
  • 5
    中国で「ネズミ人間」が増殖中...その驚きの正体とは…
  • 6
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」では…
  • 7
    インド北部の「虐殺」が全面「核戦争」に発展するか…
  • 8
    クルミで「大腸がんリスク」が大幅に下がる可能性...…
  • 9
    日本史上初めての中国人の大量移住が始まる
  • 10
    中居正広事件は「ポジティブ」な空気が生んだ...誰も…
  • 1
    日本史上初めての中国人の大量移住が始まる
  • 2
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」ではない
  • 3
    MRI検査で体内に「有害金属」が残留する可能性【最新研究】
  • 4
    中国で「ネズミ人間」が増殖中...その驚きの正体とは…
  • 5
    ロシア国内エラブガの軍事工場にウクライナが「ドロ…
  • 6
    パニック発作の原因の多くは「ガス」だった...「ビタ…
  • 7
    使うほど脱炭素に貢献?...日建ハウジングシステムが…
  • 8
    私の「舌」を見た医師は、すぐ「癌」を疑った...「口…
  • 9
    健康寿命は延ばせる...認知症「14のリスク要因」とは…
  • 10
    ポンペイ遺跡で見つかった「浴場」には、テルマエ・…
  • 1
    【話題の写真】高速列車で前席のカップルが「最悪の行為」に及ぶ...インド人男性の撮影した「衝撃写真」にネット震撼【画像】
  • 2
    日本史上初めての中国人の大量移住が始まる
  • 3
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」ではない
  • 4
    健康寿命を伸ばすカギは「人体最大の器官」にあった.…
  • 5
    【心が疲れたとき】メンタルが一瞬で “最…
  • 6
    間食はなぜ「ナッツ一択」なのか?...がん・心疾患・抜…
  • 7
    北朝鮮兵の親たち、息子の「ロシア送り」を阻止する…
  • 8
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる…
  • 9
    【クイズ】世界で最も「半導体の工場」が多い国どこ…
  • 10
    自らの醜悪さを晒すだけ...ジブリ風AIイラストに「大…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中