最新記事
ウクライナ戦争

越境攻撃で東部ドネツクの前線に穴?ロシア軍が要衝ポクロウシクの近くに進軍

Ukraine War Maps Reveal Russian Advances Toward Critical City of Pokrovsk

2024年8月27日(火)17時46分
ジョーダン・キング
ロシア軍が迫って避難するポクロウシクの住民

ロシア軍が迫って避難するポクロウシクの住民 REUTERS/Thomas Peter

<クルスクへの越境攻撃で兵力を分散しすぎたか、東部ドネツク州の交通のかなめ、ポクロウシクにロシア軍が迫る>

ロシア軍が、ウクライナのドネツク州ポクロウシク市の近くまで進軍し、近隣地域を制圧しているらしいことが、新たな戦況地図で明らかになった。

【マップ】交通の要衝ポクロウシクに迫るロシア軍

ウクライナ軍が8月6日、ロシア領のクルスクに予想外の越境攻撃を仕掛けたことから、ロシア軍は、ウクライナの主要な物資輸送のハブであるポクロウシクを奪取する賭けに出たようだ。

ロシア軍部隊は、この週末さらに前進したと、戦争研究所(ISW)が8月24日に公表した¥ロシア侵攻作戦の評価レポートは記している。

ロシア軍は8月23日、ポクロウシクの南東に位置するカルロフカの東部と、ポクロウシクの南東にあるミコライウカの北東部まで前進したようだ。

さらに8月24日には、ロシア軍の兵士たちが、ポクロウシクの南東に位置するノボフロジウカの郊外まで進軍し、町の中心部にあるノボフロジウカ市庁舎、およびポクロウシクの東にあるクラスヌイ・ヤールを占拠した形跡が認められる。

位置情報が付いた映像およびロシアの軍事ブロガーの情報を引用する形で、ISWが伝えたものだ。

8月24日には、ウクライナのオープンソース・インテリジェンス・サイト「ディープ・ステート」が、ロシア政府はポクロウシク方面で「戦術的成功を発展させる」作戦を続けていると報告した。ポクロウシクとその周辺地域のウクライナ住民には避難命令が出されている。

周辺住民は避難

同サイトは、ロシア軍の部隊がノボフロジウカの複数の建物に拠点を築こうとしており、ウクライナ軍はそれをクラスヌイ・ヤールの村の方向に押し返そうとしていると報告している。

ポクロウシクを手中に収めれば、ロシアにとっては戦術的な勝利になる。この町は鉄道と道路が接続する物資輸送のハブであるだけでなく、ドネツク州における前線の近くに位置しているからだ。

国境なき医師団は、子どもや家族、高齢者など、移動に制約がある人々について、ポクロウシクおよび付近の町からの避難を支援していると発表した。

避難用の列車がドニプロに停車する。一部の人は、より安全な地域に住む親戚のもとへと逃れ、それ以外の人は、ウクライナ西部に設けられた国内避難民向けシェルターを頼りにしている。

ミルノフラドの住民で83歳のライサ・エプシュテインは、本誌の取材にこう語った。「すべてを置いてきた。恐しい。誰もが瀬戸際だ。私の故郷は破壊された」

ウクライナ政府が戦線を拡大しすぎたためにドネツク州に間隙が生まれたのではないか、といの懸念をよそに、ウクライナ軍はクルスク州への越境攻撃を続けている。

ウクライナのボロディミル・ゼレンスキー大統領は8月20日、ウクライナ軍がクルスク州において、合計で1250平方キロのロシア領土と、92の集落を掌握したと発表した。
(翻訳:ガリレオ)

あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

トルコ領空にイラン発射の弾道ミサイル、NATO迎撃

ワールド

サウジ紅海側ヤンブー港の原油輸出量、最大能力付近の

ビジネス

金融政策「良い位置」、イラン情勢の影響見極め可能=

ワールド

ロ石油施設の攻撃縮小巡り支援国から「シグナル」=ウ
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:日本企業に迫る サステナビリティ新基準
特集:日本企業に迫る サステナビリティ新基準
2026年4月 7日号(3/31発売)

国際基準の情報開示や多様な認証制度──本当の「持続可能性」が問われる時代へ

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「根底にあるのは怒り」...日本の「3Dプリンター住宅」企業が救う、ウクライナの未来
  • 2
    「水に流す」日本と「記憶する」韓国...気候と地理が育んだ「国民意識の違い」とは?
  • 3
    ロシア経済を支える重要な港、ウクライナのものと思われるドローンの攻撃を受け大炎上
  • 4
    記憶を定着させるのに年齢は関係ない...記憶の定着度…
  • 5
    ビートルズ解散後の波乱...「70年代のポール・マッカ…
  • 6
    ヒドラのように生き延びる...イランを支配する「革命…
  • 7
    ヘンリー・メーガン夫妻の豪州訪問に3万6000人超の反…
  • 8
    【銘柄】東京電力にNTT、JT...物価高とイラン情勢に…
  • 9
    アリサ・リュウの自由、アイリーン・グーの重圧
  • 10
    イタリアに安定をもたらしたメローニが国民投票で敗…
  • 1
    ヘンリー・メーガン夫妻の豪州訪問に3万6000人超の反対署名...「歓迎してない」の声広がる
  • 2
    「水に流す」日本と「記憶する」韓国...気候と地理が育んだ「国民意識の違い」とは?
  • 3
    三笠宮彬子さまも出席...「銀河の夢か、現実逃避か」モナコ舞踏会に見る富と慈善
  • 4
    中国の公衆衛生レベルはアメリカ並み...「ほぼ国民皆…
  • 5
    記憶を定着させるのに年齢は関係ない...記憶の定着度…
  • 6
    中国最大の海運会社COSCOがペルシャ湾輸送を再開──緊…
  • 7
    映画『8番出口』はアメリカでどう受け止められた?..…
  • 8
    作者が「投げ出した」? 『チェンソーマン』の最終…
  • 9
    ロシア経済を支える重要な港、ウクライナのものと思…
  • 10
    オランウータンに「15分間ロックオン」された女性のS…
  • 1
    温暖化で増えた? サンマやサケ減少の裏で激増する「安価で栄養価の高い魚」の正体
  • 2
    ロシア政府、痛恨のミス...プーチンの「健康不安説」を裏付けるような動画を公式に投稿してしまう
  • 3
    メーガン妃、娘リリベット王女との新ショット公開...撮影はパパ
  • 4
    「ノーと言えるスペイン」の背景に国防意識...次期ス…
  • 5
    キャサリン皇太子妃、ナイジェリア大統領夫妻出迎え…
  • 6
    数時間以内に死に至ることも...若者の間で集団感染が…
  • 7
    「日本より、自分の国(フランス)を心配すれば?」…
  • 8
    日本の若者「韓国就職」憧れと現実のギャップ ── ビ…
  • 9
    米軍も防ぎきれないイランのドローン攻撃──イラン製…
  • 10
    縫いぐるみが相棒、孤独なサル「パンチくん」がバズ…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中