最新記事

韓国

岸田新総裁選出、韓国メディアは一斉に日韓関係の改善を要望

2021年10月4日(月)17時00分
佐々木和義

日韓慰安婦合意の当事者であり、関係改善は難しいという見方も...... REUTERS/Issei Kato

<岸田文雄前政務調査会長が自民党の新総裁に選出されると、韓国メディアは一斉に日韓関係の改善を要望した>

自由民主党の新総裁に岸田文雄前政務調査会長が選出されると、韓国メディアは日韓関係の改善を求める記事を掲載した。

青瓦台(韓国大統領府)は「新たに発足する日本内閣と韓日間の未来志向的関係発展にために引き続き協力して行く」とし、新首相の就任後に文在寅大統領が祝電か電話で、意思疎通を図りたい考えを示した。一方、韓国商工会議所は岸田新総裁に祝いの書簡を送った。政府が財界の後手に回った格好だ。

韓国の政府やメディア、財界は日韓関係の改善を求めるが、岸田新首相は文在寅大統領が反故にした日韓慰安婦合意の当事者であり、関係改善は難しいという見方が広がっている。

韓国メディアは一斉に日韓関係の改善を要望した

岸田文雄前政務調査会長が自民党の新総裁に選出されると、韓国メディアは一斉に日韓関係の改善を要望した。

ソウル新聞は「日本の岸田新首相、硬直した韓日関係を外交的に解決せよ」と題した社説で、「日本軍慰安婦問題の韓日合意の当事者である岸田元外相が、第100代日本首相に就任する」とした上で、「韓日の当局者は現在の硬直化を解く案を模索しなければならない。外相を務めた岸田新首相が、硬直した韓日関係を回復するため意味ある決断を下すことを期待する」と注文した。

東亜日報は「岸田新総裁の発言を見ると、直ちに韓日関係が改善する期待は難しいが、時間をかけて回復できる転機を作っておく必要がある」と社説で要望した。

ハンギョレは「岸田新総裁選出、韓日関係リセットの契機にしよう」と題した社説で、「岸田次期首相は、2015年12月28日の韓日慰安婦合意当時の日本政府側の当事者」だが、「安倍・菅政権の時よりは韓日対話の扉が開かれるという控え目な期待もある」とし、「韓日両国は共に突破口を作る時」で、日韓双方が歩み寄るべきだと主張した。

中央日報は「菅義偉首相は韓日首脳会談を拒否して対話に消極的だった」が「慰安婦合意に署名した岸田氏は両国の関係改善に積極的に努力する必要がある」とし、「韓日関係2500年の間、反目や対立より平和な方が長かった」「一段階高いパートナーシップの構築を望む」と日本側の歩み寄りを期待する社説を掲載した。

朝鮮日報は、岸田氏は韓国や中国との関係を重視してきた「宏池会」の直系で「今後の韓日関係に重要に働く可能性がある」と報じた。

菅義偉元官房長官の首相就任が決まった昨年9月、韓国メディアは日韓関係の改善を期待したが、岸田新首相に関係改善を期待する声は見られず、要望にとどまっている。

今、あなたにオススメ

関連ワード

ニュース速報

ワールド

EU産ブランデー関税、34社が回避へ 友好的協議で

ワールド

赤沢再生相、ラトニック米商務長官と3日と5日に電話

ワールド

マスク氏、「アメリカ党」結成と投稿 自由取り戻すと

ワールド

OPECプラス有志国、増産拡大 8月54.8万バレ
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:トランプvsイラン
特集:トランプvsイラン
2025年7月 8日号(7/ 1発売)

「平和主義者」のはずの大統領がなぜ? 核施設への電撃攻撃で中東と世界はこう変わる

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「飲み込めると思った...」自分の10倍サイズのウサギに挑んだヘビの末路
  • 2
    ディズニー・クルーズラインで「子供が海に転落」...父親も飛び込み大惨事に、一体何が起きたのか?
  • 3
    「本物の強さは、股関節と脚に宿る」...伝説の「元囚人コーチ」が説く、正しい筋肉の鍛え方とは?【スクワット編】
  • 4
    孫正義「最後の賭け」──5000億ドルAI投資に託す復活…
  • 5
    後ろの川に...婚約成立シーンを記録したカップルの幸…
  • 6
    「やらかした顔」がすべてを物語る...反省中のワンコ…
  • 7
    「飛行機内が臭い...」 原因はまさかの「座席の下」…
  • 8
    「詐欺だ」「環境への配慮に欠ける」メーガン妃ブラ…
  • 9
    職場でのいじめ・パワハラで自死に追いやられた21歳…
  • 10
    反省の色なし...ライブ中に女性客が乱入、演奏中止に…
  • 1
    「飲み込めると思った...」自分の10倍サイズのウサギに挑んだヘビの末路
  • 2
    ディズニー・クルーズラインで「子供が海に転落」...父親も飛び込み大惨事に、一体何が起きたのか?
  • 3
    「やらかした顔」がすべてを物語る...反省中のワンコに1400万人が注目
  • 4
    燃え盛るロシアの「黒海艦隊」...ウクライナの攻撃で…
  • 5
    仕事ができる人の話の聞き方。3位は「メモをとる」。…
  • 6
    後ろの川に...婚約成立シーンを記録したカップルの幸…
  • 7
    【クイズ】「宗教を捨てる人」が最も多い宗教はどれ?
  • 8
    普通に頼んだのに...マクドナルドから渡された「とん…
  • 9
    砂浜で見かけても、絶対に触らないで! 覚えておくべ…
  • 10
    職場でのいじめ・パワハラで自死に追いやられた21歳…
  • 1
    「コーヒーを吹き出すかと...」ディズニーランドの朝食が「高額すぎる」とSNSで大炎上、その「衝撃の値段」とは?
  • 2
    「飲み込めると思った...」自分の10倍サイズのウサギに挑んだヘビの末路
  • 3
    「あまりに愚か...」国立公園で注意を無視して「予測不能な大型動物」に近づく幼児連れ 「ショッキング」と映像が話題に
  • 4
    庭にクマ出没、固唾を呑んで見守る家主、そして次の…
  • 5
    10歳少女がサメに襲われ、手をほぼ食いちぎられる事…
  • 6
    JA・卸売業者が黒幕説は「完全な誤解」...進次郎の「…
  • 7
    「ママ...!」2カ月ぶりの再会に駆け寄る13歳ラブラ…
  • 8
    気温40℃、空港の「暑さ」も原因に?...元パイロット…
  • 9
    燃え盛るロシアの「黒海艦隊」...ウクライナの攻撃で…
  • 10
    ディズニー・クルーズラインで「子供が海に転落」...…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中