最新記事

ツイッター

「この鳥は今や自由だ」と言うイーロン・マスクの「監視評議会」に願うこと

2022年11月15日(火)10時55分
ピーター・シンガー(米プリンストン大学生命倫理学教授)

「絶対的な言論の自由」を掲げるマスクは、ツイッターの買収後、同社の青い鳥のロゴにちなんで、「この鳥は今や自由だ」とツイートした。

だが投稿内容についての規制を全て廃止することは、大きく異なる信念を持つ人々の間での「健全な」議論を促進する方法にはならない。マスクのツイッター買収完了後に人種差別的なツイートが急増したことからも、それは明らかだ。

【関連記事】イーロン・マスク降臨でツイッター上のヘイト表現が3倍に

マスクの掲げる目標は立派だ。しかしそれを実現するためには、論拠と証拠に基づき人々の共感や理解を求める言説と、他人を非難して憎悪をあおろうとする言説を区別する必要がある。

おそらくマスクも、このことに気付いているのだろう。ツイッター買収後、彼は幅広い視点を持つ人々で構成する「コンテンツ監視評議会」を立ち上げるとツイートした。

女性の社会的地位をおとしめ、自分の信ずる宗教に対する冒瀆と見なされた文芸作品の著者に対する死刑宣告を擁護するような男にもツイッターの使用を認めるべきかどうか。この点こそ、新設される評議会には真っ先に検討してほしい。

ツイッターのようなプラットフォームを支配する人間は、極めて大きな権力と、それに伴う責任を手にすることになる。

マスク(と、彼の指名するコンテンツ監視評議会のメンバー)は、果たしてその重い責任を果たせるだろうか。

【関連記事】マスクのツイッター改革案「アルゴリズムのオープンソース化」で何が変わるか

©Project Syndicate

220315P16_PeterSinger_b_v2.jpgピーター・シンガー
PETER SINGER
プリンストン大学教授(生命倫理学)。著書『動物の解放』(1975年)で注目を集めた。NPO団体TheLife You Can Save(あなたが救える命)創設者。オーストラリア出身。


今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

エプスタイン文書追加公開、ラトニック・ウォーシュ両

ワールド

再送-米ミネソタ州での移民取り締まり、停止申し立て

ワールド

移民取り締まり抗議デモ、米連邦政府は原則不介入へ=

ビジネス

アングル:中国「二線都市」が高級ブランドの最前線に
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:高市 vs 中国
特集:高市 vs 中国
2026年2月 3日号(1/27発売)

台湾発言に手を緩めない習近平と静観のトランプ。激動の東アジアを生き抜く日本の戦略とは

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    日本への威圧を強める中国...「レアアース依存」から脱却する道筋
  • 2
    180万トンの「リチウムごみ」を資源に...EV電池の「副産物」で建設業界のあの問題を解決
  • 3
    関節が弱ると人生も鈍る...健康長寿は「自重筋トレ」から生まれる
  • 4
    世界初、太陽光だけで走る完全自己充電バイク...イタ…
  • 5
    「着てない妻」をSNSに...ベッカム長男の豪遊投稿に…
  • 6
    ロシア軍の前線で「弾よけ」にされるアフリカ人...兵…
  • 7
    日本はすでに世界第4位の移民受け入れ国...実は開放…
  • 8
    中国で大規模な金鉱脈の発見が相次ぐ...埋蔵量は世界…
  • 9
    高市首相の発言は正しかった...「対中圧力」と「揺れ…
  • 10
    日本経済を中国市場から切り離すべきなのか
  • 1
    【クイズ】致死率50~75%...インドで感染拡大「ニパウイルス」の感染源となる動物は?
  • 2
    セーターが消えた冬 ── 暖かさの主戦場が「インナー」と「フリース」に移った日
  • 3
    中国で大規模な金鉱脈の発見が相次ぐ...埋蔵量は世界でも過去最大規模
  • 4
    180万トンの「リチウムごみ」を資源に...EV電池の「…
  • 5
    一人っ子政策後も止まらない人口減少...中国少子化は…
  • 6
    スペースXの宇宙飛行士の帰還が健康問題で前倒しに..…
  • 7
    ロシア軍の前線で「弾よけ」にされるアフリカ人...兵…
  • 8
    町長を「バズーカで攻撃」フィリピンで暗殺未遂、大…
  • 9
    日本への威圧を強める中国...「レアアース依存」から…
  • 10
    海上自衛隊が水中無人機(UUV)を導入 中国の海軍拡…
  • 1
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?【2025年の話題クイズ5選】
  • 2
    【クイズ】致死率50~75%...インドで感染拡大「ニパウイルス」の感染源となる動物は?
  • 3
    中国製防空レーダーは米軍のベネズエラ攻撃に屈した──台湾高官が分析
  • 4
    セーターが消えた冬 ── 暖かさの主戦場が「インナー」…
  • 5
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?【202…
  • 6
    海上自衛隊が水中無人機(UUV)を導入 中国の海軍拡…
  • 7
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」は…
  • 8
    前進するロシア、忍び寄る限界...勝者に見えるプーチ…
  • 9
    防衛省が「新SSM」の映像を公開、ノルウェー・コング…
  • 10
    中国で大規模な金鉱脈の発見が相次ぐ...埋蔵量は世界…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中