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ウィル・スミス

アカデミー賞「ビンタ」騒動、黒人男性が絡むと些細な暴力事件も炎上するアメリカ社会

Don’t Blow Up This Slap

2022年4月5日(火)18時54分
ジョエル・アンダーソン

叩かれた男の受け止め方

ミシガン大学がテネシー大学を破った3月の試合でハワードは、泣き崩れる相手選手を抱き締めた。この場面はハワードが大学1年生でスター選手になって以来、一般に知られるイメージに近い。判断ミスはするにせよ、根は優しく、愛されている人物だ。

アカデミー賞授賞式の話題がスミスの平手打ち一色になった翌日、アカデミーは「正式な調査を開始し、協会の規則、行動基準、カリフォルニア州法にのっとった措置を検討する」と発表。アカデミー会員の少なくとも1人は、スミスが「映画界全体に恥をかかせた」と述べた。

スミスにとっては恥ずべき汚点だ。自身のイメージ戦略のスキルは並外れているが、この汚名を返上することはかなわないかもしれない。

カッとなったことで、キャリアの頂点になるはずだった主演男優賞の受賞もかすんでしまった。授賞式の翌日、スミスはロックに「不適切な行為だった。私が間違っていた」と公に謝罪。言い訳めいたスピーチを修正するものとしては適切だった。それでも今後スミスのイメージには、テレビ史に残る衝撃をもたらしたあのシーンが付きまとう。

一方、平手打ちされたロックはスミスを訴えることもなく、この騒動について特に語っていない。ロックは私たちより、あの一撃をはるかにうまく受け止めたようだ。

©2022 The Slate Group

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