最新記事

ウクライナ情勢

ドイツの最強戦車「レオパルト2」を大量供与しなければ、形勢は逆転する

Tanks, but No Tanks

2023年1月19日(木)18時30分
ジャック・デッチ

欧州12カ国の軍隊がレオパルト2を採用している。写真はスイス軍のもの(2022年11月28日) Arnd Wiegmann-REUTERS

<世界50カ国の国防相が集まる20日のウクライナ支援会合でドイツは主力戦車の供与を認めるか。第一次大戦のような泥沼の消耗戦になるかの瀬戸際だ>

1月20日にドイツで開かれるウクライナへの軍事支援に関する会合を控え、西側各国の防衛関係者は緊張の面持ちで事態の推移を見守っている。この会合では、主力戦車や長距離ミサイルの大量供与を求める声が上がる一方で、アメリカとドイツは依然、ロシアがNATOの直接的な介入とみることを警戒し、強力な武器の供与に慎重姿勢を取る可能性がある。

ドイツのラムシュタイン空軍基地で開催される会合では、およそ50カ国の国防トップがウクライナ支援について協議する。折しも、ロシアは春季攻勢に向けて新たな動員令を準備していると伝えられ、ウクライナ戦争は新局面に突入する形勢だ。イギリスは支援を加速させる方針を打ち出し、ジェームズ・クレバリー英外相は訪米中の17日に行った記者会見で、多くの戦死者を出しているロシアは新たな動員を「必ず行うだろう」と述べた。

「この戦争が延々と長引き、第1次世界大戦のような消耗戦になることをみすみす許すわけにはいかない」と、クレバリーは力を込めた。「それゆえ今こそウクライナへの支援を増強すべきだ」

米独は方針を変えるか

冬に入り、ウクライナ軍が東部ドンバス地方でロシアの歩兵隊や傭兵部隊と激戦を展開するなか、何カ月も前から続いていきた武器供与をめぐる西側各国の駆け引きは一段とヒートアップしている。ロシア軍は民間軍事会社ワーグナー・グループが提供する傭兵部隊に率いられ、多大な人的犠牲を払いつつも、ここ数週間「じわじわ」と盛り返してきたと、米国家安全保障会議のジョン・カービー戦略広報担当調整官は18日に電話で記者団に述べた。

ウクライナ政府も西側もウクライナ兵の消耗の酷さに懸念を募らせており、一部にはアメリカもここに来てようやく長距離ミサイルの供与に踏み切るのではないかと期待する向きもある。そうなれば、これまでアメリカと足並みを合わせて、自国製の主力戦車レオパルト2のウクライナへの供与を認めていなかったドイツも、ゴーサインを出すかもしれない。開戦1周年の節目を控え、ロシアが大攻勢をかけると予想されるなか、米政府内でも、ウクライナの勝利を決定づけるため、より強力な武器を供与すべきだとの声が高まりつつある。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

ブラジル南東部で豪雨、30人死亡・39人行方不明

ビジネス

豪CPI、1月は予想上回る伸びに コア加速で利上げ

ビジネス

スイスインフレ率、今後数カ月で上昇 一時的にマイナ

ワールド

NY州知事もトランプ政権に関税還付要求、135億ド
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:日本人が知らない AI金融の最前線
特集:日本人が知らない AI金融の最前線
2026年3月 3日号(2/25発売)

フィンテックの進化と普及で、金融はもっと高速に、もっとカジュアルに

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    アルコールは血糖値を下げる...「脳と血管を守る」医師がすすめる意外な健康習慣
  • 2
    米国の中国依存が低下、台湾からの輸入が上回る
  • 3
    命は長し、働け女たち――88歳「働くばあさん」が説く高齢期の「4つの覚悟」
  • 4
    3頭のクマがスキー客を猛追...ゲレンデで撮影された…
  • 5
    「水道水」が筋トレの成果を左右する...私たちの体に…
  • 6
    カビが植物に感染するメカニズムに新発見、硬い表面…
  • 7
    「IKEAも動いた...」ネグレクトされた子猿パンチと「…
  • 8
    「極めて危険」──ゼレンスキー、ロシアにおける北朝…
  • 9
    IMF、日本政府に消費減税を避けるよう要請...「財政…
  • 10
    武士はロマンで戦ったわけではない...命を懸けた「損…
  • 1
    「ヘル・コリア」から日本へ7万人 ── 大企業の高給より日本の「100%就職率」を選ぶ若者たち
  • 2
    アルコールは血糖値を下げる...「脳と血管を守る」医師がすすめる意外な健康習慣
  • 3
    命は長し、働け女たち――88歳「働くばあさん」が説く高齢期の「4つの覚悟」
  • 4
    「水道水」が筋トレの成果を左右する...私たちの体に…
  • 5
    「#ジェームズ・ボンドを忘れろ」――MI6初の女性長官…
  • 6
    カビが植物に感染するメカニズムに新発見、硬い表面…
  • 7
    海外(特に日本)移住したい中国人が増えている理由.…
  • 8
    100万人が死傷、街には戦場帰りの元囚人兵...出口な…
  • 9
    ロシアに蔓延する「戦争疲れ」がプーチンの立場を揺…
  • 10
    米国の中国依存が低下、台湾からの輸入が上回る
  • 1
    【クイズ】致死率50~75%...インドで感染拡大「ニパウイルス」の感染源となる動物は?
  • 2
    ウクライナ戦闘機「F-16」がロシア軍「シャヘド」を空中爆破...地上から撮影の「レア映像」を公開
  • 3
    高市積極財政にアメリカが慌てる理由
  • 4
    台湾侵攻「失敗」の大きすぎる代償
  • 5
    「最恐」恐竜T・レックスの定説を覆す新研究が
  • 6
    セーターが消えた冬 ── 暖かさの主戦場が「インナー」…
  • 7
    イースター島の先住民から資源を略奪、島を「生きた…
  • 8
    「ヘル・コリア」から日本へ7万人 ── 大企業の高給より…
  • 9
    中国、パナマ運河の港湾喪失でパナマに報復──トラン…
  • 10
    「罠に嵌められた」と主張するが...欧州で次々と摘発…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中