最新記事

ヘルス

全てに納得できた──40歳で受けた「ADHDの診断」が救った女性の人生

'I Was Diagnosed With ADHD at 40'

2022年9月7日(水)17時23分
ロージー・パーソンズ(写真家)
ロージー・パーソンズ

40歳でADHDと診断されたとき、パーソンズは全てに納得した ROSIE PARSONS

<衝動性や過敏さ、執着などADHD特有の欠点になり得る特性をコントロールし、仕事のやり方や人との付き合い方を改善できた>

イングランド南部で過ごした子供時代から、自分は少し変わってるって感じがあった。じっとしていられなくて、部屋の模様替えとかを頻繁にやった。奇抜な壁紙を貼って、天井をしま模様にしたり。それで飽きると、親に頼んで部屋を替えてもらい、また一からやり直す。そんな感じ。

学校では、ものすごくしゃべった。どうして友達ができないのか、全く理解できなかった。当時は誰も、私がADHD(注意欠陥・多動性障害)だなんて思わなかった。たぶん、そういう性格だと思われていた。でも大人になれば治るだろうって。

高校でも、みんなになじめなかった。みんなと違う気がした。すごく感情的で衝動的だった。何でも自分のことに思えて、人から拒絶されるのが怖かった。よく言われた、あなたはすぐ傷つく、もっと強くならなくちゃって。

あの頃は音楽業界で働きたかった。いま思えば、何か一つのことに夢中になるのもADHDの症状かな。とにかくマイケル・ジャクソンと仕事をしたい一心だった。

でも結局、私は自営業の写真家になった。そんなとき、あるお客さんが、自分はADHDだって言った。信じられなかった。そんなふうには見えなかったから。

でも心のどこかで、もしかして自分も、と思った。それで、40歳で初めて専門のクリニックに行った。そうしたらADHDと診断された。

これまでの自分の特性はADHDで説明できた

ある意味、納得した。衝動性や感じやすさ、何かに夢中になりすぎることなど、全てはADHDで説明できた。

恋愛もそう。以前の私はすぐに深入りした。前の夫とは、たった3週間で婚約した。好きになると、もう相手の欠点が見えない。ブレーキをかけるとか、そういうことができなかった。

友人関係でも、私は相手の気持ちを考えず、すぐに親友だと思い込んだ。そして相手がそう思っていないと知ると、すごく傷ついた。そんな早とちり、今はしないけれど。

2007年に、私は写真の会社を立ち上げた。結婚式の写真などで稼ぐつもりだった。でも、規模が大きくて失敗の許されない仕事は苦手。ストレスが多すぎて、私には向かなかった。

13年に三つ子を出産し、翌年にも息子が生まれた。それを機会に仕事を減らし、女性のパーソナルブランディング用の写真に専念することにした。これならストレスは少ないし、自分で仕事の段取りを決められるから、余計な心配をしないで済む。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

ECB理事会後のラガルド総裁発言要旨

ビジネス

ECBが金利据え置き、4会合連続 インフレ見通し一

ビジネス

米新規失業保険申請件数、1.3万件減の22万400

ビジネス

米11月CPI、前年比2.7%上昇 セールで伸び鈍
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:教養としてのBL入門
特集:教養としてのBL入門
2025年12月23日号(12/16発売)

実写ドラマのヒットで高まるBL(ボーイズラブ)人気。長きにわたるその歴史と深い背景をひもとく

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    自国で好き勝手していた「元独裁者」の哀れすぎる末路が発覚...プーチンは保護したのにこの仕打ち
  • 2
    「最低だ」「ひど過ぎる」...マクドナルドが公開したAI生成のクリスマス広告に批判殺到
  • 3
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入ともに拡大する「持続可能な」貿易促進へ
  • 4
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦…
  • 5
    身に覚えのない妊娠? 10代の少女、みるみる膨らむお…
  • 6
    9歳の娘が「一晩で別人に」...母娘が送った「地獄の…
  • 7
    円安と円高、日本経済に有利なのはどっち?
  • 8
    おこめ券、なぜここまで評判悪い? 「利益誘導」「ム…
  • 9
    ゆっくりと傾いて、崩壊は一瞬...高さ35mの「自由の…
  • 10
    欧米諸国とは全く様相が異なる、日本・韓国の男女別…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切り札として「あるもの」に課税
  • 3
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入ともに拡大する「持続可能な」貿易促進へ
  • 4
    デンマーク国防情報局、初めて米国を「安全保障上の…
  • 5
    【衛星画像】南西諸島の日米新軍事拠点 中国の進出…
  • 6
    【実話】学校の管理教育を批判し、生徒のため校則を…
  • 7
    ミトコンドリア刷新で細胞が若返る可能性...老化関連…
  • 8
    【銘柄】資生堂が巨額赤字に転落...その要因と今後の…
  • 9
    自国で好き勝手していた「元独裁者」の哀れすぎる末…
  • 10
    「最低だ」「ひど過ぎる」...マクドナルドが公開した…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切り札として「あるもの」に課税
  • 3
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸送機「C-130」謎の墜落を捉えた「衝撃映像」が拡散
  • 4
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした…
  • 5
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 6
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 7
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 8
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 9
    インド国産戦闘機に一体何が? ドバイ航空ショーで…
  • 10
    ポルノ依存症になるメカニズムが判明! 絶対やって…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中