最新記事

ウクライナ戦争

「大国ロシアは過去になる」中国元大使が異例の発言

Russia Heading for Defeat in Ukraine—Former Chinese Ambassador

2022年5月12日(木)17時36分
ジョン・フェン

プーチンと同じくイエスマンに囲まれた独裁者の習近平の運命は Carlos Garcia Rawlins-REUTERS

<ソ連崩壊後に凋落の一途をたどってきたロシアに敗戦がとどめを刺し、中国は頼りになる盟友を失うと予測>

ロシアのウラジーミル・プーチン大統領がウクライナに送り込んだ部隊は敗北に向かって突き進んでおり、この敗戦がソ連崩壊後の凋落にとどめを刺し、大国ロシアは過去のものとなる──ウクライナの首都キーウ(キエフ)駐在の元中国大使がそう断言した。

この元大使は、2005〜2007年にウクライナ駐在中国大使を務めた中央アジア専門家の高玉生。中国社会科学院主催の非公開のオンラインセミナーでの高の発言を、香港メディア・鳳凰衛視が伝えた。

高は習近平(シー・チンピン)主席の前任者である胡錦濤(フー・チンタオ)の下で大使を務め、現在は政府の役職には就いていない。彼の編集済みの発言は5月11日に公開された後数時間で削除された。

だが、10年間中国で勤務した経験を持つ元米外交官のデービッド・カウヒグが中国のニュースを英訳して伝える自身のブログで、高の発言を紹介している。

それによれば高は、ロシアはウクライナやジョージアなどソ連崩壊後に独立した共和国を自国の属国のようにみなし、「領土と主権をたびたび侵害してきた」と述べた。

巨額の戦費を負担しきれず

ウクライナの世論は、かつては親ロ派と親欧米派に真っ二つに分かれていたが、2014年のロシアによるクリミア併合後は親欧米感情が高まったと、高は指摘する。

「さらに今回の侵攻で、ウクライナの状況は一変した。ウクライナの人々は一丸となり、ロシアに抵抗し、国を守ろうとしている」ロシアは皮肉にもウクライナを力ずくで奪おうとして、「完全に失ったようなものだ」。

侵攻後のロシアの戦績に関する高の評価はそれ以上に手厳しい。プーチンとその取り巻きは「軍事、経済、政治、外交、世論、プロパガンダ、情報」の領域で展開される現代のハイブリッド戦争の戦い方がよく分かっていない、というのだ。

「ロシアが電撃作戦に失敗し、短期間で勝利できなかったことが、ロシアの敗北の始まりを告げた」と、高は言う。ロシアには「1日に何百億ドルもの戦費が掛かるハイテク戦争」を続ける財政的余裕はない。

軍事力と経済力ではロシアのほうがはるかに有利なはずだが、ウクライナの抵抗と西側の効果的な支援が国力の差を帳消しにしたと、高は見る。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

加州、2億ドルのEV購入支援策で自動車メーカーに同

ワールド

メキシコ、キューバへの石油供給停止へ=トランプ氏

ワールド

仏26年予算ようやく成立、2本の内閣不信任案否決で

ビジネス

マスク氏のスペースX、xAIを買収 宇宙・AI事業
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:トランプの帝国
特集:トランプの帝国
2026年2月10日号(2/ 3発売)

南北アメリカの完全支配を狙うトランプの戦略は中国を利し、世界の経済勢力図を完全に塗り替える

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「出禁」も覚悟? ディズニーランドで緊急停止した乗り物から「勝手に退出」する客の映像にSNS批判殺到
  • 2
    高市首相の発言は正しかった...「対中圧力」と「揺れるアメリカ」に向き合う「日本の戦略」とは?
  • 3
    日本への威圧を強める中国...「レアアース依存」から脱却する道筋
  • 4
    中国政府に転んだ「反逆のアーティスト」艾未未の正体
  • 5
    関節が弱ると人生も鈍る...健康長寿は「自重筋トレ」…
  • 6
    エプスタイン文書追加公開...ラトニック商務長官、ケ…
  • 7
    トランプ不信から中国に接近した欧州外交の誤算
  • 8
    世界初、太陽光だけで走る完全自己充電バイク...イタ…
  • 9
    ロシア軍の前線で「弾よけ」にされるアフリカ人...兵…
  • 10
    【銘柄】「古河機械金属」の株価が上昇中...中国のレ…
  • 1
    【クイズ】致死率50~75%...インドで感染拡大「ニパウイルス」の感染源となる動物は?
  • 2
    中国で大規模な金鉱脈の発見が相次ぐ...埋蔵量は世界でも過去最大規模
  • 3
    180万トンの「リチウムごみ」を資源に...EV電池の「副産物」で建設業界のあの問題を解決
  • 4
    日本への威圧を強める中国...「レアアース依存」から…
  • 5
    セーターが消えた冬 ── 暖かさの主戦場が「インナー」…
  • 6
    一人っ子政策後も止まらない人口減少...中国少子化は…
  • 7
    スペースXの宇宙飛行士の帰還が健康問題で前倒しに..…
  • 8
    ロシア軍の前線で「弾よけ」にされるアフリカ人...兵…
  • 9
    町長を「バズーカで攻撃」フィリピンで暗殺未遂、大…
  • 10
    「出禁」も覚悟? ディズニーランドで緊急停止した乗…
  • 1
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?【2025年の話題クイズ5選】
  • 2
    【クイズ】致死率50~75%...インドで感染拡大「ニパウイルス」の感染源となる動物は?
  • 3
    中国製防空レーダーは米軍のベネズエラ攻撃に屈した──台湾高官が分析
  • 4
    セーターが消えた冬 ── 暖かさの主戦場が「インナー」…
  • 5
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?【202…
  • 6
    海上自衛隊が水中無人機(UUV)を導入 中国の海軍拡…
  • 7
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」は…
  • 8
    防衛省が「新SSM」の映像を公開、ノルウェー・コング…
  • 9
    中国で大規模な金鉱脈の発見が相次ぐ...埋蔵量は世界…
  • 10
    【クイズ】韓国を抜いて1位に...世界で最も「出生率…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中