最新記事

猛暑

「ビールで熱波対策しましょう」英医師のツイートに議論百出

2022年8月9日(火)18時44分
青葉やまと

猛暑の水分補給には、ビールが適している? Ridofranz-iStock

<イギリスの医師によるとビールは、猛暑日の水分補給源として優れているのだという>

ロンドンが位置する英イングランドを、まれにみる猛暑が襲っている。7月19日には気温が40度を超え、観測史上最高を記録した。現地ではエアコンがほとんど普及しておらず、熱中症による健康被害が憂慮されている。

そんななか、イギリス在住のある医師が酷暑でも安全に暮らす方法をツイートし、その意外なテクニックが注目を集めた。水分補給の手段として、適量のビールの摂取が効果的なのだという。アルコールには利尿作用があり脱水を促すと一般に知られているため、このアドバイスは人々を驚かせたようだ。

ツイートをしたのは、オーストラリア出身でロンドン在住のエリー・ロバーツ医師だ。彼女は自身のTwitterで、熱波対策に有効な10のテクニックの9つ目として、次のように記している。

「9.もし脱水状態になったのなら(そして成人であり、可能ならば)、ハーフパイントのビール(ノンアルコールのものでも!)を飲み、そしてすぐに水(または水が好きでないなら、スポーツドリンクかコーディアル)を飲みましょう。」 なお、コーディアルとはイギリスなどで飲まれている伝統的なシロップ飲料だ。

しかし、アルコールは利尿作用があることで知られている。飲み会に行くとトイレが近くなるという人もいるだろう。このことからTwitter上では、医師の投稿に対し、なぜビールなのかとの質問が多く寄せられた。ところが実際のところビールは、適量を守る限り、水分の補給源として適しているようだ。

水分と電解質豊富なビール、適量なら優れた水分補給源に

英デイリー・メール紙は、ロバーツ医師の見解を紹介したうえで、ほかの専門家に意見を求めている。英ミネラルウォーター会社で水分補給の専門家として勤務するスチュアート・ギャロウェイ博士がこれに応じ、ビールは1日の必要水分摂取量に含めてよいと説明している。

ギャロウェイ博士は、熱波のイングランドでは確実に水分を補給すべきであり、体内の水分量を確保することが重要だと指摘している。水単体で喉を通りづらいなら、ビールを水分補給のきっかけにしても問題ないという。

博士によると、ビールは水分を豊富に含有しており、さらに電解質、糖、塩分も含まれる。こうした成分が水分を体内に留めておく作用を生じることから、水分補給の手段として適しているのだという。

ただし博士は、2パイント以上を飲んでしまうと脱水につながるとも付け加えている。ハーフパイントで喉を潤したあとはビールを飲み続けず、水やスポーツドリンクなどに移行することが大切のようだ。

イギリスのハーフパイントは284mLなので、日本でいえばビールの小瓶(334mL)よりも少し少ないくらいの量を飲み、すぐに水やスポーツドリンクなどで追加の水分を補給するとよいということになる。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

インド4月自動車販売、大手4社まだら模様 景気減速

ビジネス

三菱商事、今期26%減益見込む 市場予想下回る

ワールド

米、中国・香港からの小口輸入品免税撤廃 混乱懸念も

ワールド

アングル:米とウクライナの資源協定、収益化は10年
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:英語で学ぶ 国際ニュース超入門
特集:英語で学ぶ 国際ニュース超入門
2025年5月 6日/2025年5月13日号(4/30発売)

「ゼロから分かる」各国・地域情勢の超解説と時事英語

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    日本の未婚男性の「不幸感」は他国と比べて特異的に高く、女性では反対に既婚の方が高い
  • 2
    マリフアナを合法化した末路とは? 「バラ色の未来が来るはずだったのに...」
  • 3
    タイタニック生存者が残した「不気味な手紙」...何が書かれていた?
  • 4
    日々、「幸せを実感する」生活は、実はこんなに簡単…
  • 5
    ウクライナ戦争は終わらない──ロシアを動かす「100年…
  • 6
    インドとパキスタンの戦力比と核使用の危険度
  • 7
    インド北部の「虐殺」が全面「核戦争」に発展するか…
  • 8
    目を「飛ばす特技」でギネス世界記録に...ウルグアイ…
  • 9
    悲しみは時間薬だし、幸せは自分次第だから切り替え…
  • 10
    MRI検査で体内に「有害金属」が残留する可能性【最新…
  • 1
    日本史上初めての中国人の大量移住が始まる
  • 2
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」ではない
  • 3
    MRI検査で体内に「有害金属」が残留する可能性【最新研究】
  • 4
    中国で「ネズミ人間」が増殖中...その驚きの正体とは…
  • 5
    ロシア国内エラブガの軍事工場にウクライナが「ドロ…
  • 6
    日本の未婚男性の「不幸感」は他国と比べて特異的に…
  • 7
    パニック発作の原因の多くは「ガス」だった...「ビタ…
  • 8
    マリフアナを合法化した末路とは? 「バラ色の未来…
  • 9
    使うほど脱炭素に貢献?...日建ハウジングシステムが…
  • 10
    私の「舌」を見た医師は、すぐ「癌」を疑った...「口…
  • 1
    【話題の写真】高速列車で前席のカップルが「最悪の行為」に及ぶ...インド人男性の撮影した「衝撃写真」にネット震撼【画像】
  • 2
    日本史上初めての中国人の大量移住が始まる
  • 3
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」ではない
  • 4
    健康寿命を伸ばすカギは「人体最大の器官」にあった.…
  • 5
    【心が疲れたとき】メンタルが一瞬で “最…
  • 6
    間食はなぜ「ナッツ一択」なのか?...がん・心疾患・抜…
  • 7
    北朝鮮兵の親たち、息子の「ロシア送り」を阻止する…
  • 8
    【クイズ】世界で最も「半導体の工場」が多い国どこ…
  • 9
    クレオパトラの墓をついに発見? 発掘調査を率いた…
  • 10
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中