最新記事
中東

イスラエルが地上攻撃準備、国防相「攻勢強化」 レバノンやシリアからイスラエルへの砲撃も

2023年10月11日(水)09時55分
ロイター
イスラエルの攻撃で破壊されたガザの建物

イスラエルはイスラム組織ハマスによる攻撃を受け、地上攻撃を準備している。写真はイスラエルの攻撃で破壊された地区。ガザで10日撮影(2023年 ロイター/Mohammed Salem)

イスラエルはイスラム組織ハマスによる攻撃を受け、地上攻撃を準備している。一方、バイデン米大統領はイスラエル支援を強調し、この状況を利用しようと考えている国や組織に警告した。

イスラエルは10日、パレスチナ自治区ガザに過去最大規模の空爆を行い、ガザ地区との境界を掌握したと発表した。

在ワシントンのイスラエル大使館は、週末のハマスの攻撃による死者は1000人を超えたと発表した。

ガザの保健省は、イスラエルの空爆により10日までに少なくとも900人が死亡、4600人が負傷したと発表した。

イスラエル軍兵士と市民を人質に取っているハマスは9日、ガザの家1軒が攻撃されるごとに人質1人を予告なしに処刑するとしていたが、10日夜になっても実行に移された形跡は見られていない。

イスラエルのガラント国防相は、ガザのフェンス付近で兵士らを前に「われわれは空から攻撃を開始した。地上からも行うだろう。2日目からこの地域を制圧し、攻勢をかけている。攻勢は強まるばかりだ」と述べた。

関係筋によると、イスラエルの北部国境では、レバノン南部からイスラエルに向けてロケット弾が発射され、イスラエルが砲撃で応戦した。

また、シリア領土から発射された砲弾がイスラエルの空き地に着弾し、イスラエルが応戦したという。戦火が拡大するとの懸念がさらに強まっている。

バイデン氏「抑止力強化」

バイデン氏はホワイトハウスで記者団に対し、空母打撃群と戦闘機の移動など「抑止力を強化するため、この地域における軍事力態勢を整えた」と述べ、必要に応じてさらに展開する準備があると強調した。

米国務省は、ブリンケン国務長官が12日にイスラエルを訪問し、同国の政府高官らと会談する予定と発表した。

イスラエルのネタニヤフ連立政権は、主要野党幹部らと緊急の挙国一致政府を樹立することで合意した。

ガザの住宅や学校が被害

ターク国連人権高等弁務官は、イスラエル軍の空爆によりガザ全域で住宅や学校、国連の建物が被害を受け、民間人に犠牲者が出ていると指摘。「国際人道法は明確だ。民間人や民間物を避けるために常に注意を払うという義務は、攻撃を通じて適用される」とした。

同時に「パレスチナ武装組織のメンバーによる恐ろしい大量殺害」を非難し、武装勢力による人質拉致も国際法で禁止されていると述べた。

ヨルダン川西岸と東エルサレムでも情勢が悪化している。イスラエル警察によると、東エルサレムで10日夜、警官に向かって花火を飛ばしたパレスチナ人2人を殺害したと発表。パレスチナ保健省によると、ヨルダン川西岸では7日以来、イスラエル軍との衝突で21人のパレスチナ人が死亡、130人が負傷した。


[ロイター]


トムソンロイター・ジャパン

Copyright (C) 2023トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます

投資
「FXで長期投資」という投資の新たな選択肢 トライオートFX「世界通貨セレクト」とは?
あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

IMFとパキスタン、12億ドルの融資巡りスタッフレ

ワールド

ウクライナ首相、米当局者と会談 エネ施設防衛など協

ワールド

シリア暫定大統領、15日に訪ロ プーチン氏と会談へ

ビジネス

世界の石油市場、中長期的に需給引き締まりへ=業界幹
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:日本人と参政党
特集:日本人と参政党
2025年10月21日号(10/15発売)

怒れる日本が生んだ「日本人ファースト」と参政党現象。その源泉にルポと神谷代表インタビューで迫る

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    フィリピンで相次ぐ大地震...日本ではあまり報道されない、被害の状況と実態
  • 2
    まるで『トップガン』...わずか10mの至近戦、東シナ海で「中国J-16」 vs 「ステルス機」
  • 3
    お腹の脂肪を減らす「8つのヒント」とは?...食事以外の「2つの隠れた要因」が代謝を狂わせていた
  • 4
    【クイズ】アメリカで最も「死亡者」が多く、「給与…
  • 5
    イーロン・マスク、新構想「Macrohard」でマイクロソ…
  • 6
    「心の知能指数(EQ)」とは何か...「EQが高い人」に…
  • 7
    「欧州最大の企業」がデンマークで生まれたワケ...奇…
  • 8
    「中国に待ち伏せされた!」レアアース規制にトラン…
  • 9
    イランを奇襲した米B2ステルス機の謎...搭乗した専門…
  • 10
    【クイズ】日本人が唯一「受賞していない」ノーベル…
  • 1
    かばんの中身を見れば一発でわかる!「認知症になりやすい人」が持ち歩く5つのアイテム
  • 2
    悲しみで8年間「羽をむしり続けた」オウム...新たな飼い主との「イケイケなダンス」姿に涙と感動の声
  • 3
    お腹の脂肪を減らす「8つのヒント」とは?...食事以外の「2つの隠れた要因」が代謝を狂わせていた
  • 4
    【クイズ】日本人が唯一「受賞していない」ノーベル…
  • 5
    中国人が便利な「調理済み食品」を嫌うトホホな理由…
  • 6
    ベゾス妻 vs C・ロナウド婚約者、バチバチ「指輪対決…
  • 7
    時代に逆行するトランプのエネルギー政策が、アメリ…
  • 8
    ウクライナの英雄、ロシアの難敵──アゾフ旅団はなぜ…
  • 9
    「中国のビットコイン女王」が英国で有罪...押収され…
  • 10
    あなたは何型に当てはまる?「5つの睡眠タイプ」で記…
  • 1
    かばんの中身を見れば一発でわかる!「認知症になりやすい人」が持ち歩く5つのアイテム
  • 2
    「最悪」「悪夢だ」 飛行機内で眠っていた女性が撮影...目覚めた時の「信じがたい光景」に驚きの声
  • 3
    「大谷翔平の唯一の欠点は...」ドジャース・ロバーツ監督が明かすプレーオフ戦略、監督の意外な「日本的な一面」とは?
  • 4
    カミラ王妃のキャサリン妃への「いら立ち」が話題に.…
  • 5
    増加する「子どもを外注」する親たち...ネオ・ネグレ…
  • 6
    悲しみで8年間「羽をむしり続けた」オウム...新たな…
  • 7
    バフェット指数が異常値──アメリカ株に「数世代で最…
  • 8
    「日本の高齢化率は世界2位」→ダントツの1位は超意外…
  • 9
    お腹の脂肪を減らす「8つのヒント」とは?...食事以…
  • 10
    数千円で買った中古PCが「宝箱」だった...起動して分…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中