最新記事

欧州

ロシア、NATOに東欧やウクライナでの軍事活動放棄を要求

2021年12月18日(土)10時27分
ウクライナでのアメリカ=ウクライナの合同軍軍事演習のようす

ウクライナでのアメリカ=ウクライナの合同軍軍事演習のようす REUTERS/Gleb Garanich

ロシアは17日、北大西洋条約機構(NATO)に対し、東欧とウクライナでの軍事活動を放棄するとの法的拘束力のある保証を要求すると発表した。これは西側諸国との交渉で求める安全保障の要求項目の一部となる。

ロシアは要求項目について、欧州での緊張を緩和し、ウクライナの危機を打開するために不可欠な条件だとしている。西側諸国はロシアが攻撃を行う可能性があるとして非難しているのに対し、ロシアは否定している。

要求項目には、ウクライナのNATO加盟に対してロシアが拒否権を持つことといった、西側諸国が既に除外している項目も含まれている。

要求項目の詳細を初めて公表したロシアのリャブコフ外務次官は報道陣に対し、ロシアと西側諸国は関係再構築のために白紙から始める必要があると指摘。「米国とNATOがここ数年、安全保障状況を積極的に悪化させようとしている路線は絶対に容認できず、極めて危険だ」と訴えた。

さらに「米国とNATOの同盟国は、予定外の演習など、わが国に対する敵対行為を直ちに中止し、ウクライナ領土での軍備増強を即時中止すべきだ」と強調した。

キングス・カレッジ・ロンドンのサム・グリーン教授(ロシア政治学)はツイッターで、ロシアのプーチン大統領が「ポスト・ソ連時代の空間に線を引き、『立ち入り禁止』の標識を立てている」と書き込んだ。「これは条約ではなく、宣言だ」とし、「だが必ずしも、戦争の前兆とは限らない。米政府や他国を不安にさせ、ロシア政府の即応態勢を維持するための言い訳だ。問題は、その効果が失われるまで、どれだけ長くその姿勢を維持できるかだ」と指摘した。

リャブコフ氏は、ロシアは現在の状況をこれ以上容認するつもりはないとし、米国が提案を真剣に受け止め、早急に建設的な回答をするように求めた。

リャブコフ氏は、ロシアは18日にもスイス・ジュネーブなどで会談を開始する準備ができており、交渉団の準備も整っていると述べた。

米ホワイトハウスのサキ報道官は、米国は提案について同盟国と話し合っているとし、記者団に対して「欧州の同盟国やパートナーなしに、欧州の安全保障に関して話し合うことはない」と語った。

ロシアのタス通信は、米国とNATOから伝わってくる内容にロシア政府は非常に失望しているというリャブコフ氏の発言を伝えた。

ロシアは今週初め、ウクライナ周辺でのロシア軍増強を巡る緊張が高まる中、米国に提案書を渡した。

ロシアは、ウクライナが目先、NATOに加盟できる見込みがないにも関わらずNATOとの関係を深め、加盟を希望していることが自国の安全保障を脅かしていると考え、これに対応していると説明している。

ロシアの提案は、NATO加盟国との協定案と米国との条約案の2つの文書にまとめられており、ともに外務省が公表した。

[ロイター]


トムソンロイター・ジャパン

Copyright (C) 2021トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます


【話題の記事】
・タリバン大攻勢を生んだ3つの理由──9.11以来の大転換を迎えるアフガニスタン
・タリバンが米中の力関係を逆転させる
・<カブール陥落>米大使館の屋上からヘリで脱出する「サイゴン陥落」再び


今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

小泉防衛相、中国軍のレーダー照射を説明 豪国防相「

ワールド

米安保戦略、ロシアを「直接的な脅威」とせず クレム

ワールド

中国海軍、日本の主張は「事実と矛盾」 レーダー照射

ワールド

豪国防相と東シナ海や南シナ海について深刻な懸念共有
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:日本時代劇の挑戦
特集:日本時代劇の挑戦
2025年12月 9日号(12/ 2発売)

『七人の侍』『座頭市』『SHOGUN』......世界が愛した名作とメイド・イン・ジャパンの新時代劇『イクサガミ』の大志

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした「信じられない」光景、海外で大きな話題に
  • 2
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価に与える影響と、サンリオ自社株買いの狙い
  • 3
    兵士の「戦死」で大儲けする女たち...ロシア社会を揺るがす「ブラックウィドウ」とは?
  • 4
    健康長寿の鍵は「慢性炎症」にある...「免疫の掃除」…
  • 5
    ホテルの部屋に残っていた「嫌すぎる行為」の証拠...…
  • 6
    「搭乗禁止にすべき」 後ろの席の乗客が行った「あり…
  • 7
    仕事が捗る「充電の選び方」──Anker Primeの充電器、…
  • 8
    ビジネスの成功だけでなく、他者への支援を...パート…
  • 9
    『羅生門』『七人の侍』『用心棒』――黒澤明はどれだ…
  • 10
    【クイズ】アルコール依存症の人の割合が「最も高い…
  • 1
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした「信じられない」光景、海外で大きな話題に
  • 2
    兵士の「戦死」で大儲けする女たち...ロシア社会を揺るがす「ブラックウィドウ」とは?
  • 3
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価に与える影響と、サンリオ自社株買いの狙い
  • 4
    健康長寿の鍵は「慢性炎症」にある...「免疫の掃除」…
  • 5
    戦争中に青年期を過ごした世代の男性は、終戦時56%…
  • 6
    イスラエル軍幹部が人生を賭けた内部告発...沈黙させ…
  • 7
    【クイズ】アルコール依存症の人の割合が「最も高い…
  • 8
    ホテルの部屋に残っていた「嫌すぎる行為」の証拠...…
  • 9
    人生の忙しさの9割はムダ...ひろゆきが語る「休む勇…
  • 10
    【銘柄】関電工、きんでんが上昇トレンド一直線...業…
  • 1
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 2
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後」の橋が崩落する瞬間を捉えた「衝撃映像」に広がる疑念
  • 3
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 4
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸…
  • 5
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
  • 6
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした…
  • 7
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披…
  • 8
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 9
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 10
    インド国産戦闘機に一体何が? ドバイ航空ショーで…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中