最新記事
犯罪

「この国の恥だ!」 インドで暴徒が女性を裸にし、街中を引き回す...悲惨な動画に怒りの声が殺到

2023年7月21日(金)20時10分
ビニタ・ジェイコブ
インド・マニプール州での暴動

マニプール州で起きた暴動の犠牲者の周囲に集まる人々(6月29日) Stringer-Reuters

<女性2人が裸にされたうえ、体を触られながら引き回される様子を撮影した動画が2カ月以上経った今になって流出>

インド北東部のマニプール州で今年5月、女性2人が暴徒によって全裸にされたうえ、そのままの姿で体をまさぐられながら街中を引き回されるというおぞましい事件が起きた。7月19日にはこの様子を捉えた動画が流出し、インド全土から怒りの声が上がっている。

■【動画】裸の女性を「パレード」のように引きずり回すインド・マニプール州の暴徒たち

 
 
 
 

こうしたなか、同国のナレンドラ・モディ首相も、事件の背景にある同州で長引く部族間の対立について遂に沈黙を破った。モディは7月20日、議会での審議に先立ち、「マニプールの娘たちに起きたことは、決して許されないこと」だと述べた。彼がこの問題についてコメントしたのは、今回が初めてだ。

マニプール州では2カ月以上前から部族間の激しい衝突が続いており、事態は治まる気配がない。これまでに大勢の人が命を落とし、何千人もの人が住むところを追われているが、モディはこれまでこの問題について奇妙なほど沈黙を貫き、公の場で言及することはなかった。

こうしたなか、7月19日に問題の動画が流出した。5月4日に撮影されたこの動画には、マニプール州在住の2人の女性が暴徒たちに取り囲まれ、体を触られ、引き回された上に水田に連れていかれる様子が映っている。さらに現地の警察によれば、暴徒の集団は一連の騒動の中、女性たちの家族である男性2人を殺害したという。

2カ月以上前に撮影されていた動画

モディは「今回明るみに出たマニプール州での事件は、どのような文明社会にとっても恥ずべきものであり、この国の恥だ。全ての州首相に対して、特に女性に対する犯罪への対処や法律を厳格化するよう促したい。このような罪を犯した者は、この国のどこにおいても、処罰を免れることがあってはならない」と述べ、さらにこう続けた。

「罪を犯した者が、処罰を免れることはないと断言する。マニプールの娘たちに起きたことは、決して許されることではない」

マニプール州はインド北東部のミャンマーとの国境近くに位置しており、370万人が暮らしている。同州では5月に2つの部族――メイテイ族とクキ族――の衝突が勃発した。

メイテイ族は州政府に対して、自分たちを就職などで優遇される「指定部族」のリストに含め、またクキ族が暮らしている山岳地帯の土地を購入できるようにするよう要求。クキ族がこれに抗議したことが両部族間の衝突に発展し、これまでに130人以上が死亡する事態となっている。さらに数千人が暴動によって避難を余儀なくされ、中には帰る家を失った人もいる。

あわせて読みたい
ニュース速報

ビジネス

英建設業PMI、11月は39.4 20年5月以来の

ワールド

ウクライナ軍撤退なければ、ドンバス地方を武力で完全

ビジネス

アングル:長期金利2.0%が視野、ターミナルレート

ワールド

中国、レアアース輸出ライセンス合理化に取り組んでい
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:日本時代劇の挑戦
特集:日本時代劇の挑戦
2025年12月 9日号(12/ 2発売)

『七人の侍』『座頭市』『SHOGUN』......世界が愛した名作とメイド・イン・ジャパンの新時代劇『イクサガミ』の大志

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    戦争中に青年期を過ごした世代の男性は、終戦時56%しか生き残れなかった
  • 2
    日本酒の蔵元として初の快挙...スコッチの改革に寄与し、名誉ある「キーパー」に任命された日本人
  • 3
    【クイズ】17年連続でトップ...世界で1番「平和な国」はどこ?
  • 4
    人生の忙しさの9割はムダ...ひろゆきが語る「休む勇…
  • 5
    イスラエル軍幹部が人生を賭けた内部告発...沈黙させ…
  • 6
    【クイズ】日本で2番目に「ホタテの漁獲量」が多い県…
  • 7
    高市首相「台湾有事」発言の重大さを分かってほしい
  • 8
    7歳の息子に何が? 学校で描いた「自画像」が奇妙す…
  • 9
    台湾に最も近い在日米軍嘉手納基地で滑走路の迅速復…
  • 10
    見えないと思った? ウィリアム皇太子夫妻、「車内の…
  • 1
    7歳の息子に何が? 学校で描いた「自画像」が奇妙すぎた...「心配すべき?」と母親がネットで相談
  • 2
    100年以上宇宙最大の謎だった「ダークマター」の正体を東大教授が解明? 「人類が見るのは初めて」
  • 3
    インド国産戦闘機に一体何が? ドバイ航空ショーで墜落事故、浮き彫りになるインド空軍の課題
  • 4
    【最先端戦闘機】ミラージュ、F16、グリペン、ラファ…
  • 5
    128人死亡、200人以上行方不明...香港最悪の火災現場…
  • 6
    【寝耳に水】ヘンリー王子&メーガン妃が「大焦り」…
  • 7
    【クイズ】次のうち、マウスウォッシュと同じ効果の…
  • 8
    【クイズ】世界遺産が「最も多い国」はどこ?
  • 9
    【銘柄】関電工、きんでんが上昇トレンド一直線...業…
  • 10
    戦争中に青年期を過ごした世代の男性は、終戦時56%…
  • 1
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 2
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後」の橋が崩落する瞬間を捉えた「衝撃映像」に広がる疑念
  • 3
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎の存在」がSNSで話題に、その正体とは?
  • 4
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 5
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸…
  • 6
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
  • 7
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披…
  • 8
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」は…
  • 9
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 10
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中