最新記事

感染症対策

カナダのワクチン義務化反対デモ、裁判所が差し止め命令 警察はガソリン押収し排除に着手

2022年2月9日(水)09時13分
カナダの首都オタワで道路を封鎖しているトラック

カナダの首都オタワで新型コロナウイルスの接種義務などに抗議するトラック運転手が車列を組んで道路を封鎖し中心部の機能がまひしている問題で、警察は7日、大量のトラック燃料の押収などに着手し、排除に着手した。6日撮影(2022年 ロイター/Patrick Doyle)

カナダの首都オタワで新型コロナウイルスワクチンの接種義務などに抗議するトラック運転手が車列を組んで道路を封鎖し中心部の機能がまひしている問題で、裁判所は7日、デモの一時差し止め命令を下した。10日間、デモ参加者がクラクションを「絶え間なく」鳴らすことをやめるよう求めている。

デモ参加者がクラクションを鳴らし続ける戦術をとっていることを巡っては、「深刻な不快感と不便さを与えることを意図して計画された」として、付近住民が集団で差し止め請求を起こしていた。

オタワ警察は7日、デモ終結に向けた取り締まりの一環として、大量のトラック燃料を押収し、石油タンクローリーを除去したと明らかにした。

オタワでの抗議活動はこの日で11日目。前日にはジム・ワトソン市長が非常事態宣言を発令している。オタワ警察のピーター・スローリー本部長は記者団に対し、可能な限り取り締まりを強化しているとし、72時間以内の支援体制強化を要請していると明らかにした。

スローリー本部長によると、この週末の間にオタワに集結していたトラックは1000台、抗議活動参加者は5000人。前週末のトラック3000台、参加者1万─1万5000人から縮小している。

オタワでの抗議活動はおおむね平和的だが、7日朝も国会議事堂、首相官邸、中央銀行などが立ち並ぶ中心部でキャンプファイアーのような匂いが立ち込めていた。

今回の抗議活動は参加者が食事を準備する調理施設のほか、ポータブルサウナなどが設置されるなど、潤沢な支援に支えられており、警察は資金の一部は米国の支援者から寄せられているとの見方を示している。

「フリーダム・コンボイ」と呼ばれるこの抗議活動は、米国との国境を越えて移動するトラック運転手を中心にカナダ政府のワクチン接種義務に対する抗議活動として始まったが、トルドー政権の厳格な新型コロナウイルス対策への広範な抗議に発展。抗議活動は週末の間に、カナダ最大の経済都市であるトロントなどにも拡大した。

カナダ政府のウェブサイトによると、7日夜の時点で、カナダと米国を結ぶ主要な橋「アンバサダー橋」が一時的に双方向とも閉鎖されている。オンタリオ州ウィンザーと米ミシガン州デトロイト間のこの国境は、北米の越境地点で最も交通量が多い。



[ロイター]


トムソンロイター・ジャパン

Copyright (C) 2022トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます


【話題の記事】
・新型コロナが重症化してしまう人に不足していた「ビタミン」の正体
・世界の引っ越したい国人気ランキング、日本は2位、1位は...



今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

パリのソルボンヌ大学でガザ抗議活動、警察が排除 キ

ビジネス

日銀が利上げなら「かなり深刻」な景気後退=元IMF

ビジネス

独CPI、4月は2.4%上昇に加速 コア・サービス

ワールド

米英外相、ハマスにガザ停戦案合意呼びかけ 「正しい
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:世界が愛した日本アニメ30
特集:世界が愛した日本アニメ30
2024年4月30日/2024年5月 7日号(4/23発売)

『AKIRA』からジブリ、『鬼滅の刃』まで、日本アニメは今や世界でより消費されている

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    一瞬の閃光と爆音...ウクライナ戦闘機、ロシア軍ドローンを「空対空ミサイルで撃墜」の瞬間映像が拡散

  • 2

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 3

    AIパイロットvs人間パイロット...F-16戦闘機で行われた、史上初の「ドッグファイト」動画を米軍が公開

  • 4

    メーガン妃の「限定いちごジャム」を贈られた「問題…

  • 5

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士…

  • 6

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

  • 7

    医学博士で管理栄養士『100年栄養』の著者が警鐘を鳴…

  • 8

    19世紀イタリア、全世界を巻き込んだ論争『エドガル…

  • 9

    ナワリヌイ暗殺は「プーチンの命令ではなかった」米…

  • 10

    目の前の子の「お尻」に...! 真剣なバレエの練習中…

  • 1

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 2

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 3

    一瞬の閃光と爆音...ウクライナ戦闘機、ロシア軍ドローンを「空対空ミサイルで撃墜」の瞬間映像が拡散

  • 4

    医学博士で管理栄養士『100年栄養』の著者が警鐘を鳴…

  • 5

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

  • 6

    AIパイロットvs人間パイロット...F-16戦闘機で行われ…

  • 7

    「すごい胸でごめんなさい」容姿と演技を酷評された…

  • 8

    「世界中の全機が要注意」...ボーイング内部告発者の…

  • 9

    日本マンガ、なぜか北米で爆売れ中...背景に「コロナ…

  • 10

    「誹謗中傷のビジネス化」に歯止めをかけた、北村紗…

  • 1

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 2

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 3

    ロシアの迫撃砲RBU6000「スメルチ2」、爆発・炎上の瞬間映像をウクライナ軍が公開...ドネツク州で激戦続く

  • 4

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士…

  • 5

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 6

    ロシアが前線に投入した地上戦闘ロボットをウクライ…

  • 7

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 8

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

  • 9

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた…

  • 10

    「誰かが嘘をついている」――米メディアは大谷翔平の…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中