最新記事

アフリカ

MISIAが語る──アフリカの子どもが描いた絵を通して心に触れること

2022年9月15日(木)11時30分
※TOKYO UPDATESより転載
ケニアの首都ナイロビのマゴソスクールを訪れたMISIA氏

2018年、ケニアの首都ナイロビのマゴソスクールを訪れたMISIA氏

<歌手MISIA氏に、TICAD8(第8回アフリカ開発会議)を機に開かれた、アフリカの子どもたちの絵画展『MISIA HEART FOR AFRICA』についてインタビュー。子どもたちの絵から伝わるものとは>

ケニアとザンビアの子どもが描いた、249点の絵画を東京で展示

東京の玄関口、東京駅の目の前にある新丸ビルで、ユニークな展覧会が始まった。タイトルは『mudef x junior artists MISIA HEART FOR AFRICA:子ども絵画展 "わたしの大切なモノ"』

8月27・28日にチュニジアでTICAD8(第8回アフリカ開発会議、The Eighth Tokyo International Conference on African Development)が開かれることを機に、アーティストら著名人と社会貢献活動を行う一般財団法人mudef(ミューデフ)が主催し、日本の音楽界を代表する歌手、MISIA氏の全面協力を得て企画された本展では、ケニアとザンビアの子どもたちが描いた249点の絵を展示している。

tokyoupdates220915_1.jpg

絵を掲げるザンビアの子どもたち。

TICADは、日本政府が国連や世界銀行などと共同開催し、アフリカ諸国の政府関係者とアフリカについて協議する、3年に1度の催しだ。アフリカ各地をたびたび訪れて教育支援に携わり、TICAD5とTICAD7の名誉大使も務めたMISIA氏に展覧会や現地での体験について話を聞いた。

tokyoupdates220915_2.jpg

2019年のTICAD7開催時、名誉大使を務めたMISIA氏は「TICAD7 LIVE HEART FOR AFRICA」に出演。このチケット収益による寄付金で今回の絵画展が実施されている。

──絵画展に参加した3つの学校のうち、ケニアのナイロビにあるマゴソスクールは、15年にわたって支援しているそうですね。

2007年に初めて行った時は、一番小さな子が7歳くらいだったので、今は20歳を過ぎているんです。頑張って小学校の先生になったり、俳優になったり、障害を持つ子どもの教育を学ぶために日本の大学に留学している子もいます。教育の力はすごいですね。自分の力で未来を切り拓いて、働いてご飯を食べていますから。日本に留学した女の子が、「学んだことだけは盗まれなかった。一生の財産になった」と言うんですよ。確かにそうだなって感じました。

tokyoupdates220915_3.jpg

描き上げた絵を手にする、ケニアのマゴソスクールに通う少女。

──2校はザンビアのメヘバ難民キャンプ内にあり、1校は難民が暮らす地区の、もう1校はザンビアに定住した元難民が暮らす地区の学校だと伺っています。こちらにも足を運ばれたのですか?

TICAD7が開催された2019年に視察しました。ザンビアは8カ国と国境を接する内陸国で比較的安定しているので、周りの国で内戦などが起きると、難民の方が逃げてきていたんです。私は、1週間前にキャンプにたどり着いたというご家族に会いました。3カ月ぐらい歩き続けて国境を越え、疲れ果てて何も財産がないような状態でいらっしゃるんですね。その難民キャンプにある小学校には難民だけではなく地元の子どもも通っていて、みんなが標語のように、「私たちは闘うためにここにいるのではありません、みんなで仲良くなるためにここで勉強しているのです」と話していました。

ザンビア政府は定住を決めた難民に土地を与えているので留まる人もいて、2世、3世の人が暮らしています。簡単ではないですが他の国の方々と一緒に生きていくのは、一つの平和な形だと思うんです。私たちが経験したことのないような困難に見舞われた人々から知識や知恵を学ぶのも、日本を豊かにすることにつながるのかなって。今回の絵画展が、そういう子どもたちに関心を持つ機会になればと思っています。

tokyoupdates220915_4.jpg

ザンビアの学校で絵を描く子どもたち。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

米国株式市場=下落、予想下回るGDPが圧迫

ビジネス

再送-〔ロイターネクスト〕米第1四半期GDPは上方

ワールド

中国の対ロ支援、西側諸国との関係閉ざす=NATO事

ビジネス

NY外為市場=ドル、対円以外で下落 第1四半期は低
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:世界が愛した日本アニメ30
特集:世界が愛した日本アニメ30
2024年4月30日/2024年5月 7日号(4/23発売)

『AKIRA』からジブリ、『鬼滅の刃』まで、日本アニメは今や世界でより消費されている

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 2

    中国の最新鋭ステルス爆撃機H20は「恐れるに足らず」──米国防総省

  • 3

    今だからこそ観るべき? インバウンドで増えるK-POP非アイドル系の来日公演

  • 4

    「すごい胸でごめんなさい」容姿と演技を酷評された…

  • 5

    未婚中高年男性の死亡率は、既婚男性の2.8倍も高い

  • 6

    「誹謗中傷のビジネス化」に歯止めをかけた、北村紗…

  • 7

    心を穏やかに保つ禅の教え 「世界が尊敬する日本人100…

  • 8

    「たった1日で1年分」の異常豪雨...「砂漠の地」ドバ…

  • 9

    やっと本気を出した米英から追加支援でウクライナに…

  • 10

    「鳥山明ワールド」は永遠に...世界を魅了した漫画家…

  • 1

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 2

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価」されていると言える理由

  • 3

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた「身体改造」の実態...出土した「遺骨」で初の発見

  • 4

    「世界中の全機が要注意」...ボーイング内部告発者の…

  • 5

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 6

    医学博士で管理栄養士『100年栄養』の著者が警鐘を鳴…

  • 7

    ハーバード大学で150年以上教えられる作文術「オレオ…

  • 8

    「たった1日で1年分」の異常豪雨...「砂漠の地」ドバ…

  • 9

    NewJeans日本デビュー目前に赤信号 所属事務所に親…

  • 10

    「誹謗中傷のビジネス化」に歯止めをかけた、北村紗…

  • 1

    人から褒められた時、どう返事してますか? ブッダが説いた「どんどん伸びる人の返し文句」

  • 2

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 3

    ロシアの迫撃砲RBU6000「スメルチ2」、爆発・炎上の瞬間映像をウクライナ軍が公開...ドネツク州で激戦続く

  • 4

    バルチック艦隊、自国の船をミサイル「誤爆」で撃沈…

  • 5

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 6

    88歳の現役医師が健康のために「絶対にしない3つのこ…

  • 7

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士…

  • 8

    ロシアが前線に投入した地上戦闘ロボットをウクライ…

  • 9

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 10

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中