最新記事

エネルギー

隅田川の屋形船に使用 バイオ燃料「サステオ」が秘める環境負荷軽減の可能性

2022年12月20日(火)11時30分
※TOKYO UPDATESより転載
バイオ燃料を使った屋形船

運航を担当したのは、有限会社船宿三浦屋。都内の浅草橋からお台場周辺にかけて運航された Photo: Euglena Co., Ltd.

<現在、東京都では、2050年CO₂排出実質ゼロを目指す「ゼロエミッション東京」の実現に向けて様々な対策を進めている。その鍵となるエネルギーとして注目されているものの一つにバイオ燃料がある>

CO₂を吸収する、微細藻類ユーグレナ

東京都は「ゼロエミッション東京」推進の一環として、2022年9月6日から3週間程度、次世代バイオディーゼル燃料「サステオ」の製造・販売を手がける株式会社ユーグレナと屋形船東京都協同組合の協力のもと、隅田川で「サステオ」を使用した屋形船を運航した。バイオ燃料を使用した屋形船の運航は国内初となる。

ユーグレナ社は2005年に創業。微細藻類ユーグレナ(和名:ミドリムシ)の屋外大量培養技術の確立に成功し、ユーグレナの豊富な栄養素を活用した食品や、化粧品の開発・販売を手がけてきた。2010年からは、ユーグレナから抽出した油脂を使ったバイオ燃料の開発に着手し、2018年には横浜市にバイオ燃料製造実証プラントを竣工した。

tokyoupdates221215_2.jpg

横浜市鶴見区にある日本初のバイオジェット・ディーゼル燃料製造実証プラント。Photo: Euglena Co., Ltd.

今回、屋形船で使われたバイオ燃料「サステオ」は、"サステナブルオイル"にちなんで名づけられており、次世代バイオディーゼル燃料に位置づけられる。従来型のバイオ燃料は通常のディーゼル燃料とよく似た特徴をもつが、分子構造が異なっているため、市販の軽油に5%まで混合する使用方法しか許可されていなかった。しかし、次世代バイオディーゼル燃料は通常の軽油と同じ分子構造であり、国内の軽油規格に準拠しているため、含有率100%でも使用できる。

「サステオは軽油と同じ分子構造をもつため、燃焼させればCO₂が排出される。しかし、地中に埋まっている化石燃料を掘り出して作った軽油を燃やすのと異なり、食用油の原料である植物やユーグレナが成長過程で光合成する際に大気中のCO₂を吸収するため、実質的な排出量はゼロとなり、カーボンニュートラルの実現に貢献すると期待されている。食料との競合や森林破壊といった問題にも繋がらない持続可能性に優れた燃料といえる」と株式会社ユーグレナ 執行役員 エネルギーカンパニー長の尾立維博氏。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

ウォーシュ氏、FRBの「体制変更」は難航か

ワールド

同時多発攻撃の武装勢力145人殺害、パキスタン・バ

ワールド

原油先物は約3%急落、米イラン協議とOPECプラス

ビジネス

スウォッチ、売上高の好調な勢い強調 25年通期利益
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:高市 vs 中国
特集:高市 vs 中国
2026年2月 3日号(1/27発売)

台湾発言に手を緩めない習近平と静観のトランプ。激動の東アジアを生き抜く日本の戦略とは

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    日本への威圧を強める中国...「レアアース依存」から脱却する道筋
  • 2
    関節が弱ると人生も鈍る...健康長寿は「自重筋トレ」から生まれる
  • 3
    世界初、太陽光だけで走る完全自己充電バイク...イタリア建築家が生んだ次世代モビリティ「ソラリス」
  • 4
    【銘柄】「古河機械金属」の株価が上昇中...中国のレ…
  • 5
    中国がちらつかせる「琉球カード」の真意
  • 6
    180万トンの「リチウムごみ」を資源に...EV電池の「…
  • 7
    【衛星画像】南西諸島の日米新軍事拠点 中国の進出…
  • 8
    高市首相の発言は正しかった...「対中圧力」と「揺れ…
  • 9
    【銘柄】「大戸屋」「木曽路」も株価が上がる...外食…
  • 10
    【銘柄】「住友金属鉱山」の株価が急上昇...銅の高騰…
  • 1
    【クイズ】致死率50~75%...インドで感染拡大「ニパウイルス」の感染源となる動物は?
  • 2
    セーターが消えた冬 ── 暖かさの主戦場が「インナー」と「フリース」に移った日
  • 3
    中国で大規模な金鉱脈の発見が相次ぐ...埋蔵量は世界でも過去最大規模
  • 4
    180万トンの「リチウムごみ」を資源に...EV電池の「…
  • 5
    日本への威圧を強める中国...「レアアース依存」から…
  • 6
    一人っ子政策後も止まらない人口減少...中国少子化は…
  • 7
    スペースXの宇宙飛行士の帰還が健康問題で前倒しに..…
  • 8
    ロシア軍の前線で「弾よけ」にされるアフリカ人...兵…
  • 9
    町長を「バズーカで攻撃」フィリピンで暗殺未遂、大…
  • 10
    秋田県は生徒の学力が全国トップクラスなのに、1キロ…
  • 1
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?【2025年の話題クイズ5選】
  • 2
    【クイズ】致死率50~75%...インドで感染拡大「ニパウイルス」の感染源となる動物は?
  • 3
    中国製防空レーダーは米軍のベネズエラ攻撃に屈した──台湾高官が分析
  • 4
    セーターが消えた冬 ── 暖かさの主戦場が「インナー」…
  • 5
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?【202…
  • 6
    海上自衛隊が水中無人機(UUV)を導入 中国の海軍拡…
  • 7
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」は…
  • 8
    防衛省が「新SSM」の映像を公開、ノルウェー・コング…
  • 9
    中国で大規模な金鉱脈の発見が相次ぐ...埋蔵量は世界…
  • 10
    【クイズ】韓国を抜いて1位に...世界で最も「出生率…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中