最新記事

ヘイトスピーチ

イーロン・マスク降臨でツイッター上のヘイト表現が3倍に

Use of the N-Word Tripled on Twitter in the First Week of Musk's Ownership

2022年11月14日(月)17時20分
ジェームズ・ビッケルトン

マスクがきてからツイッターは「憎しみの湧く泉」になったと反ヘイト団体は言う Dado Ruvic/Illustration-REUTERS

<言論の自由を標ぼうしてツイッターを買収したマスクだが、CEO就任直後から、人種や性的マイノリティに対する侮蔑、中傷表現がどっとあふれだした>

テスラのイーロン・マスクCEOが10月27日にツイッターの買収を完了し、唯一の取締役になって構造改革に着手した最初の1週間で、ツイッター上では人種差別的な「Nワード(黒人を指す蔑称)」の使用が3倍に増加したことがわかった。

イギリスの非営利団体デジタルヘイト対策センター(CCDH)の調査によると、人種差別や同性愛嫌悪、トランス差別、反ユダヤ主義に基づく中傷表現が、2022年の平均と比べるとマスクの下で大幅に増加した。

CCDHの創設者イムラン・アーメドは、マスクのリーダーシップのもとでツイッターは「憎しみが湧く泉」に化したと本誌に語った。

10月31日からの1週間で、Nワードが使われたツイートとリツイートは2万6228件で、2022年平均の3倍だった。

同じ期間に、トランスジェンダーを差別する蔑称「t*****」が使われたツイートとリツイートは3万3926件、同性愛に対する侮辱語「f*****」は2万1903件に使用された。2022年平均と比較して、それぞれ53%、39%増加したことになる。

マスクがツイッターのオーナーになった最初の週には、反ユダヤ的な侮辱語「k***」が登場したリツイートは2598件、人種差別用語の「w**」が1256件、「s***」が935件だった。2022年の平均値に対してそれぞれ23%、62%、77%増加したことを示している。

憎悪があふれる世界

マスクは11月4日に、自分のリーダーシップで「憎悪に満ちた言論」は減少したと主張したが、実際には逆だった。その日、マスクはこうツイートしている。「不適切な投稿を監視するコンテンツのチェックに注力するツイッターの姿勢はまったく変わっていない。マスコミは逆のことを報道しているかもしれないが、今週は憎悪に満ちた言論が以前のツイッターの標準より減ったときもあった」

CCDHは、分析サイト「ブランドウォッチ」を使って、世界中の英語のツイート、リツイート、引用ツイートなどの調査を行った。

CCDHの創設者であるイギリスの元政治アドバイザー、アーメドは本誌の取材に応じ、ツイッターにおける人種差別的な発言の増加には、政府の介入が必要であることを証明していると述べた。

「なんのお咎めもなく人種差別的な中傷で他人を攻撃できる世界など、誰も望んでいない。イーロン・マスクは、広告主に対してそのような世界を『地獄絵図』と表現し、それを防ぐためにできることは何でもすると言っている」

「ツイッターのコンテンツ管理責任者はヘイトの排除に成功したと言っていたが、私たちの調査で、それは真実ではないことがわかった。我々の調査発表と同じ日に、その責任者(注:安全担当ディレクターのヨエル・ロスのことと思われる)が突然辞職したのは、ツイッターに憎悪があふれていることを示しているのかもしれない。憎悪は、免疫力の弱いところにはびこる病気なのだ」

「ツイッターは、イーロン・マスクのもとで、この社会に憎しみを垂れ流す泉と化している。オンライン安全法案を制定して、ツイッターという『できもの』を切開し、ソーシャルメディア企業が国家の統一性を損なうことがないよう対策するべき時だ」と、アーメドは付け加えた。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

焦点:闇に隠れるパイロットの精神疾患、操縦免許剥奪

ビジネス

ソフトバンクG、米デジタルインフラ投資企業「デジタ

ビジネス

ネットフリックスのワーナー買収、ハリウッドの労組が

ワールド

米、B型肝炎ワクチンの出生時接種推奨を撤回 ケネデ
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:日本時代劇の挑戦
特集:日本時代劇の挑戦
2025年12月 9日号(12/ 2発売)

『七人の侍』『座頭市』『SHOGUN』......世界が愛した名作とメイド・イン・ジャパンの新時代劇『イクサガミ』の大志

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    健康長寿の鍵は「慢性炎症」にある...「免疫の掃除」が追いつかなくなっている状態とは?
  • 2
    【クイズ】アルコール依存症の人の割合が「最も高い国」はどこ?
  • 3
    兵士の「戦死」で大儲けする女たち...ロシア社会を揺るがす「ブラックウィドウ」とは?
  • 4
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした…
  • 5
    左手にゴルフクラブを握ったまま、茂みに向かって...…
  • 6
    「ボタン閉めろ...」元モデルの「密着レギンス×前開…
  • 7
    主食は「放射能」...チェルノブイリ原発事故現場の立…
  • 8
    『羅生門』『七人の侍』『用心棒』――黒澤明はどれだ…
  • 9
    戦争中に青年期を過ごした世代の男性は、終戦時56%…
  • 10
    イスラエル軍幹部が人生を賭けた内部告発...沈黙させ…
  • 1
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした「信じられない」光景、海外で大きな話題に
  • 2
    100年以上宇宙最大の謎だった「ダークマター」の正体を東大教授が解明? 「人類が見るのは初めて」
  • 3
    健康長寿の鍵は「慢性炎症」にある...「免疫の掃除」が追いつかなくなっている状態とは?
  • 4
    戦争中に青年期を過ごした世代の男性は、終戦時56%…
  • 5
    兵士の「戦死」で大儲けする女たち...ロシア社会を揺…
  • 6
    7歳の息子に何が? 学校で描いた「自画像」が奇妙す…
  • 7
    イスラエル軍幹部が人生を賭けた内部告発...沈黙させ…
  • 8
    【クイズ】アルコール依存症の人の割合が「最も高い…
  • 9
    【銘柄】関電工、きんでんが上昇トレンド一直線...業…
  • 10
    人生の忙しさの9割はムダ...ひろゆきが語る「休む勇…
  • 1
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 2
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後」の橋が崩落する瞬間を捉えた「衝撃映像」に広がる疑念
  • 3
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 4
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸…
  • 5
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
  • 6
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披…
  • 7
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 8
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 9
    インド国産戦闘機に一体何が? ドバイ航空ショーで…
  • 10
    ポルノ依存症になるメカニズムが判明! 絶対やって…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中