最新記事
ウクライナ戦争

ロシア軍「水上の司令部」と化した艦船「メカニック・ポゴディン」を、ウクライナ軍が撃破...南部ヘルソン

Ukraine Missiles Blow Up Russia's Floating 'Command Center': Video

2024年3月16日(土)13時04分
エリー・クック
ロシア軍の黒海艦隊

Denis Sinyakov-Reuters

<戦闘の最前線となってきたドニエプル川で、実質的なロシア軍の司令部として機能してきた艦船の破壊にウクライナ軍が成功>

ウクライナ空軍は3月12日、同国南部でロシア軍が監視やFPV(一人称視点)ドローンの配備を行う実質的な「司令部」として使用していた艦船を破壊したと発表した。ウクライナ軍はこの攻撃の瞬間だとする動画を公開し、そこにはロシア艦船が周辺の水面に破片をまき散らしながら爆発する瞬間が収められている。

■【動画】ロシア軍の浮遊式「司令部」と化した艦船を、空爆で破壊...ウクライナ軍が公開した爆発・炎上の瞬間

ウクライナ空軍によると、「攻撃に成功」したのはロシアの艦船メカニック・ポゴディンで、ロシアが司令部として使用し、FPVドローンを発射したり、電子戦の装置を搭載したりする役割を担っていたという。同艦船は、監視と制御のために使用されていたことから、合法的な軍事標的であるとウクライナは主張している。

ウクライナ軍が公開した短い動画は、同艦船に対する攻撃の瞬間を捉えたものとみられる。船の片側で大きな爆発が起きて煙が立ち上り、破片が周辺の水面に飛び散っている。本誌はこの映像の信ぴょう性について独自に検証できていない。

「パイロットが敵のコントロールポイントに対する戦闘に成功した!」と、ウクライナ空軍のミコラ・オレシュチュク司令官は声明で述べた。

ウクライナ海軍によると、この艦船は2023年6月にドニエプル川のカホフカダムが破壊された後、ウクライナ南部ヘルソン州に停泊し、その後、キンブルン半島に移動していた。

キンブルン半島と周辺海域を影響下に置くロシア

現在、ロシアが支配しているキンブルン半島はドニエプル川の河口に位置しており、それによってウクライナのミコライフ港に出入りする船舶を影響下に置くことが可能になっている。

ウクライナは2022年後半にヘルソン州で反攻を開始すると、ロシア軍をドニエプル川東岸に押し戻し、同地域は2023年を通して戦闘の最前線となった。

2023年秋以降、ウクライナ軍はドニエプル川東岸でロシア軍を陣地から駆逐し、クリンキーなどの村落に支配拠点を確立した。しかし、ドネツク州北部やハリコフ州クピャンスクに近い北東部の前線でも、ロシアの攻勢に直面している。

米シンクタンクの戦争研究所によると、3月12日時点では、ロシアが支配するヘルソン州のドニエプル川東岸の前線に変化は確認されていない。

あわせて読みたい
ニュース速報

ビジネス

アングル:中国で値下げ競争激化、デフレ長期化懸念 

ワールド

米政権、農場やホテルでの不法移民摘発一時停止を指示

ワールド

焦点:イスラエルのイラン攻撃、真の目標は「体制転換

ワールド

イランとイスラエル、再び相互に攻撃 テヘラン空港に
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:非婚化する世界
特集:非婚化する世界
2025年6月17日号(6/10発売)

非婚化・少子化の波がアメリカもヨーロッパも襲う。世界の経済や社会福祉、医療はどうなる?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    ブラッド・ピット新髪型を「かわいい」「史上最高にかっこいい」とネット絶賛 どんなヘアスタイルに?
  • 2
    右肩の痛みが告げた「ステージ4」からの生還...「生きる力」が生んだ「現代医学の奇跡」とは?
  • 3
    「サイドミラー1つ作れない」レアアース危機・第3波でパニック...中国の輸出規制が直撃する「グローバル自動車産業」
  • 4
    【動画あり】242人を乗せたエア・インディア機が離陸…
  • 5
    ゴミ、糞便、病原菌、死体、犯罪組織...米政権の「密…
  • 6
    メーガン妃がリリベット王女との「2ショット写真」を…
  • 7
    「結婚は人生の終着点」...欧米にも広がる非婚化の波…
  • 8
    大阪万博は特に外国人の評判が最悪...「デジタル化未…
  • 9
    先進国なのに「出生率2.84」の衝撃...イスラエルだけ…
  • 10
    サイコパスの顔ほど「魅力的に見える」?...騙されず…
  • 1
    庭にクマ出没、固唾を呑んで見守る家主、そして次の瞬間...「信じられない行動」にネット驚愕
  • 2
    「ママ...!」2カ月ぶりの再会に駆け寄る13歳ラブラドールに涙
  • 3
    大阪万博は特に外国人の評判が最悪...「デジタル化未満」の残念ジャパンの見本市だ
  • 4
    「セレブのショーはもう終わり」...環境活動家グレタ…
  • 5
    ふわふわの「白カビ」に覆われたイチゴを食べても、…
  • 6
    ひとりで浴槽に...雷を怖れたハスキーが選んだ「安全…
  • 7
    猫に育てられたピットブルが「完全に猫化」...ネット…
  • 8
    脳も体も若返る! 医師が教える「老後を元気に生きる…
  • 9
    プールサイドで食事中の女性の背後...忍び寄る「恐ろ…
  • 10
    救いがたいほど「時代錯誤」なロマンス映画...フロー…
  • 1
    【定年後の仕事】65歳以上の平均年収ランキング、ワースト2位は清掃員、ではワースト1位は?
  • 2
    日本の「プラごみ」で揚げる豆腐が、重大な健康被害と環境汚染を引き起こしている
  • 3
    日本はもう「ゼロパンダ」でいいんじゃない? 和歌山、上野...中国返還のその先
  • 4
    一瞬にして村全体が消えた...スイスのビルヒ氷河崩壊…
  • 5
    庭にクマ出没、固唾を呑んで見守る家主、そして次の…
  • 6
    大爆発で一瞬にして建物が粉々に...ウクライナ軍「Mi…
  • 7
    「ママ...!」2カ月ぶりの再会に駆け寄る13歳ラブラ…
  • 8
    あなたも当てはまる? 顔に表れるサイコパス・ナルシ…
  • 9
    ドローン百機を一度に発射できる中国の世界初「ドロ…
  • 10
    【クイズ】EVの電池にも使われる「コバルト」...世界…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中