最新記事

韓国

韓国観光業の復活も日本政府が鍵を握っている

2022年9月21日(水)18時16分
佐々木和義

日韓いずれも相手国への印象が好転している...... Chung Sung-Jun/REUTERS

<日本政府がビザ免除の検討をはじめた。この報道を受け、韓国の20代から30代を中心に日本旅行熱が起きている......>

日本政府は観光等、外国人の短期滞在査証(ビザ)免除の検討に着手した。ノービザ観光の報道を受け、韓国の20代から30代を中心に日本旅行熱が起きている。韓国旅行会社最大手のハナツアーは日本旅行商品に販売数が海外旅行全体の40%を占め、2位のモドゥツアーは日本商品の予約が前月比で24倍に達した。

日本政府は今年6月、外国人観光客の受け入れを再開したが、添乗員付きの団体旅行に限定し、ビザの取得を義務付けていた。9月7日から添乗員なしのパッージツアーも可能となったが、ビザ取得手続きが訪日観光客の障壁となっている。

煩雑なビザ手続きが訪日の障壁だった

訪日観光は団体旅行に限られるが、予定日程が終わると、買い物や食事など自由にできるため、個人旅行と変わらないという声がある。

日本政府が訪日観光客の受け入れを再開すると、韓国の旅行会社はこぞって日本旅行商品を販売した。訪日韓国人が増加すると見られたが、モドゥツアーが販売したチャーター機利用の北海道旅行の40%がキャンセルになるなど、7月に入ると鈍化した。

韓国・聯合ニュースは韓国人の訪日観光が鈍化した理由として2つの要因を挙げている。まずは煩雑なビザ手続きだ。韓国の会社員は多くが7月から8月に1週間程度の夏休みを取るが、日本旅行は予定を組むのが難しい。ビザ手続きに2~3週間かかるため、ビザの目処が立たない時点で有給休暇を申請しなければならないからだ。

同紙は安倍晋三元首相の銃撃事件にも言及する。「ニューズウィーク日本版は統一教会と日本との関係を集中的に報じた」「駐福岡韓国総領事館が韓国国民に対する憎悪犯罪への注意を呼びかけた」など、安倍元首相の銃撃事件が訪日旅行に影響を及ぼしたと分析する。

最近になって日本政府がビザ免除の検討をはじめた背景に円安があると見られている。為替相場は、今年のはじめ、1ドル110円台で推移していたが、円安が進行し、9月に入ると140円台になった。外国人観光客は日本旅行を安価に楽しむことができるが、ビザ取得が障壁となっている。訪日観光客が増えるとインバウンド消費の拡大による経済効果が期待できるのだ。

韓国格安航空会社LLC最大手の済州航空は週5往復運行している仁川―成田便を9月20日から毎日就航し、週3便運航している仁川―関空便と休止中の仁川-福岡便を10月1日から毎日就航する。アシアナ航空子会社のエアソウルも9月27日から仁川―東京路線の運航を再開し、10月30日から大阪路線と福岡路線を再開すると明らかにした。ジンエアーも大阪と福岡の路線を毎日就航させる計画だ。

今、あなたにオススメ

関連ワード

ニュース速報

ワールド

過度な為替変動に警戒、リスク監視が重要=加藤財務相

ワールド

アングル:ベトナムで対中感情が軟化、SNSの影響強

ビジネス

S&P、フランスを「Aプラス」に格下げ 財政再建遅

ワールド

中国により厳格な姿勢を、米財務長官がIMFと世銀に
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:日本人と参政党
特集:日本人と参政党
2025年10月21日号(10/15発売)

怒れる日本が生んだ「日本人ファースト」と参政党現象。その源泉にルポと神谷代表インタビューで迫る

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    1000人以上の女性と関係...英アンドルー王子、「称号返上を表明」も消えない生々しすぎる「罪状」
  • 2
    【クイズ】日本でツキノワグマの出没件数が「最も多い県」はどこ?
  • 3
    ギザギザした「不思議な形の耳」をした男性...「みんなそうじゃないの?」 投稿した写真が話題に
  • 4
    「認知のゆがみ」とは何なのか...あなたはどのタイプ…
  • 5
    大学生が「第3の労働力」に...物価高でバイト率、過…
  • 6
    【クイズ】世界で2番目に「リンゴの生産量」が多い国…
  • 7
    【インタビュー】参政党・神谷代表が「必ず起こる」…
  • 8
    お腹の脂肪を減らす「8つのヒント」とは?...食事以…
  • 9
    ニッポン停滞の証か...トヨタの賭ける「未来」が関心…
  • 10
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?
  • 1
    お腹の脂肪を減らす「8つのヒント」とは?...食事以外の「2つの隠れた要因」が代謝を狂わせていた
  • 2
    1000人以上の女性と関係...英アンドルー王子、「称号返上を表明」も消えない生々しすぎる「罪状」
  • 3
    まるで『トップガン』...わずか10mの至近戦、東シナ海で「中国J-16」 vs 「ステルス機」
  • 4
    中国人が便利な「調理済み食品」を嫌うトホホな理由…
  • 5
    【クイズ】日本でツキノワグマの出没件数が「最も多…
  • 6
    フィリピンで相次ぐ大地震...日本ではあまり報道され…
  • 7
    メーガン妃の動画が「無神経」すぎる...ダイアナ妃を…
  • 8
    時代に逆行するトランプのエネルギー政策が、アメリ…
  • 9
    かばんの中身を見れば一発でわかる!「認知症になり…
  • 10
    日本で外国人から生まれた子どもが過去最多に──人口…
  • 1
    かばんの中身を見れば一発でわかる!「認知症になりやすい人」が持ち歩く5つのアイテム
  • 2
    「大谷翔平の唯一の欠点は...」ドジャース・ロバーツ監督が明かすプレーオフ戦略、監督の意外な「日本的な一面」とは?
  • 3
    カミラ王妃のキャサリン妃への「いら立ち」が話題に...「少々、お控えくださって?」
  • 4
    増加する「子どもを外注」する親たち...ネオ・ネグレ…
  • 5
    悲しみで8年間「羽をむしり続けた」オウム...新たな…
  • 6
    バフェット指数が異常値──アメリカ株に「数世代で最…
  • 7
    「日本の高齢化率は世界2位」→ダントツの1位は超意外…
  • 8
    お腹の脂肪を減らす「8つのヒント」とは?...食事以…
  • 9
    【クイズ】日本人が唯一「受賞していない」ノーベル…
  • 10
    数千円で買った中古PCが「宝箱」だった...起動して分…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中