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極めて珍しい......ブロンドに輝く細長い深海魚の姿がとらえられる

2022年5月12日(木)17時00分
松岡由希子

「ハイフィンドラゴンフィッシュ」の姿がとらえられるのは極めて珍しい...... MBARI-YouTube

<米カリフォルニア州の水深約300メートル地点で、ブロンドに輝く深海魚「ハイフィンドラゴンフィッシュ」の姿がとらえられた......>

米カリフォルニア州モントレー湾外の水深約300メートル地点で、ブロンドに輝く葉巻のような形状の深海魚「ハイフィンドラゴンフィッシュ」の姿がとらえられた。モントレー湾水族館研究所(MBARI)の海洋調査船「ウエスタンフライヤー」によって撮影された動画が2022年5月、ユーチューブで公開されている。

A remarkable new sighting: Dragonfish lurk in the dark depths


「ハイフィンドラゴンフィッシュ」はワニトカゲギス科に属する最長16センチの深海魚だ。カナダからバハ・カリフォルニア半島にかけて北米西海岸沿いの東太平洋で水深225~1370メートルに生息している。

長い糸状のフィラメントが伸びるヒレを持ち、このフィラメントが水中の振動を感知して捕食者や獲物の接近を認識させると考えられている。また、暗闇で静かに獲物を待つ間、沈まないように安定させる働きもあるとみられる。

姿がとらえられるのは極めて珍しい

「ハイフィンドラゴンフィッシュ」の姿がとらえられるのは極めて珍しい。モントレー湾水族館研究所の研究チームでは、これまで30年以上かけて2万7600時間以上の動画を撮影してきたが、「ハイフィンドラゴンフィッシュ」がとらえられたのはわずか4回にとどまっている。

「ハイフィンドラゴンフィッシュ」はメタリックなブロンド色だが、他のドラゴンフィッシュはこれほどカラフルではない。なかには、表皮に自然界で最も黒い色素を持つ種もおり、深海の暗闇でカモフラージュするのに適している。

matuoka20220512b.jpg

「ハイフィンドラゴンフィッシュ」の色について、モントレー湾水族館研究所のブルース・ロビンソン博士は「ブロンドの色合いは深海に降り注ぐ青い光の残りを吸収するため、『ハイフィンドラゴンフィッシュ』は深海ではほとんど見えなくなる」とし、「これはカモフラージュの一種かもしれない」との見解を示している。

The Pacific Blackdragon Ultra Black fish
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