最新記事
ロシア

反プーチンロシア人武装集団が、ベルゴロドで逃げ惑うロシア兵の動画を拡散

Russian Defectors Say Putin's Troops 'Hiding in Panic' in Belgorod

2023年5月29日(月)17時34分
ブレンダン・コール

ウクライナ東部ドネツク州の前線で戦う「自由ロシア軍団」の兵士たち(3月21日)  U.S. Air Force/Justin Connaher/ REUTERS

<ウクライナと国境を接するロシアの村が攻撃された事件で、犯行を主張する反プーチンロシア人武装集団が攻撃の模様を写した動画をネットに投稿。ロシア軍のふがいなさをアピールしている>

ウラジーミル・プーチン大統領のウクライナ侵攻に反対し、ウクライナ側で戦うロシア人組織「自由ロシア軍団」は、ロシア領内で攻撃を受けたロシア軍兵士が逃げ隠れする様子を映した動画を公開した。

【動画】ロシア治安部隊と自由ロシア軍団の戦闘の様子...ベルゴロド攻撃の「戦利品」

テレグラム・チャンネルに投稿されたこの動画は、ウクライナ領からロシア領のベルゴロド州を攻撃する作戦の最初の映像で、「プーチンの軍隊の臆病さとプロとしての資格の欠如を証明する」という説明がつけられている。

自由ロシア軍団は22日にウクライナと国境を接するロシア西部ベルゴロド州の村を占拠したと発表した。ロシア側は、この攻撃はウクライナ側の「破壊工作グループ」によって行われたと主張している。

別の反ロシア民兵組織「ロシア義勇軍」も犯行声明を出したが、ウクライナはこの攻撃への関与を否定している。

投稿された動画は、長さ1分52秒。空から地上を俯瞰する映像から始まり、「ベルゴロド地方」とキャプションが付けられている。その後、軍団のメンバーらしき人物が乗った軍用車の車内に切り替わる。車がどこを走っているかは明らかではない。

ドローンによる空からの映像は、歩兵戦闘車を映し出し、「敵のBMP-2(歩兵戦闘車)」という説明が入る。その後、現れる住宅の映像には、ロシア軍機動中隊の兵士が「廃屋が並ぶ住宅地で隠れる場所を探している」というキャプションがつけられている。

軍装備品と捕虜を獲得

「数の上で優位に立ち、自国の慣れた土地で行動しているにもかかわらず、ロシア軍の兵士たちは、パニックに陥って階段やフェンスの陰に隠れた」と、テレグラムの投稿は述べている。

この動画は、ロシア軍兵士が隠れた場所への砲撃と、ロシア軍の装備への攻撃を示すとされる。

「連中はかくれんぼをしようとしていたが、こちら側の砲手はずっと上手だ」と、投稿の文章は続く。この映像に映っている「破壊され、損傷したロシア軍の装備は、もはやウクライナの都市を破壊するために走り回ることはなくなるだろう」

この動画は第三者によって検証されたものではない。本誌はロシア国防省に連絡してコメントを求めている。

ロシア当局は24日までに事態を収拾したと主張しているが、自由ロシア軍団は作戦の成功と、大量の軍装備品と捕虜を獲得したことを発表した。

「われわれは戻ってくる。ブリャンスク、クルスク、ボロネジ、ロストフ、モスクワ、待っているがいい」と、軍団は25日にテレグラムに投稿した。

この事件の前に、ベルゴロド州にあるロシア内務省の建物がドローン攻撃を受けたと報じられている。オンラインニュースメディア「バザ」は、26日にドローンがメイスキー村の移民局ビルに爆発物を投下したと報じた。

一方、同日未明、ベルゴロド州のビャチェスラフ・グラトコフ知事は、無人機から投下された爆発物が国営エネルギー大手バスプロムの建物を損傷させたと発表した。

あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

石破首相「双方の利益になるよう最大限努力」、G7で

ワールド

米中貿易枠組み合意、軍事用レアアース問題が未解決=

ワールド

独仏英、イランに核開発巡る協議を提案 中東の緊張緩

ワールド

イスラエルとイランの応酬続く、トランプ氏「紛争終結
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:非婚化する世界
特集:非婚化する世界
2025年6月17日号(6/10発売)

非婚化・少子化の波がアメリカもヨーロッパも襲う。世界の経済や社会福祉、医療はどうなる?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「タンパク質」より「食物繊維」がなぜ重要なのか?...「がん」「栄養」との関係性を管理栄養士が語る
  • 2
    ブラッド・ピット新髪型を「かわいい」「史上最高にかっこいい」とネット絶賛 どんなヘアスタイルに?
  • 3
    「サイドミラー1つ作れない」レアアース危機・第3波でパニック...中国の輸出規制が直撃する「グローバル自動車産業」
  • 4
    サイコパスの顔ほど「魅力的に見える」?...騙されず…
  • 5
    林原めぐみのブログが「排外主義」と言われてしまう…
  • 6
    メーガン妃とキャサリン妃は「2人で泣き崩れていた」…
  • 7
    若者に大不評の「あの絵文字」...30代以上にはお馴染…
  • 8
    ハルキウに「ドローン」「ミサイル」「爆弾」の一斉…
  • 9
    庭にクマ出没、固唾を呑んで見守る家主、そして次の…
  • 10
    さらばグレタよ...ガザ支援船の活動家、ガザに辿り着…
  • 1
    庭にクマ出没、固唾を呑んで見守る家主、そして次の瞬間...「信じられない行動」にネット驚愕
  • 2
    大阪万博は特に外国人の評判が最悪...「デジタル化未満」の残念ジャパンの見本市だ
  • 3
    「セレブのショーはもう終わり」...環境活動家グレタらが乗ったガザ支援船をイスラエルが拿捕
  • 4
    「サイドミラー1つ作れない」レアアース危機・第3波で…
  • 5
    ブラッド・ピット新髪型を「かわいい」「史上最高に…
  • 6
    ファスティングをすると、なぜ空腹を感じなくなるの…
  • 7
    今こそ「古典的な」ディズニープリンセスに戻るべき…
  • 8
    アメリカは革命前夜の臨界状態、余剰になった高学歴…
  • 9
    右肩の痛みが告げた「ステージ4」からの生還...「生…
  • 10
    脳も体も若返る! 医師が教える「老後を元気に生きる…
  • 1
    日本の「プラごみ」で揚げる豆腐が、重大な健康被害と環境汚染を引き起こしている
  • 2
    【定年後の仕事】65歳以上の平均年収ランキング、ワースト2位は清掃員、ではワースト1位は?
  • 3
    日本はもう「ゼロパンダ」でいいんじゃない? 和歌山、上野...中国返還のその先
  • 4
    一瞬にして村全体が消えた...スイスのビルヒ氷河崩壊…
  • 5
    庭にクマ出没、固唾を呑んで見守る家主、そして次の…
  • 6
    大爆発で一瞬にして建物が粉々に...ウクライナ軍「Mi…
  • 7
    「ママ...!」2カ月ぶりの再会に駆け寄る13歳ラブラ…
  • 8
    あなたも当てはまる? 顔に表れるサイコパス・ナルシ…
  • 9
    ドローン百機を一度に発射できる中国の世界初「ドロ…
  • 10
    【クイズ】EVの電池にも使われる「コバルト」...世界…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中