最新記事
考古学

古代ギリシャ神話の「半人半獣」が水道工事中に発見される...保存状態は「良好」

Archaeology: Ancient Greek Mosaic Found With Hybrid Human-Animal Spirits

2024年8月9日(金)13時40分
アリストス・ジョージャウ
ギリシャ文字

ギリシャ文字 lemaildeclaire-pixabay

<紀元前4世紀半ばごろのもの? 古代ギリシャ神話に登場する「精霊サテュロス」が2人描かれた、貴重なモザイク画を発見>

古代ギリシャの都市遺跡で、半人半獣の精霊サテュロスが2人描かれた、貴重なモザイク画が発見された。

モザイク画は、ギリシャのエビア島にあるエレトリアで、水道管の工事中に見つかった。この地域には、紀元前1千年紀半ばにギリシャの重要な都市であった古代の集落跡がある。

【関連画像】半人半獣の精霊サテュロスが2人描かれた、貴重なモザイク画 を見る


 

ギリシャ文化省の発表によると、工事中に紀元前4世紀の住居の一部が発見され、そこに小石で作られたモザイクの床が残されていた。

エレトリアの中心部に位置するその建物には、ほぼ正方形の4面の部屋があり、モザイクの床はその部屋の中にある。モザイクは自然の小石で作られ、サイズは小さい。中央に尾、角、尖った耳といった動物のような特徴を持つ男性2人が描かれている。

これは、古代ギリシャ神話に登場する自然の精霊、サテュロスだ。サテュロスは、人間の男性の特徴と、馬やヤギのような動物の特徴を併せ持つものとして描かれることが多い。

サテュロスは野生の生き物と考えられ、古代ギリシャの豊穣、ワイン、植物、快楽、恍惚、狂気の神ディオニュソスと密接に関連していた。

サテュロスは、酒、饗宴、音楽、踊り、女性を愛し、放蕩にふける者とされる。

さまざまな色で顔の特徴や細部を表現


エレトリアで発見されたモザイクのサテュロスは、若く見える1人がダブルフルートを吹き、髭を生やした年上と見られるもう1人が音楽に合わせて踊っているようだ。

顔の特徴や体の細部を表現するために、白、黒、赤、黄色などさまざまな色の小石が使われている。特に際立っているのは、サテュロスたちの髪に黄色の小石が使われていることだろう。

モザイクがある部屋は、その特徴から集会や宴会、祝宴のための空間だったとみられる。

この住居とモザイクの床は、古代エレトリアに豪華な邸宅が出現した紀元前4世紀半ばごろのものだと考古学者らは考えている。

そうした邸宅は、よく知られた建築様式に従う傾向があり、中庭を中心に、家族のためのプライベートエリアと、公式行事や宴会を催すためのパブリックエリアが配置された。

文化省は、モザイクの床の保存状態は「良好」で、中央のデザインの「ユニークさ」を強調していると説明している。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

ウォラーFRB理事、年内0.25%利下げ想定 必要

ワールド

イスラエル、ベイルート空爆でヒズボラ指揮官を殺害 

ビジネス

AI、短期的にインフレ押し上げ要因に=カナダ中銀総

ワールド

ウクライナ、当局者のテレグラム使用禁止 ロシアのア
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:ニュースが分かる ユダヤ超入門
特集:ニュースが分かる ユダヤ超入門
2024年9月17日/2024年9月24日号(9/10発売)

ユダヤ人とは何なのか? なぜ世界に離散したのか? 優秀な人材を輩出した理由は? ユダヤを知れば世界が分かる

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    世界で最も華麗で高額な新高層ビルに差す影
  • 2
    NewJeans所属事務所ミン・ヒジン前代表めぐりK-POPファンの対立深まる? 
  • 3
    他人に流されない、言語力、感情の整理...「コミュニケーション能力」を向上させるイチオシ書を一挙紹介
  • 4
    「ゾワッとする瞬間...」大ヘビが小ヘビ2匹を吐き出…
  • 5
    口の中で困惑する姿が...ザトウクジラが「丸呑み」し…
  • 6
    ヒズボラの無線機同時爆発の黒幕とみられるイスラエ…
  • 7
    トランプを再び米大統領にするのは選挙戦を撤退した…
  • 8
    北朝鮮、泣き叫ぶ女子高生の悲嘆...残酷すぎる「緩慢…
  • 9
    がん治療3本柱の一角「放射線治療」に大革命...がん…
  • 10
    「テレビから消えた芸人」ウーマン村本がパックンに…
  • 1
    「LINE交換」 を断りたいときに何と答えますか? 銀座のママが説くスマートな断り方
  • 2
    クローン病と潰瘍性大腸炎...手ごわい炎症性腸疾患に高まる【新たな治療法】の期待
  • 3
    キャサリン妃とメーガン妃の「ケープ」対決...最も優雅でドラマチックな瞬間に注目
  • 4
    北朝鮮、泣き叫ぶ女子高生の悲嘆...残酷すぎる「緩慢…
  • 5
    北朝鮮で10代少女が逮捕、見せしめに...視聴した「禁…
  • 6
    世界で最も華麗で高額な新高層ビルに差す影
  • 7
    【クイズ】自殺率が最も高い国は?
  • 8
    エリザベス女王とフィリップ殿下の銅像が完成...「誰…
  • 9
    ロシア空軍が誇るSu-30M戦闘機、黒海上空でウクライ…
  • 10
    「ポケットの中の爆弾」が一斉に大量爆発、イスラエ…
  • 1
    「LINE交換」 を断りたいときに何と答えますか? 銀座のママが説くスマートな断り方
  • 2
    エリート会社員が1600万で買ったマレーシアのマンションは、10年後どうなった?「海外不動産」投資のリアル事情
  • 3
    年収分布で分かる「自分の年収は高いのか、低いのか」
  • 4
    「まるで別人」「ボンドの面影ゼロ」ダニエル・クレ…
  • 5
    森ごと焼き尽くす...ウクライナの「火炎放射ドローン…
  • 6
    「もはや手に負えない」「こんなに早く成長するとは.…
  • 7
    「あの頃の思い出が詰まっている...」懐かしのマクド…
  • 8
    止まらない爆発、巨大な煙...ウクライナの「すさまじ…
  • 9
    ロシア国内クルスク州でウクライナ軍がHIMARS爆撃...…
  • 10
    「ローカリズムをグローバルにという点で、Number_i…
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中