「ノージャパン」はどこへ......韓国ソウルの街角に日本語看板が急増! その背景は?
韓国・ソウルで日本語看板が増えている(写真すべて:佐々木和義)
<ソウルで日本語看板を掲げる店が増え、注目を集めている。韓国の屋外広告物法には言語表記の規制があり、この現象は賛否両論を呼んでいる。日本文化への憧れと歴史的背景が複雑に絡み合い、新たな文化的流れを形成している......>
いま、ソウルで日本語看板を掲げる店が話題になっている。日本風の店構えで看板表記も日本語のみという店が登場したのだ。これまでも日本風店構えの日本式居酒屋は存在したが、日本語とハングルを併記していた。最近、ハングル表記は注意してみないと気づかないほど小さい店や表記は日本語のみでハングル表記のない店が現れた。
日本語看板の増加、ソウルの新風景
明洞に隣接する乙支路3街は、日本が韓国を統治した時代の日本人居住区で、いまでも日本家屋が残っている。その日本家屋の奥にある中華料理店「自由軒」は、日本式中華料理を謳っている。店名や暖簾から店頭に掲示したアルバイト募集告知に至るまで日本語で、店内も日本の中華料理店に倣っている。メニューはもちろん韓国語だが、メニュー以外のハングル表記は注意してみないとわかりにくい。
自由軒の隣にある居酒屋「ロバタカミ」はすべて日本語だ。英字はあるがハングルはなく、掲示しているポスターも日本語だ。自由軒とロバタカミが店を構える路地には日本語看板が並んでいて、まるで東京か大阪のようだという声や写真をSNSに投稿直後、日本に旅行中かと尋ねられた人もいる。日本語看板は龍山区の龍理団通りや若者の街として知られる大学路でもみられるという。
多様な言語看板、法的枠組みと現実
韓国は屋外広告物法施行令で、看板や広告物など韓国語表記を義務付けている。事情によって外国語とする場合も外来語表記法に則ったハングルを併記しなければならない。
実際には梨泰院や東大門、中国人居住区など、地域によって英語やロシア語、中国語などの看板があり、最近はタイ語やベトナム語も目にするようになった。自治体等に相談する市民もいるが、法令上、面積5平方メートル以上の店舗や建物の4階以上に設置された表示について是正を要求できるとされているだけで、処罰条項がないことから取り締まりなど行われていないのが実状だ。