最新記事
ウクライナ戦争

中国のロシア専門家が「それでも最後はロシアが負ける」と中国政府の公式見解に反する驚きの論考を英誌に寄稿

Leading Russia Watcher in China Makes Surprise Ukraine War Prediction

2024年4月18日(木)15時57分
マイカ・マッカートニー

ロシアの「特殊軍事作戦」は図らずもNATOの結束を強める結果となった。スウェーデンとフィンランドの加盟により、東ヨーロッパにおけるNATOの軍事的プレゼンスは拡大。加えて、NATO加盟国32カ国の大半が、ロシアの侵攻開始後に防衛予算の増額を決めた。

さらに、「鋭い観測筋」は中国の対ロ姿勢の変化にも気づいているはずだと、馮は述べている。中国の習近平国家主席は侵攻開始直前に訪中したプーチンに「限界のない」パートナーシップを約束したが、今は非同盟・中立の原則的な立場に後退しつつある、というのだ。

 

「中国の対ロ関係は固定的なものではない。当然ながら過去2年間に起きた出来事に影響されてきた」と、馮は述べている。

この論説が発表される前日、中国を訪れたロシアのセルゲイ・ラブロフ外相が中国の王毅外相と会談。アメリカとその同盟国が構築している「ブロックに基づく」安全保障同盟に反対する考えを共有し、NATOの影響力に対抗できる「ユーラシア大陸における新たな安全保障の枠組み」について協議した。

二次制裁の効果も

中国は多額の対ロ貿易・投資を行い、孤立したロシア経済を支えてきたが、ロシアの戦闘能力の維持に直接的な貢献はしていないと主張している。だがAP通信が先週伝えたバイデン政権スタッフの話によれば、ロシアは戦車や軍用機、ミサイルの建造に必要な工作機械と電子機器の圧倒的多くを中国から輸入している。中国製のドローン(無人機)とその部品もウクライナの戦場で使われているという。

もっとも最近では、中国の銀行と企業は米政府が発動した二次制裁を回避するため、取引先を慎重に見極めているとも伝えられている。ロシアの防衛産業とつながりがある貿易業者との取引には歯止めが掛かるだろう。

20240521issue_cover150.jpg
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2024年5月21日号(5月14日発売)は「インドのヒント」特集。[モディ首相独占取材]矛盾だらけの人口超大国インド。読み解くカギはモディの言葉にあり

※バックナンバーが読み放題となる定期購読はこちら


今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

米CPI、4月は前年比3.4%上昇に鈍化 利下げ期

ビジネス

米小売売上高4月は前月比横ばい、ガソリン高騰で他支

ワールド

スロバキア首相銃撃され「生命の危機」、犯人拘束 動

ビジネス

米金利、現行水準に「もう少し長く」維持する必要=ミ
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:インドのヒント
特集:インドのヒント
2024年5月21日号(5/14発売)

矛盾だらけの人口超大国インド。読み解くカギはモディ首相の言葉にあり

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    立ち上る火柱、転がる犠牲者、ロシアの軍用車両10両を一度に焼き尽くす動画をウクライナ軍が投稿

  • 2

    プーチン5期目はデフォルト前夜?......ロシアの歴史も「韻」を踏む

  • 3

    北米で素数ゼミが1803年以来の同時大発生、騒音もダブルの「大合唱」

  • 4

    それでもインドは中国に勝てない...国内企業の投資意…

  • 5

    マーク・ザッカーバーグ氏インタビュー「なぜAIを無…

  • 6

    新宿タワマン刺殺、和久井学容疑者に「同情」などで…

  • 7

    ロシア兵がウクライナ「ATACMS」ミサイルの直撃を受…

  • 8

    奇跡の成長に取り残された、韓国「貧困高齢者」の苦悩

  • 9

    総額100万円ほどの負担増...国民年金の納付「5年延長…

  • 10

    原因は「若者の困窮」ではない? 急速に進む韓国少…

  • 1

    新宿タワマン刺殺、和久井学容疑者に「同情」などできない理由

  • 2

    やっと撃墜できたドローンが、仲間の兵士に直撃する悲劇の動画...ロシア軍内で高まる「ショットガン寄越せ」の声

  • 3

    大阪万博でも「同じ過ち」が繰り返された...「太平洋戦争の敗北」を招いた日本社会の大きな弱点とは?

  • 4

    立ち上る火柱、転がる犠牲者、ロシアの軍用車両10両…

  • 5

    原因は「若者の困窮」ではない? 急速に進む韓国少…

  • 6

    北米で素数ゼミが1803年以来の同時大発生、騒音もダ…

  • 7

    「恋人に会いたい」歌姫テイラー・スウィフト...不必…

  • 8

    常圧で、種結晶を使わず、短時間で作りだせる...韓国…

  • 9

    ロシア兵がウクライナ「ATACMS」ミサイルの直撃を受…

  • 10

    ウクライナ防空の切り札「機関銃ドローン」、米追加…

  • 1

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 2

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 3

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なない理由が明らかに

  • 4

    新宿タワマン刺殺、和久井学容疑者に「同情」などで…

  • 5

    やっと撃墜できたドローンが、仲間の兵士に直撃する…

  • 6

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

  • 7

    一瞬の閃光と爆音...ウクライナ戦闘機、ロシア軍ドロ…

  • 8

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた…

  • 9

    ヨルダン・ラジワ皇太子妃のマタニティ姿「デニム生地…

  • 10

    どの顔が好き? 「パートナーに求める性格」が分かる…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中