最新記事

感染症

欧米で流行の兆しみせる「サル痘」 感染リスクや特徴まとめ

2022年5月23日(月)17時49分
サル痘ウイルスの電子顕微鏡画像

世界保健機関(WHO)は、アフリカの一部地域で散発的に感染が起きていた「サル痘」の感染が欧州を中心に拡大していることに警鐘を鳴らしている。サル痘ウイルスの電子顕微鏡画像。提供写真(2022年 ロイター/CDC)

世界保健機関(WHO)は、アフリカの一部地域で散発的に感染が起きていた「サル痘」の感染が欧州を中心に拡大していることに警鐘を鳴らしている。

WHOによると、20日時点で約80人の感染が確認され、感染が疑われる人は50人。以下、感染状況やサル痘のリスクについてまとめた。

どの程度危険か

症状は発熱、頭痛、発疹など。

サル痘は天然痘ウイルスに似たサル痘ウイルスに感染して起こるが、天然痘より症状は軽い。特に、米国で確認された西アフリカのウイルス株は致死率が約1%。大半の人は2─4週間で回復する。

新型コロナウイルスよりも感染力は弱い。

発疹がある人との直接の接触により感染が広がっていると専門家は指摘する。

マサチューセッツ総合病院のマーティン・ハーシュ博士は「新型コロナは呼吸器系で感染し感染力も強いが、サル痘はそのようなことはないようだ」と述べている。

専門家の懸念

WHOによると、これまでに報告された集団感染は、ウイルスが定期的に循環していない国で発生しているため、変則的な感染だという。感染源やウイルス変異がないかどうかを専門家は調べている。

これから夏にかけ多くの人が集まるイベントなどが開かれるため、感染が拡大する可能性がある。

感染予防策

英国では、感染者との接触で感染する可能性のある医療従事者にサル痘の予防にもなる天然痘ワクチンの接種を開始した。米政府は全国民に接種するのに十分な天然痘ワクチンを備蓄していると発表している。

発疹のある人や体調の悪い人との密接な接触を避け、疑いのある人は自己隔離して医療機関を受診する。

患者急増の背景

カナダのサスカチュワン大学のワクチンのウイルス研究学者、アンジェラ・ラスムセン氏によると、世界的な旅行の増加や気候変動などがウイルスの発生や拡散を加速させている。また、新型コロナのパンデミック(世界的大流行)を受けて世界はあらゆる種類の新たな感染症への警戒を強めていると指摘する。

[ロイター]


トムソンロイター・ジャパン

Copyright (C) 2022トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます


【話題の記事】
・ロシア戦車を破壊したウクライナ軍のトルコ製ドローンの映像が話題に
・「ロシア人よ、地獄へようこそ」ウクライナ市民のレジスタンスが始まった
・【まんがで分かる】プーチン最強伝説の嘘とホント
・【映像】ロシア軍戦車、民間人のクルマに砲撃 老夫婦が犠牲に


今、あなたにオススメ

関連ワード

ニュース速報

ワールド

英財務相、予算案で個人所得税を増税する方針=報道

ワールド

原油先物、小幅反発も2週連続下落見通し 供給懸念が

ワールド

政府、対日投資の審査制度を一部見直しへ 外為法の再

ビジネス

日経平均は5万円割れ、一時1000円超安 主力株が
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:高市早苗研究
特集:高市早苗研究
2025年11月 4日/2025年11月11日号(10/28発売)

課題だらけの日本の政治・経済・外交を初の女性首相はこう変える

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 2
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎の存在」がSNSで話題に、その正体とは?
  • 3
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 4
    「遺体は原型をとどめていなかった」 韓国に憧れた2…
  • 5
    「これは困るよ...」結婚式当日にフォトグラファーの…
  • 6
    虹に「極限まで近づく」とどう見える?...小型機パイ…
  • 7
    クマと遭遇したら何をすべきか――北海道80年の記録が…
  • 8
    NY市長に「社会主義」候補当選、マムダニ・ショック…
  • 9
    「なんだコイツ!」網戸の工事中に「まさかの巨大生…
  • 10
    【銘柄】元・東芝のキオクシアHD...生成AIで急上昇し…
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎の存在」がSNSで話題に、その正体とは?
  • 3
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読み方は?
  • 4
    9歳女児が行方不明...失踪直前、防犯カメラに映った…
  • 5
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」は…
  • 6
    「日本のあの観光地」が世界2位...エクスペディア「…
  • 7
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 8
    だまされやすい詐欺メールTOP3を専門家が解説
  • 9
    【クイズ】1位は「蚊」...世界で「2番目に」人間を殺…
  • 10
    【ウクライナ】要衝ポクロウシクの攻防戦が最終局面…
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    英国で「パブ離れ」が深刻化、閉店ペースが加速...苦肉の策は「日本では当たり前」の方式だった
  • 3
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」はどこ?
  • 4
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎…
  • 5
    かばんの中身を見れば一発でわかる!「認知症になり…
  • 6
    1000人以上の女性と関係...英アンドルー王子、「称号…
  • 7
    悲しみで8年間「羽をむしり続けた」オウム...新たな…
  • 8
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読…
  • 9
    【クイズ】日本でツキノワグマの出没件数が「最も多…
  • 10
    お腹の脂肪を減らす「8つのヒント」とは?...食事以…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中