最新記事
英王室

70年間待った男、チャールズ3世──新英国王の素顔とこれまでの歩み

THE CROWN AT LAST

2023年5月8日(月)12時30分
ジャック・ロイストン(英王室担当)

230516p18_TKS_02.jpg

1978年には教育関連の行事でソウルダンスに興じて話題に CENTRAL PRESSーHULTON ARCHIVE/GETTY IMAGES

■「みんな働かなくちゃ」

チャールズは、しばしばワーカホリック(仕事中毒)と評されてきた。

ヘンリー王子の回顧録『スペア(原題)』には、チャールズの仕事への打ち込みぶりが描かれている。

「パー(パパ)はずっと働き者だった。仕事を信条としていた。『みんな働かなければいけない』と、よく言っていた。彼にとっての仕事は、一種の宗教のようでもあった。なにしろ、この惑星を救おうと、しゃかりきになっていたから」

「父は、気候変動について警鐘を鳴らすために何十年も闘い続けた。メディアにヘニー・ペニー(頭の上に落ちてきた木の実を空が落ちてきたと勘違いして大騒ぎするニワトリの寓話)に例えられ、揶揄されても、決してめげなかった。深夜に父が手紙の山に埋もれて仕事している姿を、ウィリー(兄ウィリアム)と一緒に見たことも幾度となくある」

「机に突っ伏して寝入っている父を見たのも一度や二度ではない。私たちが肩を揺さぶって起こすと、父の額には書類が貼り付いていた」

ウィリアム(現皇太子)も、チャールズが70歳を迎えた18年にBBCが制作したドキュメンタリーでこう語っている。「もっと私たちと一緒に過ごす時間があったらよかったと思う。孫たちと遊ぶ時間もね」

■ 波乱に満ちた結婚生活

81年、チャールズはセントポール大聖堂でダイアナと挙式した。2人が交際を始めたのは、その1年前。当時のチャールズは身を固める必要に迫られていた。後にダイアナは、結婚前にチャールズと会ったのは13回だけだと明かしている。

チャールズとカミラは以前から交際していたが、既にカミラにはアンドルー・パーカー・ボウルズという夫がいた。それで彼はダイアナと結婚したのだが、その後もカミラは彼にとって欠かせない存在だった。ハネムーン中もカミラの悪夢にうなされたと、ダイアナは語っている。

ダイアナは82年にウィリアム、84年にヘンリーを出産。夫とカミラの不倫について確証を得たのは、結婚して5年後だったという。それでも2人は仮面夫婦を続けた。別居したのは92年、正式な離婚は96年だ。

あわせて読みたい
ニュース速報

ビジネス

再送-〔アングル〕日銀、柔軟な政策対応の局面 米関

ビジネス

3月完全失業率は2.5%に悪化、有効求人倍率1.2

ビジネス

トランプ氏一族企業のステーブルコイン、アブダビMG

ワールド

EU、対米貿易関係改善へ500億ユーロの輸入増も─
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:英語で学ぶ 国際ニュース超入門
特集:英語で学ぶ 国際ニュース超入門
2025年5月 6日/2025年5月13日号(4/30発売)

「ゼロから分かる」各国・地域情勢の超解説と時事英語

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    日本の未婚男性の「不幸感」は他国と比べて特異的に高く、女性では反対に既婚の方が高い
  • 2
    マリフアナを合法化した末路とは? 「バラ色の未来が来るはずだったのに...」
  • 3
    タイタニック生存者が残した「不気味な手紙」...何が書かれていた?
  • 4
    ウクライナ戦争は終わらない──ロシアを動かす「100年…
  • 5
    インド北部の「虐殺」が全面「核戦争」に発展するか…
  • 6
    MRI検査で体内に「有害金属」が残留する可能性【最新…
  • 7
    日々、「幸せを実感する」生活は、実はこんなに簡単…
  • 8
    悲しみは時間薬だし、幸せは自分次第だから切り替え…
  • 9
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」では…
  • 10
    クルミで「大腸がんリスク」が大幅に下がる可能性...…
  • 1
    日本史上初めての中国人の大量移住が始まる
  • 2
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」ではない
  • 3
    MRI検査で体内に「有害金属」が残留する可能性【最新研究】
  • 4
    中国で「ネズミ人間」が増殖中...その驚きの正体とは…
  • 5
    ロシア国内エラブガの軍事工場にウクライナが「ドロ…
  • 6
    日本の未婚男性の「不幸感」は他国と比べて特異的に…
  • 7
    パニック発作の原因の多くは「ガス」だった...「ビタ…
  • 8
    マリフアナを合法化した末路とは? 「バラ色の未来…
  • 9
    使うほど脱炭素に貢献?...日建ハウジングシステムが…
  • 10
    私の「舌」を見た医師は、すぐ「癌」を疑った...「口…
  • 1
    【話題の写真】高速列車で前席のカップルが「最悪の行為」に及ぶ...インド人男性の撮影した「衝撃写真」にネット震撼【画像】
  • 2
    日本史上初めての中国人の大量移住が始まる
  • 3
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」ではない
  • 4
    健康寿命を伸ばすカギは「人体最大の器官」にあった.…
  • 5
    【心が疲れたとき】メンタルが一瞬で “最…
  • 6
    間食はなぜ「ナッツ一択」なのか?...がん・心疾患・抜…
  • 7
    北朝鮮兵の親たち、息子の「ロシア送り」を阻止する…
  • 8
    【クイズ】世界で最も「半導体の工場」が多い国どこ…
  • 9
    クレオパトラの墓をついに発見? 発掘調査を率いた…
  • 10
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中