最新記事
中国

中国の原子力潜水艦が台湾海峡で「重大事故」? 乗組員全員死亡説も

Has a Chinese submarine crashed in the Taiwan Strait? What we know

2023年8月24日(木)16時10分
エリー・クック

中国人民解放軍の「晋級」原子力潜水艦 CHINA STRINGER NETWORK -REUTERS

<米台接近を牽制するための軍事演習を繰り返すなか、中国最強の攻撃型原子力潜水艦が台湾海峡で乗組員全員死亡の重大事故に遭ったという未確認情報が浮上した>

<動画>中国海軍の近代化と093型最強原子力潜水艦

中国政府が台湾やアメリカに対する「重大な警告」として、台湾周辺で軍事演習を始めてから数日。中国の原子力潜水艦が、中国本土と台湾を隔てる台湾海峡で重大事故に見舞われたという未確認情報が入った。

インターネット上に出回っている情報によれば、中国が保有する093型(商級)攻撃型原子力潜水艦が過去数日のどこかで、詳細不明の重大事故に見舞われたという。乗組員は全員死亡、とする報道もある。

中国政府は台湾を自国の一部と見なしており、いずれは再統一すべきだと考えている。しかし民主主義体制を樹立している台湾は長年、中国からは既に独立していると主張し、西側諸国との連携を試みてきた。

中国当局からは、台湾海峡で中国の潜水艦が困難な状況に陥っていることを認める正式な発表はない。中国国防省が8月22日に行った記者会見でも、この問題についての言及はなく、中国国営通信も一切この問題を報じていない。

台湾当局も、一連の報道を確認していない。台湾国防部の報道官は、22日に台湾の報道機関が放送した定例会見の中で、台湾の軍と政府は潜水艦の事故があったという証拠を入手しておらず、一連の報道の裏を取ることはできなかったと述べた。

本誌はこの件について中国国防省にコメントを求めたが、返答はなかった。

確実な証拠はまだない

潜水艦に詳しいアナリストのH・I・サットンは22日、X(旧ツイッター)への投稿の中で、一連の報道を裏づける「説得力のある証拠はまだ一つもない」と述べた。

英シンクタンクの国際戦略研究所(IISS)によれば、中国は商級の攻撃型原子力潜水艦を6隻保有している。サットンは2020年に「(攻撃型原子力潜水艦は)中国海軍が保有する中で最も一般的な潜水艦ではないが、現在のところ最も強力な潜水艦だ」と書いている。

潜水艦事故をめぐる一連の報道に先立ち、中国は台湾周辺で大規模な軍事演習を実施していた。中国と台湾、アメリカの間では、何カ月も前から緊張が高まっていた。

アメリカは「一つの中国」政策の下、台湾と正式な関係は結んでいないものの、台湾との間で「非公式の強固な関係」を維持している。

中国はこのところ、台湾周辺で軍事演習を繰り返しており、2022年8月にナンシー・ペロシ米下院議長(当時)の台湾訪問を受けて行った軍事演習もその一つだ。4月には台湾の蔡英文総統とケビン・マッカーシー現米下院議長の会談が行われた後、台湾周辺で数日間にわたって軍事演習を行った。

【20%オフ】GOHHME 電気毛布 掛け敷き兼用【アマゾン タイムセール】

(※画像をクリックしてアマゾンで詳細を見る)

あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

仏大統領、ガザで使用の武器禁輸呼びかけ イスラエル

ワールド

世界各地で反戦デモ、10月7日控え ガザ・中東戦闘

ビジネス

中国住宅販売、国慶節連休中に増加 景気刺激策受け=

ワールド

対イラン報復、適切なタイミングで実施 イスラエル軍
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:大谷の偉業
特集:大谷の偉業
2024年10月 8日号(10/ 1発売)

ドジャース地区優勝と初の「50-50」を達成した大谷翔平をアメリカはどう見たか

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    借金と少子高齢化と買い控え......「デフレ三重苦」の中国が世界から見捨てられる
  • 2
    米軍がウクライナに供与する滑空爆弾「JSOW」はロシア製よりはるかにスマート
  • 3
    野原の至る所で黒煙...撃退された「大隊規模」のロシア軍機械化部隊、密集した車列は「作戦失敗時によく見られる光景」
  • 4
    羽生結弦がいま「能登に伝えたい」思い...被災地支援…
  • 5
    職場のあなたは、ここまで監視されている...収集され…
  • 6
    ロシア兵がウクライナ「ATACMS」ミサイルの直撃を受…
  • 7
    アラスカ上空でロシア軍機がF16の後方死角からパッシ…
  • 8
    新NISAで人気「オルカン」の、実は高いリスク。投資…
  • 9
    「核兵器を除く世界最強の爆弾」 ハルキウ州での「巨…
  • 10
    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…
  • 1
    ベッツが語る大谷翔平の素顔「ショウは普通の男」「自由がないのは気の毒」「野球は超人的」
  • 2
    ウクライナに供与したF16がまた墜落?活躍する姿はどこに
  • 3
    ウクライナ軍、ドローンに続く「新兵器」と期待する「ロボット犬」を戦場に投入...活動映像を公開
  • 4
    エコ意識が高過ぎ?...キャサリン妃の「予想外ファッ…
  • 5
    アラスカ上空でロシア軍機がF16の後方死角からパッシ…
  • 6
    【独占インタビュー】ロバーツ監督が目撃、大谷翔平…
  • 7
    借金と少子高齢化と買い控え......「デフレ三重苦」…
  • 8
    大谷翔平と愛犬デコピンのバッテリーに球場は大歓声…
  • 9
    NewJeansミンジが涙目 夢をかなえた彼女を待ってい…
  • 10
    米軍がウクライナに供与する滑空爆弾「JSOW」はロシ…
  • 1
    「LINE交換」 を断りたいときに何と答えますか? 銀座のママが説くスマートな断り方
  • 2
    ベッツが語る大谷翔平の素顔「ショウは普通の男」「自由がないのは気の毒」「野球は超人的」
  • 3
    「まるで別人」「ボンドの面影ゼロ」ダニエル・クレイグの新髪型が賛否両論...イメチェンの理由は?
  • 4
    「もはや手に負えない」「こんなに早く成長するとは.…
  • 5
    ウクライナに供与したF16がまた墜落?活躍する姿はど…
  • 6
    漫画、アニメの「次」のコンテンツは中国もうらやむ…
  • 7
    ウクライナ軍、ドローンに続く「新兵器」と期待する…
  • 8
    北朝鮮、泣き叫ぶ女子高生の悲嘆...残酷すぎる「緩慢…
  • 9
    エコ意識が高過ぎ?...キャサリン妃の「予想外ファッ…
  • 10
    キャサリン妃の「外交ファッション」は圧倒的存在感.…
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中