最新記事

中国

マクドナルドでダイエット? エアロバイク付きの客席が中国に登場

2021年12月28日(火)17時50分
青葉やまと

日本マクドナルドの栄養表示を参考にすると、ビッグマック、ポテトM、コーラMのセットでは1000kcal以上に達する。一方、エアロバイクで消費できるのは、1時間休みなく漕いでも300kcalがせいぜいだ。3時間以上店内に居座って、はじめてカロリーの帳尻が合うことになる。

WIONニュースは、食べながらの運動自体も健康にあまり良い影響はなく、しゃっくり、吐き気、嘔吐などを催すことがあると指摘する。キャスターは「どれだけ冴えた人がこれを考案したのだろう」と真顔だ。

サン紙は、イメージアップ戦略の一環だとみる。記事は「ジャンクフードのメッカという印象を払拭すべく、マクドナルドは過去に多くの手を打ってきたといえるが、中国のある店舗は完全に新たな次元に達している」と述べ、斬新なPR戦略だと捉えている。

本来のウリは発電機能

ベダル付きの客席は、高カロリーを相殺する無謀なアイデアとして世界に知れ渡ってしまった。だが、マクドナルドの意図は別のところにあったようだ。

話題の客席は「グリーン充電バイク」と呼ばれ、モバイル機器の充電機能を備える。利用者がペダルを漕ぎながら食事をし、その間スマートフォンなどをテーブル隅の充電スポットに置いておくと、バッテリーに給電されるしくみだ。

動画が話題となったのを受け、中国マクドナルドは12月22日に声明を発表した。インディペンデント紙の続報によると同社は、「グリーン充電バイクは店舗内で提供される体験となっており、現在は中国の2店舗でテスト中です。お客様がマクドナルドのお好みのメニューを楽しみながら、よりグリーンな行動について考えるきっかけとなるよう意図しています」と説明している。

運動しながらの食事が好ましいかはさておき、少なくともダイエット効果を謳ったキャンペーンではなかったようだ。環境意識向上の取り組みのはずが、エアロバイクのうえで高カロリーのバーガーを頬張る姿が先行し、エクササイズという予想外の方向で話題になってしまった。

話題を報じた英サン紙は、「この健康志向のムーブメントはイギリスにも到来するだろうか?」と読者に問いかける。中国での評判次第では、日本でも将来登場となるだろうか。国内ではコンセントを利用できる客席もあるが、もし少しの運動で罪悪感を忘れることができるなら、あえてエアロバイクを利用する人も出てくるかもしれない。

今、あなたにオススメ

関連ワード

ニュース速報

ワールド

台湾の頼次期総統、20日の就任式で中国との「現状維

ワールド

イスラエル軍、ガザ北部で攻勢強化 米大統領補佐官が

ワールド

アングル:トランプ氏陣営、本選敗北に備え「異議申し

ビジネス

日本製鉄副会長が来週訪米、USスチール買収で働きか
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:インドのヒント
特集:インドのヒント
2024年5月21日号(5/14発売)

矛盾だらけの人口超大国インド。読み解くカギはモディ首相の言葉にあり

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    EVが売れると自転車が爆発する...EV大国の中国で次々に明らかになる落とし穴

  • 2

    「EVは自動車保険入れません」...中国EVいよいよヤバいのか!?

  • 3

    SNSで動画が大ヒットした「雨の中でバレエを踊るナイジェリアの少年」...経験した偏見と苦難、そして現在の夢

  • 4

    「まるでロイヤルツアー」...メーガン妃とヘンリー王…

  • 5

    時速160キロで走行...制御失ったテスラが宙を舞い、4…

  • 6

    チャールズ英国王、自身の「不気味」な肖像画を見た…

  • 7

    日本とはどこが違う? 韓国ドラマのオリジナルサウン…

  • 8

    エジプトのギザ大ピラミッド近郊の地下に「謎めいた…

  • 9

    英供与車両から巨大な黒煙...ロシアのドローンが「貴…

  • 10

    立ち上る火柱、転がる犠牲者、ロシアの軍用車両10両…

  • 1

    EVが売れると自転車が爆発する...EV大国の中国で次々に明らかになる落とし穴

  • 2

    やっと撃墜できたドローンが、仲間の兵士に直撃する悲劇の動画...ロシア軍内で高まる「ショットガン寄越せ」の声

  • 3

    立ち上る火柱、転がる犠牲者、ロシアの軍用車両10両を一度に焼き尽くす動画をウクライナ軍が投稿

  • 4

    原因は「若者の困窮」ではない? 急速に進む韓国少…

  • 5

    新宿タワマン刺殺、和久井学容疑者に「同情」などで…

  • 6

    エジプトのギザ大ピラミッド近郊の地下に「謎めいた…

  • 7

    北米で素数ゼミが1803年以来の同時大発生、騒音もダ…

  • 8

    「EVは自動車保険入れません」...中国EVいよいよヤバ…

  • 9

    プーチン5期目はデフォルト前夜?......ロシアの歴史…

  • 10

    常圧で、種結晶を使わず、短時間で作りだせる...韓国…

  • 1

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 2

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 3

    新宿タワマン刺殺、和久井学容疑者に「同情」などできない理由

  • 4

    EVが売れると自転車が爆発する...EV大国の中国で次々…

  • 5

    やっと撃墜できたドローンが、仲間の兵士に直撃する…

  • 6

    立ち上る火柱、転がる犠牲者、ロシアの軍用車両10両…

  • 7

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

  • 8

    一瞬の閃光と爆音...ウクライナ戦闘機、ロシア軍ドロ…

  • 9

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた…

  • 10

    ヨルダン・ラジワ皇太子妃のマタニティ姿「デニム生地…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中