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事故SNSが生んだ最悪のブーム...危険すぎる「地下鉄サーフィン」で15歳少年が死亡
写真はイメージです William Perugini-Shutterstock
<SNS上で流行となっている無謀すぎる若者たちの行為「地下鉄サーフィン」により、アメリカでは死亡事故が相次ぐ異常事態に>
米ニューヨーク市で2月20日、走行中の地下鉄の屋根に登っていた15歳の少年が死亡した。「地下鉄サーフィン」と呼ばれるこの無謀な行為による死亡事故は、この3カ月弱で2回目。背景には、若者たちによる危険な行為がSNSに相次いで投稿されるという「流行」があった。
■【動画】絶対に真似しないで! あまりにも危険すぎる「地下鉄サーフィン」
ザッカリー・ナザリオ(15)は20日の午後6時45分頃、17歳のガールフレンドと一緒にブルックリン行きの「Jトレイン」に乗り、車両の間を歩き始めた。ニューヨーク・デイリー・ニューズ紙によれば、ナザリオはその後、電車がイーストリバーにかかるウィリアムズバーグ橋を渡っている際に車両の屋根に登った。
そして後を追いかけてきたガールフレンドの方を振り返った際、梁にぶつかって車両の間に転落。ガールフレンドの目の前で電車にひかれて、その場で死亡したという。
ナザリオの母ノーマは、「息子はとてもいい子だった」と同紙に語った。「二度と同じことが起こらないようにして欲しい。私が知る限り、こういう事故で死亡した子は息子で2人目だ」と彼女は述べ、さらにこう続けた。「友達同士で止めるようにして欲しい。本当に。違法行為なのだから」
約2カ月前の2022年12月1日には、別の15歳の少年がやはり地下鉄サーフィンで死亡していた。この少年は電車の屋根から転落し、給電用のレールにぶつかった後に死亡した。
「どれだけ強調しても足りないほど危険な行為」
ニューヨークの地下鉄とバスを運営するニューヨークシティー・トランジットのリチャード・デイビー社長は、事故を受けて次のように述べた。「車両の外側にしがみつく行為の危険性は、どれだけ強調しても足りないほどだ。またもや悲劇的な事故が起きてしまい、遺族にはお悔やみ申し上げる。刺激的に思える行為が実際にはどれだけ危険なのか、各家庭で子どもと話をして欲しい」
当局者たちはこの無謀な「地下鉄サーフィン」について、ソーシャルメディア上で生まれた流行だと指摘し、それがいかに危険な行為かを改めて強調している。
ニューヨーク市警の広報官は21日に出した声明の中で、「地下鉄の車両の外側にしがみついたり乗ったりする行為は、違法なだけでなく、とてつもなく危険な行為だ。毎年、いわゆる地下鉄サーフィンをして死亡したり、重傷を負ったりする人が複数出ており、その多くは10代の若者だ。この危険な行為への対策として、車両間の移動を禁止する規則を導入している」
MTA(ニューヨーク州都市交通局)の広報官は地元メディアPIX11に対して、車両の屋根に登ったのが確認された人の具体的な数に関するデータはないが、車両の外にしがみついていたのが確認された人の数に関する統計はあると述べた。
MTAは電車の車両の外(車両の屋根、車両の間をはじめ車両の外側ならどこでも)にしがみついているのが確認された人について、2019年に490人、2020年に199人、2021年には206人だったという数字を提示した。
ところがこうした事例の数は、2021年から1年で4倍に増え、2022年には928人となっている。この1年で、若者の間で地下鉄サーフィンが大流行し、今もソーシャルメディアでこうした動画が閲覧されている。