最新記事

アメリカ社会

ドアダッシュが正社員雇用で15分宅配競争に参入

DoorDash Jumps Into Fray of Quick Grocery Delivery With Full-Time Workers

2021年12月13日(月)12時53分
ゾーエ・ストロズースキ
ドアダッシュの配達員

ドアダッシュのロゴ入りバッグをもった配達員(2020年12月9日、ドアダッシュIPOの日) Carlo Allegri-REUTERS

<2013年に同社が食品の宅配サービスを始めたときは、配達までの時間が45分でも顧客は満足だった。だが今は、速いほど満足度が高いとわかり、正社員化に踏み切った。ギグワーカーが主体のネットデリバリーのビジネスモデルは変わるのか>

米食品宅配サービス大手のドアダッシュは、いつものギグワーカー(単発契約の配達員)ではなく、正社員として雇った配達員を使って、ニューヨークのチェルシー地区で超高速の配達サービスを開始した。AP通信が報じた。

新たに立ち上げた会社「ダッシュコープス(Dash Corps)」がフルタイムおよびパートタイムの従業員を雇い、自給15ドル以上の給与と一定の福利厚生を保証する。

チェルシー地区にある「ダッシュマート」の複数の新拠点には生鮮品や日用品が揃えられており、顧客は新たなサービスを利用することで、15分以内に商品の配達を受け取れるようになる。「超高速で配達を行うためには、注文を迅速に処理し、加盟店と顧客の期待に応えるための構造と組織が必要だ」と同社はブログで述べた。

AP通信によれば、ダッシュコープスの従業員は、これまでドアダッシュの配達作業を担ってきたギグワーカーとは対照的に、1週間の労働時間を自分で設定することができるようになる。また彼らは、管理業務や品出し作業、顧客サポートなど、配達以外の仕事も担当することになる。

「ダッシュマートからの超速配達に関連する業務は、通常の配達業務とは根本的に異なり、(通常の配達とは)異なるタイプの仕事を求めている人々が必要だ」と同社はブログで説明した。

ギグワーカー主体のモデルからの脱却

ドアダッシュのパブリックポリシー担当副社長であるマックス・レティグは、ダッシュマートの拠点1カ所につき、約50人がダッシュコープに雇われることになると語った。現在、超速配達サービスが利用できるのはチェルシー地区のみだが、ドアダッシュはブログの中で、今後数カ月でサービスをニューヨーク市内の別の地区、さらにはその他の都市に拡大していく計画だとしている。

以下にAPの報道を引用する。

新たな動きは、ドアダッシュにとって大きな方針転換だ。同社はこれまで、ギグワーカーを「従業員」に分類することに抵抗してきた。彼らを従業員として扱えば、コストが大幅に増えることになるからだ。カリフォルニア州では2020年に、ドアダッシュやウーバーなどの企業が、自社で働くギグワーカーを「個人事業主」として扱うことを許容する住民立法案「プロポジション22」が住民投票によって成立。ドアダッシュも同法案を支持していた。

シノバス・トラストのシニア・ポートフォリオ・マネージャーであるダニエル・モーガンは、ダッシュコープスの設立は、ドアダッシュやウーバーのように、ギグワーカーを主体とするモデルが問題視されてきた企業が、正社員を主体とするモデルに移行していくきっかけになるかもしれないと指摘した。その背景には、8月にカリフォルニア州の裁判所が「プロポジション22」を違憲と判断したことなどがある。

「これらの企業は、厳しさを増す州や国の規制から逃れるために、最終的には正社員を主体としたモデルに移行するだろうか」とモーガンは述べた。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

豪CPI、1月は前月比0.4%上昇 コアインフレ加

ビジネス

1月企業向けサービス価格、前年比2.6%上昇 前月

ワールド

中国春節の9連休、国内旅行と消費支出を押し上げ

ビジネス

グーグル、データセンター向けに米電力会社2社と契約
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:日本人が知らない AI金融の最前線
特集:日本人が知らない AI金融の最前線
2026年3月 3日号(2/25発売)

フィンテックの進化と普及で、金融はもっと高速に、もっとカジュアルに

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    アルコールは血糖値を下げる...「脳と血管を守る」医師がすすめる意外な健康習慣
  • 2
    米国の中国依存が低下、台湾からの輸入が上回る
  • 3
    命は長し、働け女たち――88歳「働くばあさん」が説く高齢期の「4つの覚悟」
  • 4
    3頭のクマがスキー客を猛追...ゲレンデで撮影された…
  • 5
    「水道水」が筋トレの成果を左右する...私たちの体に…
  • 6
    カビが植物に感染するメカニズムに新発見、硬い表面…
  • 7
    「IKEAも動いた...」ネグレクトされた子猿パンチと「…
  • 8
    「極めて危険」──ゼレンスキー、ロシアにおける北朝…
  • 9
    IMF、日本政府に消費減税を避けるよう要請...「財政…
  • 10
    武士はロマンで戦ったわけではない...命を懸けた「損…
  • 1
    「ヘル・コリア」から日本へ7万人 ── 大企業の高給より日本の「100%就職率」を選ぶ若者たち
  • 2
    アルコールは血糖値を下げる...「脳と血管を守る」医師がすすめる意外な健康習慣
  • 3
    命は長し、働け女たち――88歳「働くばあさん」が説く高齢期の「4つの覚悟」
  • 4
    「水道水」が筋トレの成果を左右する...私たちの体に…
  • 5
    「#ジェームズ・ボンドを忘れろ」――MI6初の女性長官…
  • 6
    カビが植物に感染するメカニズムに新発見、硬い表面…
  • 7
    海外(特に日本)移住したい中国人が増えている理由.…
  • 8
    100万人が死傷、街には戦場帰りの元囚人兵...出口な…
  • 9
    ロシアに蔓延する「戦争疲れ」がプーチンの立場を揺…
  • 10
    米国の中国依存が低下、台湾からの輸入が上回る
  • 1
    【クイズ】致死率50~75%...インドで感染拡大「ニパウイルス」の感染源となる動物は?
  • 2
    ウクライナ戦闘機「F-16」がロシア軍「シャヘド」を空中爆破...地上から撮影の「レア映像」を公開
  • 3
    高市積極財政にアメリカが慌てる理由
  • 4
    台湾侵攻「失敗」の大きすぎる代償
  • 5
    「最恐」恐竜T・レックスの定説を覆す新研究が
  • 6
    セーターが消えた冬 ── 暖かさの主戦場が「インナー」…
  • 7
    イースター島の先住民から資源を略奪、島を「生きた…
  • 8
    「ヘル・コリア」から日本へ7万人 ── 大企業の高給より…
  • 9
    中国、パナマ運河の港湾喪失でパナマに報復──トラン…
  • 10
    「罠に嵌められた」と主張するが...欧州で次々と摘発…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中