最新記事

米政治

惨敗予定だった民主党になぜ逆転の可能性が?──泡沫すぎる共和党候補たち

AGAINST ALL ODDS

2022年9月1日(木)13時19分
スティーブ・フリース(ジャーナリスト)

7月中旬にニューヨーク・タイムズとシエナ・カレッジが行った世論調査では、最も重要な課題として中絶を挙げたのは登録済み有権者のわずか6%で、36%が経済を挙げた。

「中絶は、おそらく両陣営の支持基盤を刺激し、資金調達でもある程度の役割を果たすだろう」と、NRSCのハートラインは言う。

「ただし、経済、インフレ、ガソリン価格が最大の争点であることは、中絶権に関する判決後も一貫して明らかで、(投票日の)11月8日までにそれが変わるとは思えない」

カイザー家族財団の最近の調査によると、中絶は多くの有権者にとって依然として重要な問題である。特に、18~49歳の女性の10人に6人が、最高裁の判断を受けて11月に投票する「意欲が高まり」、主に中絶のアクセスを保護する候補者に投票するだろうと答えている。

共和党は勝てるはずの選挙で負けそうなことに不満を募らせているかもしれないが、中間選挙は経済がそれほど問題にならない年でも政権与党にとって厳しくなりやすいという通説に、安堵もしているようだ。

「バイデンの支持率が30%台で推移すれば、共和党の弱小候補も波に乗って(民主党を)完敗に追い込めるかもしれない」と、ドーナンは言う。「まだ多くの人が(中間選挙に)注目しているとは思えない。9月の連休後もこのような雰囲気が続けば、民主党は窮地に陥るだろう」

キーフはこうした見通しを笑い飛ばす。民主党は「20年にトランプが勝利した州で議席を守る戦い」をすることなく、「上院の主導権を維持して、その数的優位を拡大することを想定している」という。

そうなるかもしれない。しかし、共和党陣営には、多くの候補者が最後に逆転して大勝した20年の選挙に重ねる見方もある。

「サウスカロライナ州でリンゼー・グラム上院議員が窮地に陥ったと誰もが思ったが、10ポイント差で勝利したではないか」と、共和党のストラテジストのナチャマ・ソロベイチクは言う。

民主党のベネットは反論する。「そう、だから何が起きてもおかしくない」

ニューズウィーク日本版 英語で学ぶ国際ニュース超入門
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2025年5月6日/13日号(4月30日発売)は「英語で学ぶ 国際ニュース超入門」特集。トランプ2.0/関税大戦争/ウクライナ和平/中国・台湾有事/北朝鮮/韓国新大統領……etc.

※バックナンバーが読み放題となる定期購読はこちら


今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

午後3時のドルは143円前半へ上昇、米中対立緩和に

ワールド

インドがパキスタンの「テロ拠点」攻撃、26人死亡 

ビジネス

ノボノルディスク、通期予想を下方修正 第1四半期は

ビジネス

中国、対米協議控え金融緩和発表 政策金利引き下げな
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:英語で学ぶ 国際ニュース超入門
特集:英語で学ぶ 国際ニュース超入門
2025年5月 6日/2025年5月13日号(4/30発売)

「ゼロから分かる」各国・地域情勢の超解説と時事英語

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    健康は「何を食べないか」次第...寿命を延ばす「5つの指針」とは?
  • 2
    脂肪は自宅で燃やせる...理学療法士が勧める「3つの運動」とは?
  • 3
    部下に助言した時、返事が「分かりました」なら失敗と思え...できる管理職は何と言われる?
  • 4
    分かり合えなかったあの兄を、一刻も早く持ち運べる…
  • 5
    「2025年7月5日に隕石落下で大災害」は本当にあり得…
  • 6
    「欧州のリーダー」として再浮上? イギリスが存在感…
  • 7
    シャーロット王女とスペイン・レオノール王女は「どち…
  • 8
    首都は3日で陥落できるはずが...「プーチンの大誤算…
  • 9
    「関税帝」トランプが仕掛けた関税戦争の勝者は中国…
  • 10
    ザポリージャ州の「ロシア軍司令部」にHIMARS攻撃...…
  • 1
    脂肪は自宅で燃やせる...理学療法士が勧める「3つの運動」とは?
  • 2
    「2025年7月5日に隕石落下で大災害」は本当にあり得る? JAXA宇宙研・藤本正樹所長にとことん聞いてみた
  • 3
    健康は「何を食べないか」次第...寿命を延ばす「5つの指針」とは?
  • 4
    【クイズ】世界で2番目に「軍事費」が高い国は?...1…
  • 5
    部下に助言した時、返事が「分かりました」なら失敗…
  • 6
    日本の未婚男性の「不幸感」は他国と比べて特異的に…
  • 7
    古代の遺跡で「動物と一緒に埋葬」された人骨を発見.…
  • 8
    タイタニック生存者が残した「不気味な手紙」...何が…
  • 9
    日々、「幸せを実感する」生活は、実はこんなに簡単…
  • 10
    シャーロット王女とスペイン・レオノール王女は「どち…
  • 1
    【話題の写真】高速列車で前席のカップルが「最悪の行為」に及ぶ...インド人男性の撮影した「衝撃写真」にネット震撼【画像】
  • 2
    日本史上初めての中国人の大量移住が始まる
  • 3
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」ではない
  • 4
    脂肪は自宅で燃やせる...理学療法士が勧める「3つの…
  • 5
    【心が疲れたとき】メンタルが一瞬で “最…
  • 6
    間食はなぜ「ナッツ一択」なのか?...がん・心疾患・抜…
  • 7
    北朝鮮兵の親たち、息子の「ロシア送り」を阻止する…
  • 8
    【クイズ】世界で最も「半導体の工場」が多い国どこ…
  • 9
    「2025年7月5日に隕石落下で大災害」は本当にあり得…
  • 10
    クレオパトラの墓をついに発見? 発掘調査を率いた…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中