最新記事
EC

69兆円の中国ライブコマース市場は進化できるか? 値引きや有名人頼みから脱却目指す

2023年7月3日(月)07時37分
ロイター

競争とリスク

代理店ロモモの幹部は「ブランド企業はライブコマースについて楽観的で前向きになっている。確固としたライブコマースのチャンネルを構築するのが重要だ。なぜならそれは大事な販売・対話ツールだから」と強調した。

ロモモはファッション専門の電子商取引企業バイ・クイックリー(百秋)の子会社で、ランコムやアンダーアーマー、ヒューゴ・ボスといったブランド向けに150人を超えるフルタイムの司会者を派遣している。

もっとも市場細分化に伴って、プラットフォームや司会者が乱立し、視聴者を獲得するためのし烈な競争が繰り広げられているのも確かだ。

アリババ傘下の天猫や淘宝網(タオバオ)、あるいはJDドット・コムといった純粋な電子商取引企業は、抖音やインスタグラム型アプリ「小紅書」の台頭によって支配的地位が脅かされている。

消費者は今、お勧めのホテルから気に入ったマニキュア探しまで全て、ライフスタイル・プラットフォームである小紅書を利用しているからだ。

規制当局の締め付けも、従来のライブコマースのあり方に波紋を投げかけた。

李佳琦氏は天安門事件を連想させるような戦車を模したケーキを紹介し、別のスーパー司会者でライブコマースの女王と言われたviya氏は脱税事件が発覚したため、いずれもライブから降ろされた。

viya氏の配信は今も復活しておらず、たった1人か2人の有名司会者に販売活動を依存するリスクがあらわになった形だ。

フィットネスウェアのブランド「Sweaty Betty(スウェティ・ベティー)」の中国バイスプレジデント、レクシー・モリス氏は、スーパー司会者たちは最も幅広い影響力を持っているかもしれないが、企業にとっては狙っている消費者にきちんと届くことの方がより重要だ、との見方を示した。

(Casey Hall記者)

[ロイター]


トムソンロイター・ジャパン

Copyright (C) 2023トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます

日本企業
タイミーが仕掛ける「一次産業革命」とは? 農家の「攻めの経営」を後押しするスキマバイトの可能性
あわせて読みたい
ニュース速報

ビジネス

12月利下げは不要、今週の利下げも不要だった=米ダ

ビジネス

利下げでFRB信認揺らぐ恐れ、インフレリスク残存=

ワールド

イスラエル軍がガザで攻撃継続、3人死亡 停戦の脆弱

ビジネス

アマゾン株12%高、クラウド部門好調 AI競争で存
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:高市早苗研究
特集:高市早苗研究
2025年11月 4日/2025年11月11日号(10/28発売)

課題だらけの日本の政治・経済・外交を初の女性首相はこう変える

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読み方は?
  • 3
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」はどこ?
  • 4
    【ウクライナ】要衝ポクロウシクの攻防戦が最終局面…
  • 5
    【クイズ】1位は「蚊」...世界で「2番目に」人間を殺…
  • 6
    必要な証拠の95%を確保していたのに...中国のスパイ…
  • 7
    海に響き渡る轟音...「5000頭のアレ」が一斉に大移動…
  • 8
    【クイズ】12名が死亡...世界で「最も死者数が多い」…
  • 9
    【ロシア】本当に「時代遅れの兵器」か?「冷戦の亡…
  • 10
    【クイズ】日本でツキノワグマの出没件数が「最も多…
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    英国で「パブ離れ」が深刻化、閉店ペースが加速...苦肉の策は「日本では当たり前」の方式だった
  • 3
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読み方は?
  • 4
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」は…
  • 5
    【話題の写真】自宅の天井に突如現れた「奇妙な塊」…
  • 6
    【ウクライナ】要衝ポクロウシクの攻防戦が最終局面…
  • 7
    中国レアアース輸出規制強化...代替調達先に浮上した…
  • 8
    女性の後を毎晩つけてくるストーカー...1週間後、雨…
  • 9
    熊本、東京、千葉...で相次ぐ懸念 「土地の買収=水…
  • 10
    【クイズ】1位は「蚊」...世界で「2番目に」人間を殺…
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    英国で「パブ離れ」が深刻化、閉店ペースが加速...苦肉の策は「日本では当たり前」の方式だった
  • 3
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」はどこ?
  • 4
    かばんの中身を見れば一発でわかる!「認知症になり…
  • 5
    「大谷翔平の唯一の欠点は...」ドジャース・ロバーツ…
  • 6
    1000人以上の女性と関係...英アンドルー王子、「称号…
  • 7
    増加する「子どもを外注」する親たち...ネオ・ネグレ…
  • 8
    悲しみで8年間「羽をむしり続けた」オウム...新たな…
  • 9
    バフェット指数が異常値──アメリカ株に「数世代で最…
  • 10
    お腹の脂肪を減らす「8つのヒント」とは?...食事以…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中