最新記事
米銀破綻

SVB破綻、融資だけでなく「危ない預金」に要注意

More Banks Will Fail Like Silicon Valley Bank, Former FDIC Chair Predicts

2023年3月13日(月)15時46分
トーマス・キカ

経営破綻したシリコンバレー銀行(SVB)本社の看板(3月10日、カリフォルニア州サンタクララ)Nathan Frandino-REUTERS

<ハイリターンを求めてSVBに預金した機関投資家は逃げ足も速かった。暗号資産関係の取引が多かったとされるシグネチャーバンクの経営破綻も同じ構造か?>

連邦預金保険公社(FDIC)のウィリアム・アイザック元総裁は、シリコンバレー銀行(SVB)の破綻の影響を受け、さらなる銀行破綻の可能性を警戒している。

SVBはアメリカで16番目に大きい銀行で、40年近くにわたってテック系スタートアップにとって頼りになる金融機関だった。だが3月10日、経営不振の噂に怖気付いた顧客が預金を引き出し始めると経営破綻に追い込まれた。

連鎖破綻を回避するため、FDICはSVBを管理下に置き、1億5000万ドルの無保険預金の返済方法を検討することになった。SVBの破綻は、2008年のリーマン・ブラザーズ破綻以来、金融機関として最大規模の破綻になった。

オンラインのニュースメディア、ポリティコは12日、金融業界では近い将来に同じような破顔が起こる可能性があると懸念が高まっている、と報告した。1981〜1985年までロナルド・レーガン政権下でFDIC総裁を務めたアイザックは同誌に対し、近いうちに銀行破綻が増えると思うが、その件数や規模は予測できないと述べた。

ポリティコは、アイザックがFDICに在籍中、数多くの銀行を破綻から救ったことを指摘している。彼が総裁を務めていた時期もインフレと金利の上昇が顕著だった。アイザックはその当時と現在の状況の類似を指摘する。

「疑いの余地はない。破綻はもっと増えるだろう。どれぐらい増えるのか? それはわからない。どれくらいの規模になるのか? それもわからない」とアイザックは言った。「だがこの状況は1980年代によく似ているような気がする」

破綻を導いた預金流出

ポリティコは、世界金融危機の時期を含む2006〜2011年にFDIC総裁を務め、金融破綻に直面したシーラ・ベアにも話を聞いている。

SVBの状況は、他の銀行に対する警鐘であり、融資や資産の質以上に、どのような要因が破綻につながるかを教えるものだ、とベアは語った。SVBのように顧客が新興ハイテク企業という特定の業界に集中しているのは銀行では珍しいことであり、そうでなければ、預金流出以外で破綻に至ることはなかったと専門家はみる。

「これは、負債(預金)にも目を向ける必要がある、という警鐘だ」と、ベアは言う。「より高い利回りを求める機関投資家の資金は不安定ということだ」。

12日までの報道によると、その後、暗号資産関係の取引が多かったとされるニューヨーク州のシグネチャー・バンクが経営破綻し、米財務省とFDICと連邦準備制度理事会(FRB)は、両行の預金を全額保護すると発表した。両行の破綻につながったパニック的な取り付け騒ぎが連鎖するのを防ぐためだ。

ニューズウィーク日本版 ジョン・レノン暗殺の真実
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2025年12月16日号(12月9日発売)は「ジョン・レノン暗殺の真実」特集。衝撃の事件から45年、暗殺犯が日本人ジャーナリストに語った「真相」 文・青木冨貴子

※バックナンバーが読み放題となる定期購読はこちら


あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

中国、ウィングテックとネクスペリアの協議を支援

ビジネス

英、国民保健サービスの医薬品支出20億ドル増額へ 

ビジネス

補正予算案が衆院通過、16日にも成立見通し 国民・

ワールド

アングル:日銀会合後の円相場、金利反応が焦点に 相
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:ジョン・レノン暗殺の真実
特集:ジョン・レノン暗殺の真実
2025年12月16日号(12/ 9発売)

45年前、「20世紀のアイコン」に銃弾を浴びせた男が日本人ジャーナリストに刑務所で語った動機とは

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    中国軍機の「レーダー照射」は敵対的と、元イタリア空軍の専門家。NATO軍のプロフェッショナルな対応と大違い
  • 2
    トランプの面目丸つぶれ...タイ・カンボジアで戦線拡大、そもそもの「停戦合意」の効果にも疑問符
  • 3
    「何これ」「気持ち悪い」ソファの下で繁殖する「謎の物体」の姿にSNS震撼...驚くべき「正体」とは?
  • 4
    死者は900人超、被災者は数百万人...アジア各地を襲…
  • 5
    【クイズ】アジアで唯一...「世界の観光都市ランキン…
  • 6
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 7
    人手不足で広がり始めた、非正規から正規雇用へのキ…
  • 8
    「正直すぎる」「私もそうだった...」初めて牡蠣を食…
  • 9
    「安全装置は全て破壊されていた...」監視役を失った…
  • 10
    イギリスは「監視」、日本は「記録」...防犯カメラの…
  • 1
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした「信じられない」光景、海外で大きな話題に
  • 2
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価に与える影響と、サンリオ自社株買いの狙い
  • 3
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だから日本では解決が遠い
  • 4
    健康長寿の鍵は「慢性炎症」にある...「免疫の掃除」…
  • 5
    兵士の「戦死」で大儲けする女たち...ロシア社会を揺…
  • 6
    キャサリン妃を睨む「嫉妬の目」の主はメーガン妃...…
  • 7
    中国軍機の「レーダー照射」は敵対的と、元イタリア…
  • 8
    ホテルの部屋に残っていた「嫌すぎる行為」の証拠...…
  • 9
    戦争中に青年期を過ごした世代の男性は、終戦時56%…
  • 10
    【クイズ】アルコール依存症の人の割合が「最も高い…
  • 1
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 2
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後」の橋が崩落する瞬間を捉えた「衝撃映像」に広がる疑念
  • 3
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸送機「C-130」謎の墜落を捉えた「衝撃映像」が拡散
  • 4
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした…
  • 5
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
  • 6
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披…
  • 7
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 8
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 9
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 10
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中