アングル:日本企業の関税影響、想定より縮小か ホンダ2000億円下げ

日本企業の間で、米関税の影響を従来見通しから引き下げる動きが相次いでいる。写真は2021年7月、東京で撮影(2025年 ロイター/Issei Kato)
Kentaro Okasaka Maki Shiraki Ritsuko Shimizu
[東京 6日 ロイター] - 日本企業の間で、米関税の影響を従来見通しから引き下げる動きが相次いでいる。円安も手伝いホンダが通期の業績予想を大きく上方修正したほか、海運大手は自動車の荷動きが想定より堅調として影響額を圧縮した。一方、自動車関税の引き下げ時期が不透明なことに加え、医薬品や半導体に新たな関税が導入される見通しなど不確実性も依然高い。
「約3カ月が経過し、ある程度の確度で市場の動向を予想することができると判断し、今回は業績予想の内数として盛り込むこととした」。日本郵船の山本敬志執行役員は5日の決算会見でこう語った。
2026年3月期の業績見通しを発表した5月時点では日米関税交渉の影響を見通すことが「非常に難しかった」(山本執行役員)ため、業績予想に関税影響を織り込んでいなかった。それが7月下旬に税率が相互関税、自動車関税ともに15%で確定。この日発表した予想では240億円を減益要因に含めた。
5月時点では「試算額」として最大1000億円を示しており、それに比べると小さく収まった。4─6月期の連結業績は前年同期比で減収減益だったものの、自動車の輸送事業の需要が思いのほか堅調で輸送台数が前年並みだった。
川崎汽船も通期の自動車の予想輸送台数が上振れる見通しだ。期初の時点では北米向けの輸送量に影響が出ると想定していたが、芥川裕・最高財務責任者(CFO)は4日の決算会見で、「実際には第1・四半期はほとんど影響はなかったし、第2・四半期も今の足元の顧客からのオーダーを見るとほとんど影響はないのではないかという認識だ」と語った。
6日に決算を発表したホンダは、年間6500億円と見込んでいた関税の影響を4500億円に引き下げた。日本からの自動車輸出関税が27.5%から15%へ下がることなどから見直した。新たな税率の適用時期は決まっていないものの、9月からという前提で織り込んだという。為替が想定より円安に振れていることもあり、26年3月期の連結営業利益見通しを5000億円から7000億円へ上方修正した。
このほか、JX金属は26年3月期通期の業績予想を、ミネベアミツミはレンジで公表していた業績予想の下限を上方修正した。両社とも関税影響の縮小を要因の1つに挙げている。資生堂やオムロンも影響の縮小を発表した。
第一生命経済研究所の嶌峰義清シニア・フェローは、日米が合意したことで「(企業が)だいぶほっとしたことは間違いない。不確定な部分はあるにせよ、決まった数字を前提に収益計画を引き直し、国内外の設備投資計画も計算がある程度立つようになった」とみる。一方で、期初に関税や世界経済への影響をどの程度厳しく見積もったかによって、上方修正組と下方修正組に分かれると指摘する。
キヤノンは2025年12月期の連結営業利益を4660億円から4600億円に下方修正した。浅田稔専務は7月24日の決算会見で、「米国の関税影響が米国のみならず、地政学リスクと相まって欧州など他地域にも及び、一部で投資の先送りが出始めた」と理由を説明した。
5日に26年3月期の通期業績予想を初めて開示したマツダは、前年度と同じ台数を販売したとして関税が営業利益を2333億円押し下げるとの見通しを明らかにした。マツダは対米輸出比率が高く、連結営業利益は前年比73%減の500億円、純利益は同82%減の200億円を見込んでいる。
会見した毛籠勝弘社長は、日米で合意した自動車関税15%は従来の2.5%からは上がるため「極めて負担に感じる」と語った。「地域経済と雇用の責任を果たすべく、国内生産70万台基準で損益分岐点を下げる努力を続ける」と述べた。
自動車は、新たな関税の適用日が決まっていないこともなお不透明要因だ。業績見通しを上方修正したホンダも、「詳細に関してはまだ不明な点が多い。政府にも日米間で早く決定していただけるよう要望を伝えている」(藤村英司CFO)という。
米中間の関税交渉が妥結していないという変数や、医薬品など今後新たに関税がかかるリスクもある。JFEホールディングスは海外の鋼材需要について「米国の通商措置に伴う貿易摩擦の激化や景気後退リスクを意識した様子見姿勢もあり、回復が見通せない状況」としている。
旭化成の堀江俊保代表取締役は、医薬品に対する高関税について、発動されるとしても実務的に時間がかかるため本年度は大きな影響は出ないが「フルに(関税が)かかった場合にインパクトが極力ないような形でどういう手を打つかは別途、対策はしている」と話す。
(岡坂健太郎、白木真紀、清水律子 編集:久保信博)
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