最新記事
米大統領選

「とにかくバイデンよりまし」激戦州ウィスコンシンの有権者に直撃取材...ハリスへの評価は?

HEARTLAND VIEWS

2024年7月31日(水)16時40分
ダン・コイス(スレート誌記者、作家)
オゾーキー郡民主党幹部のデブ・ダッソウ DAN KOISーSLATE

オゾーキー郡民主党幹部のデブ・ダッソウ DAN KOISーSLATE

<歴史的に共和党が強いウィスコンシン州の郡部で4年前はバイデンを選んだ人々のハリスへの反応>

グレーの短髪にカラフルなワンピースと大ぶりのネックレス。デブ・ダッソウは、いかにも「アメリカ中西部のママ」といういでたちの女性だ。長年高校で教壇に立ってきたダッソウは、今は引退してウィスコンシン州オゾーキー郡民主党支部の議長を務めている。

7月21日にジョー・バイデン米大統領が11月の次期大統領選への出馬を取りやめると発表した翌朝、ダッソウのオフィスを訪ねると、「バイデン&ハリス」の掲示板が所狭しと積まれていた。「これ全部、どうするつもりですか」と聞くと、彼女は「聞かないで!」と、筆者の腕を小突いて笑った。

商都ミルウォーキーのすぐ北側に位置するオゾーキーは、ワシントン郡とウォーケシャ郡と並び、同州のあらゆる選挙を左右する3つの郡の1つだ(その頭文字を取って「WOW郡」と呼ばれる)。いずれも歴史的に共和党が強かったが、今は違う。

アメリカの地図は、共和党が強い地域は赤、民主党が強い地域は青で描かれるが、過去4回の大統領選では、両党候補の得票差が縮小してきたWOW郡は紫色がふさわしい。

ダッソウが住むシダーバーグ市は、このトレンドの最先端を行く。人口1万2000人のこの町は、2020年大統領選のとき、19票差でバイデンを選んだのだ。民主党の大統領候補が勝利したのは、実に1936年以来のことだ。

実は筆者の母も、この絵のように美しい町に住んでいる。そこで今年の大統領選のカギを握る(と思われる)この町で、カマラ・ハリス米副大統領がバイデンに代わり民主党の大統領候補になることへの感想を聞いてみることにした。手法は簡単。地元の民主党と共和党の幹部に話を聞くこと、そして町の目抜き通りであるワシントン大通りで、すれ違う人に片っ端から意見を聞くことだ。

ダッソウのオフィスは6月27日、第1回大統領候補テレビ討論会を視聴するイベントを開いた。バイデンの言動が弱々しくて、大統領候補交代論が一気に噴出するきっかけとなった討論会だ。ダッソウによると、翌日、戸別訪問をする予定だったチームのうち4つが休みを取った。

「でも、今は盛り上がっている」と、ダッソウは言う。ハリスへの交代がはっきりした23日は、ボランティアの登録数が史上最多レベルに達したという。「(次の世代に)バトンを渡すというバイデンの決断は愛国的だ。民主党はリーダーが末端の支持者の声に耳を傾ける党なのだ」

あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

ミャンマーで総選挙投票開始、国軍系政党の勝利濃厚 

ワールド

米、中国の米企業制裁「強く反対」、台湾への圧力停止

ワールド

中国外相、タイ・カンボジア外相と会談へ 停戦合意を

ワールド

アングル:中国企業、希少木材や高級茶をトークン化 
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:ISSUES 2026
特集:ISSUES 2026
2025年12月30日/2026年1月 6日号(12/23発売)

トランプの黄昏/中国AI/米なきアジア安全保障/核使用の現実味......世界の論点とキーパーソン

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    ウクライナ水中ドローンが、ロシア潜水艦を爆破...「史上初の攻撃成功」の裏に、戦略的な「事前攻撃」
  • 2
    『SHOGUN 将軍』の成功は嬉しいが...岡田准一が目指すのは、真田広之とは「別の道」【独占インタビュー】
  • 3
    【世界を変える「透視」技術】数学の天才が開発...癌や電池の検査、石油探索、セキュリティゲートなど応用範囲は広大
  • 4
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 5
    90代でも元気な人が「必ず動かしている体の部位」と…
  • 6
    中国、米艦攻撃ミサイル能力を強化 米本土と日本が…
  • 7
    アベノミクス以降の日本経済は「異常」だった...10年…
  • 8
    なぜ筋肉を鍛えても速くならないのか?...スピードの…
  • 9
    【クイズ】世界で最も1人当たりの「ワイン消費量」が…
  • 10
    中国、インドをWTOに提訴...一体なぜ?
  • 1
    90代でも元気な人が「必ず動かしている体の部位」とは何か...血管の名医がたどり着いた長生きの共通点
  • 2
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 3
    ウクライナ水中ドローンが、ロシア潜水艦を爆破...「史上初の攻撃成功」の裏に、戦略的な「事前攻撃」
  • 4
    『SHOGUN 将軍』の成功は嬉しいが...岡田准一が目指…
  • 5
    「食べ方の新方式」老化を防ぐなら、食前にキャベツ…
  • 6
    中国、インドをWTOに提訴...一体なぜ?
  • 7
    【過労ルポ】70代の警備員も「日本の日常」...賃金低…
  • 8
    海水魚も淡水魚も一緒に飼育でき、水交換も不要...ど…
  • 9
    批評家たちが選ぶ「2025年最高の映画」TOP10...満足…
  • 10
    アベノミクス以降の日本経済は「異常」だった...10年…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    90代でも元気な人が「必ず動かしている体の部位」とは何か...血管の名医がたどり着いた長生きの共通点
  • 3
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切り札として「あるもの」に課税
  • 4
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 5
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした…
  • 6
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 7
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 8
    ウクライナ水中ドローンが、ロシア潜水艦を爆破...「…
  • 9
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入と…
  • 10
    【衛星画像】南西諸島の日米新軍事拠点 中国の進出…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中